青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

森の水を集めて

2020年07月11日 22時00分00秒 | 箱根登山鉄道

(緑滴る@蛇骨川渓谷)

箱根の山に降る雨を集めて、内輪山を流れ下る蛇骨川の渓谷。緑の森に涵養された沢水が、清らかに苔生した火山岩の渓谷を滑って行きます。早川の支流としては須雲川に次ぐ規模の支流で、深く刻まれた谷底からは、箱根七湯として歴史に刻まれた底倉温泉や堂ヶ島温泉などが湧き出しています。この写真を撮影したのが確か去年の夏ごろ、サンナナが引退するくらいの時期だったと思いますが、昨年の秋の台風被害で最も大きな崩落を起こしたのがこの蛇骨川の沢筋。豊かな森の姿は見る影もなく、土砂と倒木でめちゃめちゃになってしまいました。現在は橋梁を修復するため大規模な足場が組まれ、大型の重機が運び込まれています。

金曜日から無事に全線で試運転が開始された登山電車。強羅に留置されていた車両も早速山を降りて入生田に運び込まれたそうです。山を降りる段では事業用電車であるモニ1+104-106の珍編成が組まれ、盛り上がったようですね。

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止まない雨はない

2020年07月09日 20時00分00秒 | 箱根登山鉄道

(復旧へ向けて@小涌谷駅前)

小涌谷の駅前に掲示された、台風19号からの箱根登山鉄道復旧への歩み。今日から強羅~宮ノ下間の試運転が開始されたそうで、テレビではヨンロク編成が動き出した映像が流れていました。呆れるほど本当によく降る今年の梅雨、九州に続いて今週は中部地方にも被害が出ているんですが、どこまで降り続くんだろう。自分が子供の頃の梅雨は、もっと空気がひんやりしてジメジメ、シトシトとしていたように思うんですよね。「梅雨寒」なんて言葉があったくらいだけど、今の梅雨は湿っぽく生ぬるい南風が強く吹いていて、なんだかずっと台風の中にいるような感じがする。

天下の嶮として名高い箱根を走る登山鉄道。観光客が大半の路線ですが、僅かながら通学で使用している学生の姿を見る事が出来ます。強羅の函嶺白百合学園からの暖かい応援メッセージ。東京九段で校舎を構えるカトリックの学校でしたが、戦時中疎開した強羅に校舎を構え現在に至ります。平日の登山電車、朝の座席を埋める白百合のセーラー服は箱根の風物詩の一つでしたが、箱根地区の人口減少に比例して、生徒数も減少しているそうです。

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明日へ、レール繋げて

2020年07月04日 17時00分00秒 | 箱根登山鉄道

(もう少し、あと少し@小涌谷駅)

7月23日の運転再開を前に、急ピッチで復旧整備作業の進む小涌谷の駅。長いこと使われていなかった架線も、改めて新しいものに取り換えられていました。転轍機の部品に注油をして調整の作業。いよいよ電車を通す時が近付いているのを感じさせます。作業をしている現場の方々の顔にも笑顔が戻って来ました。もう少し、あと少し。

強羅駅の留置車の様子。去年の10月、あの台風の日からねぐらである入生田の車庫に帰れないままです。104-106の2連、サンモリッツの3連、アレグラの3002-3101-3102の3連が取り残されていましたが、つい先日アレグラは彫刻の森駅臨時ホーム側に移動していました。強羅駅のホームは代行バスを待つ観光客の列が。早くお客さんを乗せて走りたいよね。

休車を告げる紙が貼られたヨンロク。運転再開まであと2週間を切りましたね。台風被害から復旧まで10ヶ月の期間を要した箱根登山鉄道ですが、今度は九州中部の豪雨で球磨川の大水害のニュースが飛び込んできました。特に肥薩線の「川線」と呼ばれる八代~人吉間の被害は甚大で、その中でも球磨川第一・第二橋梁の流出はねえ。肥薩線のシンボルのような「生きた鉄道遺産」でしたから、その損失と喪失感ははかり知れません。1908年に架橋されてから、112年間も流されずにいた橋が流されたという事自体が、この大雨がいかに異常なレベルのものであったかという事なんでしょうが、九州では久大本線、豊肥本線、日田彦山線に続いて長期不通は避けられませんし、そもそもコロナ禍で旅客収入が大きく落ち込む中でJR九州に復旧への意欲と体力があるのかどうか。

自然災害では毎年のように全国の多数の鉄道路線が長期運休を余儀なくされていますが、足元では首都圏でのコロナ感染の再拡大と相俟って、運輸・観光業には引き続き見通しの厳しい夏が予想されます。目の当たりにする甚大な被害状況、色々と知っているからこそ冷静に鉄道マニアは「廃線もしょうがないんじゃないの」と言ってしまいがちなんだけど、「繋がらないレールはない」と信じたいものです。

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試運転なぜなに話

2020年07月01日 17時00分00秒 | 箱根登山鉄道

(日の当たる坂道@出山信号場~大平台駅間)

箱根登山のシテン絡みでブログを書いてるせいなのか、最近ツィッターの方で見ず知らずのアカウントから「試運転のダイヤ教えて下さい」とか「大平台駅まで来ずに手前で折り返すのはなぜですか」とかダイレクトメッセージで直接聞いてくる方がいらっしゃいます。全線開通まで一ヶ月を切った中で、その動向に注目が集まっているのが分かりますが、こちらは別に関係者に知り合いがいる訳でもなく、ただの物見遊山な一人のマニアがテキトーな事をつらつらと書き連ねているだけなんで、そういうのは知らないんですよねえ・・・申し訳ない。というか、試運転のダイヤって言っても沿線に出張ってれば少なくとも30分以内でどっちかからは電車来るので、そんなに気にするほどのもんでもないように思う。ちなみに、先日複数ポイントで各列車の通過するサイクルを見ていたのだが、(乗務員交替5分)湯本(←5分→)塔ノ沢(←5分→)出山(←5分→)大平台(←5分→)上大平台(←5分→)折り返し点(折り返し作業5分)くらいの感じで回ってる印象。1往復が1時間のサイクル。見たままだけどだいたい間違ってないと思う。朝の始動は結構早くて、8時前くらいから試運転やってるみたいね。

そうそう、時と場合によるみたいなんだけど、試運転を大平台まで運転せずに、駅の手前の坂道(表題画像)の途中で打ち切っちゃって湯本方面に取って返すという試運転の短縮バージョンがあるようですね。大平台の手前の80パーミルの坂の途中でわざわざ電車を止めて折り返しているらしい。たぶんDMで聞いて来た人は、「なんで折り返し仕業のやりやすい駅まで来ずに途中で折り返しちゃうの!(駅まで来れば写真も撮れるのに!)」って思ったのでしょう。が、駅の配線を見ると分かるんですけど、大平台の駅って②のスプリングポイントの定位(通常時の固定位置)が強羅方向(③方向)に開いてるんで、湯本方向には折り返し出来ないんですよね。通常時、湯本からの電車はポイント①②を通過してホームに入り、折り返して②→③→④と強羅方面へ出て行きますが、ホーム側からは②の定位が強羅側(③方向)なので湯本方向には進めません。②のポイントは、ポイントの先っぽを車輪で押し出して①→②と進む事は出来るのですが、通過後にはバネの力で③方向に戻ってしまうので、②→①と進む事は出来ないのです。

いつぞやの大平台の同時進入シーン。ちなみに強羅から来た電車は、④③のポイントをを真っすぐ走ってホームに入り、折り返してからは③④を通過し①を車輪で割り出して山を降りて行きます。ここでミソなのは、定位が決まっている①②③と異なり④だけは普通に信号と連動で動くポイントであるという事。なので、通常時は④は直線方向を向いていますけども、坂を降りる際にだけ①方向に開いて進路を構成するのです。もし強引に大平台駅での折り返しを設定するなら、強羅行きホームからの出発時に④を①側に開く進路を構成して、②③④①と通過すれば湯本に戻れない事もないんだけど、なんか電車が脱線しそうだし、そもそもそういう信号を出せるプログラムになっているのかどうか。なんか説明がまだるっこしいんだけど、ようは駅まで来ずに大平台の手前で折り返してるのは「駅では湯本方面に折り返せないから」なんじゃねーのかなと。そして、そういう配線にしているのは、ホーム停車中の電車がもしブレーキの緩みか何かで動き出した場合でも、絶対に坂下側には落ちないようにするというフェイルセーフの考え方が基礎にあるのではないかと思っています。

んで、この試運転の短縮バージョンには、紫陽花の時期にダイヤも公開していない試運転列車を走らせてしまうと、紫陽花見物の観光客や登山電車狙いのカメラマンとの不慮の事故を招きかねないので、あえて踏切のない区間だけを走っているのではないか・・・というのもあると思います。特に大平台周辺には警報機も遮断器もない4種踏切が6つもあって(大平台東口×2、大向、原田、荏原、大平台隧道前)、宮ノ下の手前まで試運転を入れる日は各踏切にガードマン出したりしているようなのでねえ。これは憶測なのだけど。

見知らぬアカウントの君、これが自分なりに考えた質問の答えなのだけど、いかがなもんでございましょ?

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