青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

甲信越酷道ツアー最終回(松之山~上越)

2005年06月23日 22時38分17秒 | 日常
(写真:早朝、宿の前から雲海を見る)

なんだか朝もはよから宿の中は騒がしい。
廊下を歩く音、階段を下りる音に目を覚ます。
他の何組かのお客が、バードウォッチングに出かけて行くらしい。枕元の携帯を見ると、朝五時。寝たのが早かったせいか、こちらもパッチリと目が覚めてしまった。
昨日は蒸し暑かったので窓を開けっ放しで寝てしまったのだが、さすがに越後路の朝はヒヤリとした空気が部屋の中に満ちて、浴衣の前もはだけまくりの体が寒い。暖かい風呂だけはいつでも入れるのが温泉旅館の良い所。浴衣の前を直して、宿の玄関からつっかけサンダルで翠の湯へ。外へ出ると、玄関から見た松之山の町はすっぽりと雲海の下に隠れている。早起きは三文の得とはよく言ったもんだ。
露天風呂で暖まった後、部屋へ戻って二度寝。目玉焼きとシャケの朝メシを食べて、もう一度風呂にゆっくりと浸かってから出発。終始愛想の良いイナセな女将&終始明るい義理の嫁さんに別れを告げ、駐車場から車を出す。宿のおばあちゃんは、腰を深々と折って、頭を下げて私を見送る。広い部屋と、美味いコメと、良いお湯と、愛想の良い一家=全部ひっくるめて一万円切りました(笑)。

兎口の丘を下りて、松之山市街から再びR405へ戻る。ここからは、東頸城丘陵に沿って緩やかに上越市を目指すルート。まずは三方峠越え。峠の麓から比較的広い2車線で快調に峠を詰めて行く。「意外と快走路じゃん」と思いきやいきなり道が細くなって、

orz

峠の下に出しとけよ…
看板を前にしばらく思案していると、通行止めの看板の向こうから地元の農家の爺さんの軽トラがやって来て平然と私の横を通り過ぎ麓へ降りていった。ココまで来て麓へ降りて別の道を迂回するのは正直かったるいので、行ける所まで行こうと腹をくくる。だいたい「冬季降雪前に安全施設を取り外した」って理由が意味わかんねーし!と軽く逆上し気味に突入。
結論から言うと、道路上および周辺各所に「ここが土砂崩れしたんだな」と言う新鮮な爪痕(笑)があったものの路上の土砂堆積などは一切なく、無事に三方峠を抜けて中立山地区へ抜ける事が出来た。決して誉められた行為ではないが、まあ拍子抜けの部類でした。でも、雨の日とかはやっぱりヤメといたほうがいいかもしれん(笑)。ただでさえ東頸城丘陵ってのは地盤が緩くて、何度も地すべりとか起きてる地域だしね。
ちなみに「東頸城丘陵 地すべり」でググるとこんな感じで、出るわ出るわの関連記事。

旧安塚町、旧牧村(共に現在は上越市編入)を経て上越市へ。峠を下りると小さな川沿いに集落があり少し道が広がって、集落を抜けると森の中への細い登りとなり、こんもりした森の小さな峠を抜けると下り、青い空と低い山並みの中に広がる農村風景が広がって、また小川沿いに小集落がある、というのを何度も繰り返す。
丘を越えて道は続く。カーステは切って、鳥の声と田んぼの中のカエルの大合唱を浴びながら田園ワインディングをお腹一杯に楽しむ。道の駅「雪のふるさとやすづか」では初夏の陽気にもとけずに頑張る雪だるまに見送られて、上越市内へのラストラン。旧牧村の市街を抜けると上越平野の田園地帯。直線区間が長くなって、上越市高田市街・鴨島交差点にて北国街道R18とぶつかり、昨日の秋山郷から2日間に亘るたった90kmのロングラン(?)は終了です。

帰りはR18~R292~R406~R144~R146~碓氷軽井沢ICから帰途へ。
てか、このルートをレポってもあと一週間かかりそうなんで割愛しますw
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甲信越酷道ツアーその4(津南~松之山)

2005年06月23日 00時13分47秒 | 日常
(写真:今宵の宿 松之山兎口温泉 植木屋旅館)
家族全員でやってる、ふるさとの我が家。

一直線の道を堪能し、津南町大割野交差点到着。久しぶりに街らしい街だ(笑)。うは、銀行があるwwwとか喜びもつかの間、信濃川を渡って津南駅前を右折。遮断機は別に必要なさそうな飯山線の踏切を越え、再び松之山市街に向けて山道を上がって行きます。

さて、津南~松之山間の地図を見ると、この道のすぐ東側に豊原峠の下をトンネルでぶち抜くR353があるため、このR405津南~松之山間は12月~6月頭まで半年間閉鎖されます。半年使えない道にはカネかけない→整備後回し→順調に酷道化へ進んでいる区間のようです。
踏切の少し先からいきなりこんな感じ(笑)。秋山郷のR405より酷度が上がったような気がするヘボヘボな道です。まあ秋山郷は秘境と言えども住人がいるからなあ…交通が途絶しないよう冬でも管理は入っている秋山郷地区より、別になくても良い津南から松之山へのR405の方が未整備なのもこれは頷ける話であります。地図で見てもつづら折れの細い峠道なのは分かっていただけるかと。ちなみに「七曲り」ではホントにヘアピンが7連続してました(笑)。
20km/hくらいでゆっくり森の中の細い山道を上がると、見晴るかす津南の町。結構登ってきたんだな…松之山との境の名も無き峠を越えると、日本の正しい農村風景が。日本むかし話から切り取ったような風景に、車を路肩に寄せしばし見とれる。ぴいひょろと鳴く鳥の音、さわさわとなぜるように棚田を渡る風。この土地の字名は「天水島(あまみずしま)」と言うらしい。天から降った雨水が、島のような棚田に満ちている。実に風景とマッチした土地の名前だと思います。

小さなトンネルで分水嶺を越え、松之山の市街へ。時間は午後3時だが、朝も早かったので早速宿に入って休む事とする。今回のお宿は、松之山の温泉街から少し離れた丘陵地の上に立つ「兎口温泉・植木屋旅館」。ちょっとイナセ感のあるうちのかーちゃんくらいの女将さんがお迎え。部屋に通されたら、一人泊なのに16畳部屋(8畳×8畳)。広杉(笑)。この広さどっかで…と思ったら、ハギーさんの占有面積とほぼ同じですねw
浴衣に着替え、缶ビールをかっくらって一眠り。起きたらば陽も夕方に傾き、いそいそと宿の離れのブナ林の中にある露天風呂で一人旅の疲れを癒す。「翠の湯」と言う名前にぴったりの森林浴気分。塩辛く苦味があって、ゴムを燃やしたような微妙な臭気がする松之山のお湯。普通に嗅いだら変な匂いだと思うが、妙にシンナー中毒のようにクンクン匂いをかいでしまうのであった。
夕食は山菜を中心とした食い切れないほどの料理と、オヒツ一杯のコメの美味さに感激。越後の人はこんなコメをデフォで食ってるのか…と感心するほど美味しい。コメの一粒一粒にコシがあるような感じだ。珍しく頼んだヒヤ酒も、するすると喉にほどけてゆくようで…いい気分になってNHKスペシャルを見ているうちにトロトロと眠り込んでしまった。

明日へ続く。
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甲信越酷道ツアーその3(切明~津南)

2005年06月21日 21時54分59秒 | 日常
(写真:県道秋成下船渡線)
おい大西、カルストンライトオ乗って今すぐココに来いw

腰までの湯に浸かりホコホコと午前の陽射しに温まった岩の上で着衣完了。切明を後にして国道405号線を北上する事にする。国道405号の出発点は群馬県長野原町、さっき朝早く通過した場所だ。ただし群馬県側の六合村最奥の野反湖から切明まではこのように分断されております
R405の他にも、新潟県内ははR289八十里越、R352山古志、R353四万~湯沢、R291清水峠、R403須川峠と、国道のくせにかなりの道がこのように途切れたままあだ花のように残っている。全通が待たれる…のだが、正直この切明の雰囲気を見るに付け、「こんな所に国道は必要だったのか」と聞かれたら「(゜⊿゜)イラネ」と否定するしかないw。将来的に開通する見込みもなさそうだしな(笑)。作る気もないだろうが…
ともあれ、道が前にあれば走るのみ。切明からヘボヘボなR405がスタート!…と思いきや、切明付近は落石のためゲートがガッチリかかり「当分の間通行止め(原文まま)」=直す気ナシですか。そうですか。のっけから拍子抜け。不本意ながらこの地図で言うと国道の左側の道を進み、栄村和山地区からR405の旅を開始する事とする。
切明から雑魚川は中津川と名前を変え深い谷を刻む。その河岸段丘の上を、左に秋山郷の象徴とも言われる鳥甲(とりかぶと)山の急峻な山容を見ながら、小さな集落を縫って道は走る。秋山林道で十分に酷気分を味わっているので、こんな1車線程度の道ですら鼻歌まじりだ。とうとう自分も酷ダーズハイ?(なんじゃそら)みたいだな。窓を開けると、道の脇に元気良く生い茂る草いきれがムワッと車内に入り込み非常に蒸し暑い。
意外にも長野県側は普通の狭い道と言う感じで、これと言った感想ナシ。こんなもんなのかな?と思いつつ新潟県境到着。「幅員狭し」と崖崩れAAキターw。てか、県境とか市境で道路整備の強弱が付く場所って言うのは珍しくないですよね。全体的な印象として、道路整備力は長野県>新潟県でした。ちなみにこの地図で言うとR405の右側の「東秋山林道」の方が道が良く、ほとんどの車がそちらを通るようで、この区間はないがしろにされている様子。路肩決壊(直す気ナシ)アクセル厳禁(制限速度としては国道最遅だろ)不気味なスノーシェッド(上が自然に帰りかけてますね)となかなか楽しめる道でありました。

津南の町へ近づくに従って、道の周りから山が遠ざかって行く。そのまま津南の町に出てしまうのはつまらないので、「快適ストレート 日本離れした風景」というツリマプに釣られて、県道秋成下船渡線へ寄り道してみる。

この道が画像トップの写真です。
ど真ん中直球160km/hのストレートに笑ってしまった(笑)。
思わずぬわわ~ぬふわkm/hで2往復して、津南到着。
明日へ続く。
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甲信越酷道ツアーその2(秋山林道~切明)

2005年06月20日 23時40分28秒 | 日常
(写真 秋山林道から切明方面を望む)
その2なので、その1読んでから読んでね。

今居る場所はココです。
てか、目隠しされてここまで連れて来られて、この地図だけ渡されて放置プレイされたら、自分ならとりあえず泣いてみる(笑)。なんか糸井重里が埋蔵金探し始めそうな地図だな。一応2万1千分の1ですが。
こっから地図で言うと右のほうに、下に流れている雑魚(ざこ)川に沿って走るのが奥志賀と秋山郷を結ぶ秋山林道。川もザコ扱い(笑)になるくらい人跡未踏の地を結ぶ。暇人と物好きと何かやらかして追っ手から逃れたい人~例えば同点9回一死満塁で初球5ゴロ併殺のサブローとか~以外には用のない道と理解してください(笑)。
走り始めていきなり「ここは林道なのよ~」と言わんばかりに法面がいい感じで自己主張している。ちょっとガクブルw。この手の道の単独行で一番怖いのが自然災害と事故と車両故障だからね…携帯繋がらんから警察もJAFも呼べないし。まず呼んでもこんなとこまで来ないだろうが。
ともかくとんでもない山の中である。上記の写真は林道から切明方向を望んだものだが、切り裂くような深い谷と折り重なる山々、そして濃厚な原生林の緑が、キレイと言うよりはどっしりとのしかかって来るように不気味で息苦しい。自然の脅威を見せ付けながら、昼なお暗き道が秋山郷最奥の地・切明まで18km続く。ただ、全線舗装なのが救いで、アップダウンが少ないのが幸いである。さすがに酷道界の中村ゴーヤと言われた私でも、この道はしばらくおかわりいらねーwと思いながら切明到着。

ここ切明は「秘境」と言われる秋山郷のそのまた最奥、2000m級の岩菅山と苗場山に囲まれ、魚野川が深い谷を刻む。江戸時代に島田という物好きな村のオッサンがこの地を切り明けたために「切明(きりあけ)」と言う名前になったんだそうな。冬の豪雪で里との連絡手段も寸断され、雪崩や大洪水で何度も離村の憂き目にあったこの集落は、現代においても住民はおらず、季節営業の温泉宿が3軒営業しているだけである。
広い駐車場を持つ「雄川閣」と言う宿の前の駐車場に車を止め、河原へ降りてゆく。切明温泉のお湯は魚野川の河原から湧出しており、河原に降りてスコップで掘れば熱いお湯がこんこんと湧いて、マイ露天風呂を楽しめるのだ。自分で掘らずとも、こんな感じで先人の作った湯船もあるので苦労はいらない。ただし源泉そのままでは70℃ほどあるのでかなりアッチッチ。川の水とベストブレンドの場所を探して河原をウロウロしました。ええ、もちろん全裸で(笑)。どーせ誰も見てないし、誰も居ないし、そして誰も来ないしな。
なかなか場所が見つからずようやくベスポジ発見。しょせん河原を掘っただけなので腰程度までしかないお湯だが、ケツの下からポコポコと熱いお湯が染み出して来て、こそばゆい。

ちなみにここがベスポジだ!覚えておくよーにw
明日へ続く。
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甲信越酷道ツアーその1(自宅~秋山林道入口)

2005年06月20日 22時46分12秒 | 日常
(写真は秋山林道入口ゲート)

自宅を朝4時に出発、小雨混じりの中を関越道所沢ICから高速へ入る。最初は渋川伊香保からR353中之条経由で長野原へ向かう気でいたのだが、5月の渋峠訪問時と同じルートを辿るのもつまらんと思い直し高崎ICで降りて、榛名山の南側を通るR406をトレースする事にした。
倉渕村から俄然山深くなる。須賀尾峠は人気のない寂しい峠だが、ほぼ2車線のウォーミングアップにはちょうど良い山道であった。最後長野原でR145に接続する500m程度の部分だけ集落の中で道が1車線となってしまう為に「大型車通行不能」と言うなんとも理不尽な道である(笑)。この集落だけ吾妻川の八ツ場ダム建設の為に水没するらしく、未改良で残されているためらしい。
長野原からはR292で湯の町草津を抜け、志賀草津道路に入り草津白根、渋峠、山田峠、横手山。今回は薄雲りでそこそこの見晴らし。全くもって景色の良い道である。窓を全開にして朝日と高原の風を浴びながら志賀高原・丸池到着。奥志賀公園線(県道471号)にて」秋山郷を目指す。なんか自分の行く方向を見るとヒザのじん帯がムズムズするのは気のせいでしょうかw
「さて、険道(県道)の始まりか!」とひと気合を入れて走り始めたのだが、長野オリンピックで相当道が改良されているらしくかなりな高規格で拍子抜け。降雪の除雪スペースを十分に確保しつつなおかつ観光バスが走っても全然OKな程。ヘタな2車線道路よりも道が広く、逆にセンターラインがないせいかどこを走ったら良いのかわかり辛くてかえって落ち着かないのであった(笑)。スキー場と大型のロッジが連続し、適当に軽くアップダウンする道。右側に岩菅山を見ながらの広い道は奥志賀高原まで続く。
奥志賀高原を過ぎて木島平村に入るとようやっと1~1.5車線に道も狭まり酷なカホリが。道の周囲を覆う森の緑濃く、車ごとの森林浴のようだな。ほどなく秋山郷への分岐点であります。
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