【重いクモの巣】
昨夜遅くに、昔、勤務校が一緒だったT先生から電話をもらった。
今日、加賀市の「雪の科学館」の神田館長先生がお見えになり、講演があるとのお誘いだった。
むかしT先生から、神田先生は喜多方出身のご親類で、信州大学のご卒業とお聞きしていた。
そんな縁で、以前雪の科学館を訪ねた折に、直接お会いしお話を伺ったことがあった。
時間に、会場の文化センターへ行くと、駐車場は満杯状態で「県高校教育研究会理科部会」との看板が目についた。
受付に行くと、勿工時代の懐かしいO先生に出会った。20年振りだろうか。
特別に大会資料をいただき、ロビーで講演時間を待った。
そこでもまた、会工で一緒のE先生に会いしばらく歓談した。
普段の隠遁生活で、あまり他人と口を利くのもなかったが、当時を思い出し堰を切ったように言葉が出た。懐かしさがこみ上げてきた。
神田館長の演題は 【 「天から送られた手紙」 -雪・氷のふしぎと理科教育- 】
約1時間、実験中心の分かりやすいお話を聞くことができた。
中谷宇吉郎について、その人柄や業績にあらためて胸を打たれた。
講演を聞きながら、いつか科学館を訪ねた折に覚えた感動がよみがえってきた。
大会の研究主題には『わかる授業・納得する実験および授業』とあった。
日々授業を工夫し、その実践に明け暮れていたころが懐かしく思い出された。
ホールの片隅で講演を聞きながら、現職でいろいろ勉強していたころを思った。
大会の事務局の先生方は大変だろう。午後からは分科会があるようだ。
講演後、神田先生に御挨拶することができた。
先生にとって懐かしい常念と、故郷の磐梯の雪景色のスケッチを差し上げた。
あわせて、7年前に北国新聞に投稿した≪「雪の科学館」見学の感想記事≫(*)を探して持参した。
あらためて、こうした縁で、宇吉郎により深く触れることができたことを嬉しく思った。
アウトサイダーですっかり忘れていたかつての教職の世界を傍観し、昔を思い出し懐かしかった。
雨の中を文化センターをあとにしながら、老いた今、年をとることがさびしいことを実感した。
やがて訪れる雪の季節、また、天からの手紙をしっかり読んでみたいと思っている。
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(*) 感銘受けた 雪の科学館 (北国新聞 2003.4.1)
先日、加賀市の雪の科学館で、雪の研究で知られる中谷宇吉郎の世界を垣間見た.
神田館長さんじきじきに冷凍庫の中でダイアモンドダストをつくる実験をして下さった。
後から、館長さんが高校時代の恩師の一言から宇吉郎に出会い、特別な思いを寄せながら雪の研究に関わり続け、
いろいろな縁で現在に到ったことを知り、その劇的な人生に感動を覚えた。
これまで宇吉郎について学ぶ機会がなかったが、これを機に「中谷宇吉郎随筆集」を求め読み始めた。
彼に多大な感化を与えた恩師、寺田寅彦の追憶の文章からは、同時に二人の自然観、科学観を学ぶことができた。
「雪は天から送られた手紙である」と言った宇吉郎は、また雪について「何時までも舞い落ちてくる雪を仰いでいると、
いつのまにか自分の身体が静かに空に浮き上がっていくような錯覚が起きてくる。」と書いている。
まさにそんな体験をした覚えがあるが、私は大好きな雪景色にどれほどこころ癒されたか知れない。
科学館を訪れ中谷宇吉郎博士からさらに大きな感動を貰うことができた。
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