シモツケの葉にホシミスジ
白々と夜が明けてきた。
何とか文字が読める明るさの中、読みかけの「阿部次郎」を読む。
ひととき、生きること、人生に思いを巡らせた。
「北郊雑記」の一節、〈早春の賦〉に
「余は一年のうちのあらゆる季節を愛する。 (中略)
盛んなるにつけ、寂しきにつけ、静かなるにつけ、悲しきにつけ、快活なるにつけ、
みなぎりあふるるにつけて、余は一年のうちのあらゆる季節を愛す。
そうして乱れたる心を理(おさ)めて自然に対するごとに、余は
”Die Erde ist noch schon, und ein Mensch zu sein doch eine Freude”
というシラーの言葉をしみじみと想起する。(後略)」
この後には、春を愛でる心や幼年を回想する思いが綴られてあった。
注)(独)『地上はなお美しい、人間であるということは何と言っても喜びであるし。』
ときどき乱れる心はあるが、人間の壊しようのない偉大な、でもささやかな自然が目の前にある。
庭に下りると小さな虫たちが元気に生きている。
この虫たちの美しさを感じる心と、ささやかな健康がありがたい。
こんな心境で、梅雨の夏の一日を過ごしてみたい。ささやかな幸せを感じながら。
セロリの花にアカスジカメムシ
石の上にクロナガキマワリ
アジサイの葉にジガバチ?の仲間