湯のみの絵付けを頼まれた。
眼をつぶっても描けるいつもの絵、猪苗代湖に浮かぶ秀峰磐梯だ。
ふるさと会津を離れた方の会社での、記念品にするという。
下書きもせずに、なれない筆で呉須で描く。
山肌は少し薄く雪をイメージするいつものパターンだ。
懐かしい伝統工芸に接した若かりし頃が浮かんできた。
昔、陶芸に没頭した一時期も、陶板に描く絵は磐梯山ばかりだった。
ほとんどが学校祭で販売され、手元に残ったのはわずか数枚だ。
そのひとつ、大皿一枚が床の間に置いてある。
他に、いくつか気に入った小さい絵皿は、板につけて飾ってある。
磐梯大皿
久々に、食器棚の奥から作品を出してみた。
大きいお気に入りは、たまの特別な来客のときに刺身皿に使うくらい。
猪苗代湖のヘリに磐梯が聳えているオリジナルデザインだ。
ときどき自作の器で、一段とおいしい食卓になっている。