(温泉場の駅@川治湯元駅)
野岩鉄道に唯一残る、東武6050系の忘れ形見61102編成が、まっすぐな高架橋を渡ってやって来ます。2017年まで、長年に亘り浅草~会津田島間の通称「会津快速」に充当される車両として、一都三県を跨いだ活躍を続けて来ました。東武・野岩・会津の三社を一気通貫で結んでいたため、その走行距離と輸送規模などを勘案し、東武6050系モデルを野岩が3編成・会津鉄道が1編成を持ち合い、全体としては一括の運用で使用されていました。このように、相互乗り入れにかかる車両の貸出料金を相殺するために、お互いに同一形式の車両を持ち合ったりリースしたりというのは珍しくなくて、京成-北総-住都公団とか、南海-泉北とか、相互乗り入れに絡んで色々な事例があります。野岩と会津の6050系は、それぞれが60000番台を名乗っていてインフレナンバーになっているのと、一応車体側面のナンバーの横に、かわいらしくそれぞれの会社の社紋が入っているのが特徴でもありましたね。
2017年の会津快速の特急リバティへの転換。日比谷線へ70000系が投入され、余剰となった2000系の改造車である20400系により日光線ローカルの役目からも追われ、東武本体で6050系の全廃が決定したのが2022年の3月のこと。同時に会津高原尾瀬口~会津田島間のみの電化区間しか持たない会津鉄道が同形式を廃車としたので、同形式は野岩鉄道のみに残ることとなりましたが、野岩でも3編成のうち1編成が廃車、残る2編成のうち1編成は検査切れで運用を離脱し、この61102編成だけが現在運用に就いています。野岩鉄道はコロナ禍の中で2022年3月で大規模な減便ダイヤを実施し、日中の線内列車はほぼ東武から乗り入れる特急リバティに任せている状態なので、自社車両を使用した線内列車は朝晩だけ。なかなか撮影する機会も少なくなってしまった6050系ですが、この週末は日中に紅葉臨時列車が線内を2往復すると聞いてはるばる川治までやって来たのでありました。
川治温泉は、「鬼怒川・川治」なんて一括りにされますが、鬼怒川に比べるとだいぶ小ぢんまりとした温泉街。それでも、男鹿川に沿って「一柳閣」や「隆陽館」を始めとする老舗ホテルが立ち並んでいます。お湯もね、硫黄っ気を少し含んだ熱めの湯で湯量も多いし悪くないですよ。大浴場中心で湯使いがイマイチな鬼怒川よりいいんじゃないですかね。ただ、ちょっと鬼怒川より15kmくらい奥に入るのでアクセスが・・・ってのはあるかもなあ。どうせ奥に行くなら湯西川っていう選択肢もありますんでね。駅から温泉街は10分程度ですから、温泉客の呼び込みに野岩鉄道が活用されていればいいんですが、実態はなかなか厳しいようです。
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