12/1(水)、県は平城遷都1300年祭の集客状況など、開催効果等について「第2回中間まとめ」を発表した。朝日新聞奈良版(12/2付)によると、《平城遷都1300年祭、1740万人が来場 県中間発表》《平城遷都1300年祭の来場者数について、主会場の平城宮跡会場(11月7日閉幕)と「巡る奈良」事業(10月末現在)を合わせて延べ約1740万人に達した、と県が1日、中間発表した。来場者アンケートから、消費総額は約967億円にのぼると推計している》。
※第1回中間まとめ(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/e9044315e37b042630def5297e3ec626
宮跡会場の最終日にも、せんとくんは大人気(11/7)
《来場者数のうち、同会場(4月24日~11月7日)は予想の約1.5倍の約363万人に達し、団体は約1万6千を数えた。県内各地で展開された1300余りのイベントからなる「巡る奈良」事業は約1380万人で、予測の1.6倍に達した。そのうち「祈りの回廊~奈良大和路 秘宝・秘仏特別開帳~」や特別講話は約391万人が訪れ、大半の寺社は前年比で約2~10倍増えたという》。
※県の報道発表資料
http://www3.pref.nara.jp/hodo/dd.aspx?itemid=36259#itemid36259
宮跡ガイドツアー(10/30)
9/1から、秘仏・金剛蔵王権現を特別開帳している金峯山寺蔵王堂(吉野町吉野山)では、11/29に拝観者が10万人を突破した(例年の10倍以上)。晴天に恵まれ、絶好の行楽日和となった11/21(日)などは、1日だけで約4,500人が訪ねたというから、すごい。秋津遺跡の現地説明会と同日、11/28に特別講話が行われた一言主神社(御所市森脇)では、受講者が社務所に収まりきれず、境内にまではみ出したという。
11/8、木津川市の海住山寺で行われた特別講話(講師は西山厚さん。次の写真も)
《アンケートは、同会場と15カ所の観光地への来場者に、どこから来たか▽宿泊か日帰りか▽何カ所立ち寄ったか(訪問地点数)▽滞在中の消費額――などを尋ね、約2千人から回答を得た。延べ来場者数を平均訪問地点数(1.7カ所)で割った実人数に、平均消費額を掛けて総消費額を約967億円と算出した。県内宿泊率は約23%と「普段に比べてかなりいい数字」(観光振興課)で、県内22カ所の宿泊施設も軒並み前年を上回った》。
※朝日新聞奈良版(12/2付)
http://mytown.asahi.com/areanews/nara/OSK201012010195.html
平均消費額(推計)は、約1千億円だったのだ。荒井知事は常々、「県外への消費流出額は、県全体で年間約5千億円に上る」と嘆いているが、これだけで約1/5が取り戻せたことになる。
12/2に公表されたホテル日航奈良(奈良市三条本町)のプレスリリースには《平城遷都1300年祭効果 11月の平均稼働率 99.1% 9ヶ月連続で月毎の平均稼働率が歴代最高値!》とある。《11月単月の平均月間稼働率は99.1%。5月に並びホテル日航奈良史上最高値を記録。11月は例年、紅葉や正倉院展など観光シーズンのピークであることから、月間平均稼働率が毎年90%を超える、1年の中で一番稼働の高い月で、今年度は稼働率100%以上の日が30日中24日間を占めました》。ホテルサンルート奈良(奈良市高畑町)の11月の稼働率も99.5%と、ほぼ毎日が満室状態だったそうだ。
※ホテル日航奈良のプレスリリース
http://www.nikkonara.jp/pressrelease/2010/pr_20101202.html
海住山寺の五重塔(初層が特別公開)。11/8
朝日新聞の引用を続ける。《同会場の来場者は県外が約8割を占めた。全体の印象として「大いに満足」が17.8%、「やや満足」が39.2%と答え、「やや不満」「非常に不満」は計12%だった。荒井正吾知事は「よかったと思って帰ってもらうことが最大の目標だったので、評価されてうれしい。さらに分析を進め、来年以降の催しにつなげたい」と話した》。
「1300年祭で潤うのは県北部だけで、中南部は関係ない」という声をよく聞いたが、それはお門違いだった。読売新聞奈良版(12/2付)は《県中南部にも470万人 にぎわい全域》という大見出しをつけた。《観光振興などが課題となっている県中南部地域にも約470万人が訪れるなど、県内全域がにぎわったことが明らかになった》《地域別では、県北部地域が約910万人、中南部地域に約470万人で、県は「魅力のあるイベントが行われた地域には大勢の人が訪れた」としている》。荒井知事は《「県と社寺、地元自治体、観光団体などが一体となったことが成功につながった。今後に生かしたい」と述べた》。
特別開帳に先立ち、説明会が行われた円照寺(11/5。次の写真も)
470万人という人数は、10月末までの数字であり、今後は金峯山寺蔵王堂(特別開帳:12/9まで)、壷阪寺(12/18まで)、室生寺(12/4~12/26)の数字などが上乗せされるから、もっと膨らむことだろう。
県は「メディアへの露出による広告効果」の数字まで発表し、一部新聞はそれを鵜呑みにして掲載した。《「せんとくん」のPR効果(9月末)は広告換算額で約225億400万円に上るとした》(奈良新聞12/2付)。《しめて約225億400万円―。年明けの「奈良まほろばソムリエ検定」試験に出るかどうかは分からないが、この数字は「せんとくん」のPR効果(9月末)を広告に換算した額だという》(同紙12/3付「國原譜」)。
この数字は(私もかつて無理矢理やったことがあるが)、新聞に載った記事の面積に「面積(段)当たりの広告料金」を掛けたり、テレビ番組に登場した秒数に「秒当たりのスポットCM料金」を掛けたりして、それを合計した数字であり、とても乱暴なものだ。こんなあやふやな数字は公言できるものではないし、決して奈良検定にも出ないので、受験者の方はご安心いただきたい。
いよいよ明日(12/5)には平城遷都1300年記念「奈良マラソン2010」が開催される。私の勤務先はこのイベントに特別協賛しているし、30人以上の同僚がランナーとして参加する。私の隣の部署などは、部長はじめ男性5名がフルマラソン、女性1名が10kmの部に出場する。「ウチの若いモンも、なかなかやるなぁ」と感心している。
http://www.nara-marathon.jp/
イベントに出場したり、ボランティアとして協力したり、カンパしたり、家の軒先に「せんとくん」の垂れ幕を掲げたり、と方法は様々だが、何らかの形で「100年に一度の祭典」に協力した県民は数多い。私は、この祭典の最大の成果は、県民自身が「自分も県観光振興のステークホルダー(利害関係者)だ」と気づいたことだと思っている。
聖武天皇は「大仏造立の詔(ぞうりゅうのみことのり)」で、「一枝の草、一つかみの土といった、たとえわずかな力であっても、志があれば進んで参加するように」と呼びかけたというが、これこそが「天平システム」である。そこが県民手作りの1300年祭と、大手広告代理店頼みで翌年から来県客が大きく落ち込んだシルク博(1988年)との大きな違いなのである。
ポスト1300年となる来年以降も、この「天平システム」で、大いに奈良を盛り上げたいものである。
※トップ写真は、10/8に行われた記念祝典
※第1回中間まとめ(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/e9044315e37b042630def5297e3ec626
宮跡会場の最終日にも、せんとくんは大人気(11/7)
《来場者数のうち、同会場(4月24日~11月7日)は予想の約1.5倍の約363万人に達し、団体は約1万6千を数えた。県内各地で展開された1300余りのイベントからなる「巡る奈良」事業は約1380万人で、予測の1.6倍に達した。そのうち「祈りの回廊~奈良大和路 秘宝・秘仏特別開帳~」や特別講話は約391万人が訪れ、大半の寺社は前年比で約2~10倍増えたという》。
※県の報道発表資料
http://www3.pref.nara.jp/hodo/dd.aspx?itemid=36259#itemid36259
宮跡ガイドツアー(10/30)
9/1から、秘仏・金剛蔵王権現を特別開帳している金峯山寺蔵王堂(吉野町吉野山)では、11/29に拝観者が10万人を突破した(例年の10倍以上)。晴天に恵まれ、絶好の行楽日和となった11/21(日)などは、1日だけで約4,500人が訪ねたというから、すごい。秋津遺跡の現地説明会と同日、11/28に特別講話が行われた一言主神社(御所市森脇)では、受講者が社務所に収まりきれず、境内にまではみ出したという。
11/8、木津川市の海住山寺で行われた特別講話(講師は西山厚さん。次の写真も)
《アンケートは、同会場と15カ所の観光地への来場者に、どこから来たか▽宿泊か日帰りか▽何カ所立ち寄ったか(訪問地点数)▽滞在中の消費額――などを尋ね、約2千人から回答を得た。延べ来場者数を平均訪問地点数(1.7カ所)で割った実人数に、平均消費額を掛けて総消費額を約967億円と算出した。県内宿泊率は約23%と「普段に比べてかなりいい数字」(観光振興課)で、県内22カ所の宿泊施設も軒並み前年を上回った》。
※朝日新聞奈良版(12/2付)
http://mytown.asahi.com/areanews/nara/OSK201012010195.html
平均消費額(推計)は、約1千億円だったのだ。荒井知事は常々、「県外への消費流出額は、県全体で年間約5千億円に上る」と嘆いているが、これだけで約1/5が取り戻せたことになる。
12/2に公表されたホテル日航奈良(奈良市三条本町)のプレスリリースには《平城遷都1300年祭効果 11月の平均稼働率 99.1% 9ヶ月連続で月毎の平均稼働率が歴代最高値!》とある。《11月単月の平均月間稼働率は99.1%。5月に並びホテル日航奈良史上最高値を記録。11月は例年、紅葉や正倉院展など観光シーズンのピークであることから、月間平均稼働率が毎年90%を超える、1年の中で一番稼働の高い月で、今年度は稼働率100%以上の日が30日中24日間を占めました》。ホテルサンルート奈良(奈良市高畑町)の11月の稼働率も99.5%と、ほぼ毎日が満室状態だったそうだ。
※ホテル日航奈良のプレスリリース
http://www.nikkonara.jp/pressrelease/2010/pr_20101202.html
海住山寺の五重塔(初層が特別公開)。11/8
朝日新聞の引用を続ける。《同会場の来場者は県外が約8割を占めた。全体の印象として「大いに満足」が17.8%、「やや満足」が39.2%と答え、「やや不満」「非常に不満」は計12%だった。荒井正吾知事は「よかったと思って帰ってもらうことが最大の目標だったので、評価されてうれしい。さらに分析を進め、来年以降の催しにつなげたい」と話した》。
「1300年祭で潤うのは県北部だけで、中南部は関係ない」という声をよく聞いたが、それはお門違いだった。読売新聞奈良版(12/2付)は《県中南部にも470万人 にぎわい全域》という大見出しをつけた。《観光振興などが課題となっている県中南部地域にも約470万人が訪れるなど、県内全域がにぎわったことが明らかになった》《地域別では、県北部地域が約910万人、中南部地域に約470万人で、県は「魅力のあるイベントが行われた地域には大勢の人が訪れた」としている》。荒井知事は《「県と社寺、地元自治体、観光団体などが一体となったことが成功につながった。今後に生かしたい」と述べた》。
特別開帳に先立ち、説明会が行われた円照寺(11/5。次の写真も)
470万人という人数は、10月末までの数字であり、今後は金峯山寺蔵王堂(特別開帳:12/9まで)、壷阪寺(12/18まで)、室生寺(12/4~12/26)の数字などが上乗せされるから、もっと膨らむことだろう。
県は「メディアへの露出による広告効果」の数字まで発表し、一部新聞はそれを鵜呑みにして掲載した。《「せんとくん」のPR効果(9月末)は広告換算額で約225億400万円に上るとした》(奈良新聞12/2付)。《しめて約225億400万円―。年明けの「奈良まほろばソムリエ検定」試験に出るかどうかは分からないが、この数字は「せんとくん」のPR効果(9月末)を広告に換算した額だという》(同紙12/3付「國原譜」)。
この数字は(私もかつて無理矢理やったことがあるが)、新聞に載った記事の面積に「面積(段)当たりの広告料金」を掛けたり、テレビ番組に登場した秒数に「秒当たりのスポットCM料金」を掛けたりして、それを合計した数字であり、とても乱暴なものだ。こんなあやふやな数字は公言できるものではないし、決して奈良検定にも出ないので、受験者の方はご安心いただきたい。
いよいよ明日(12/5)には平城遷都1300年記念「奈良マラソン2010」が開催される。私の勤務先はこのイベントに特別協賛しているし、30人以上の同僚がランナーとして参加する。私の隣の部署などは、部長はじめ男性5名がフルマラソン、女性1名が10kmの部に出場する。「ウチの若いモンも、なかなかやるなぁ」と感心している。
http://www.nara-marathon.jp/
イベントに出場したり、ボランティアとして協力したり、カンパしたり、家の軒先に「せんとくん」の垂れ幕を掲げたり、と方法は様々だが、何らかの形で「100年に一度の祭典」に協力した県民は数多い。私は、この祭典の最大の成果は、県民自身が「自分も県観光振興のステークホルダー(利害関係者)だ」と気づいたことだと思っている。
聖武天皇は「大仏造立の詔(ぞうりゅうのみことのり)」で、「一枝の草、一つかみの土といった、たとえわずかな力であっても、志があれば進んで参加するように」と呼びかけたというが、これこそが「天平システム」である。そこが県民手作りの1300年祭と、大手広告代理店頼みで翌年から来県客が大きく落ち込んだシルク博(1988年)との大きな違いなのである。
ポスト1300年となる来年以降も、この「天平システム」で、大いに奈良を盛り上げたいものである。
※トップ写真は、10/8に行われた記念祝典
今日の某テレビ局のニュースで関西広域れ号議会が大きく放映されていました。
平城遷都奈良も確か形式上は関西全体でやったことになっていたはず(ホームページで見ました)、なのに奈良だけでやっている・・・と言われています。
それ以外も、奈良県が関西広域連合に加わらないことに関して、数々のバッシング的な発言が広域連合議会でありました。
やっぱり関西広域連合に入った方がいいのでは。ポスト1300年事業は関西全体と連携してやった方がいいと直観しました。
関西全体でみても奈良以上の訪問価値のある都市ってないですよ。奈良市民として関西の中で孤立せず、堂々と関西の中で連帯してやっていけばいいのです。
なんで、奈良だけ関西広域連合に入らないんでしょうか。孤立を奈良県民は望んでいないはず せっかく成功した1300年事業をもっと大きな視点で盛り上げていく方がいいのでは
奈良市在住35歳
> なんで、奈良だけ関西広域連合に入らないんでしょうか。
> 孤立を奈良県民は望んでいないはず せっかく成功した1300年
> 事業をもっと大きな視点で盛り上げていく方がいいのでは
関西広域連合は、救急医療連携や防災などの行政課題に取り組むための組織であり、オールマイティなものではありません。観光面でいいますと、この連合に参加している他府県と一緒になって、中国へ観光ルートを売り込もう、というような話の展開になるでしょうが、直接「ポスト1300年祭の観光振興」に寄与しようとするものではありません。詳しくは以下のHPをご覧下さい。
http://www.pref.nara.jp/dd_aspx_menuid-12228.htm#rengou2
奈良県民でいらっしゃるのなら、あえて申します。(明治9年に堺県に併合されたあと)明治14年に大阪府に併合されたときの惨状をご存じですか? 府政の重点が摂河泉に偏重し、奈良はなおざりにされました。その後、地元選出の府会議員の血のにじむような努力の末、明治20年になって、やっと奈良県が再設置されました。
ポスト1300年祭の観光振興は、奈良県がもつ歴史・観光資源を活用し、他府県が決してマネできない独自の観光プランを大々的にアピールし、誘客を図らねばなりません。