ニュースで東海まで梅雨が明けたと告げていたが、東北はまだしばらく梅雨空が続くようだ。
午前中雲が消えて、ぎらぎら太陽が照り始めた。ヒメシロチョウを見に近くの里山を巡った。
交通量の多い国道からわずか入っただけの里山は静寂の世界だ。
農道にはコオニヤンマが何頭も行き交い、アキアカネ、ノシメトンボ、ミヤマアカネ、ハグロトンボも一斉に出てきた。
アキアカネ
ミヤマアカネ
ハグロトンボ
思った通り、ヒメシロチョウの夏型も現れた。
ほとんど止まらないで飛び続け、除草された土手にわずかに伸びた食草のツルヒジバカマを見つけて卵を産んだ。
ヒメシロチョウ 夏型
産卵
ベニシジミ
ウラギンスジヒョウモン
道路に思いがけないオオムラサキを見つけた。木の実がいっぱい入った糞に止まっていた。
近付いてもほとんど逃げることなく、悠々と口吻を伸ばしていた。
なかなか表翅を開いてくれないので、手を触れると近くの木の枝に止まった。
久しぶりに美しい紫色が光った。その風格は一番だろう。
オオムラサキは日本の国蝶だ。
最近はゴマダラチョウはとんと見かけないが、ときどきオオムラサキの滑空を見ることはあった。
20年前までは我が家の庭にも飛来していた。その滑空する雄姿が脳裏に浮かんでいる。
また、学生のころ、秋にエノキの根元の落ち葉に幼虫を探したことも思い出した。
別の雑木林に行くと、4,5匹のオオムラサキがクヌギの樹液に集まっていた。
のこぎりクワガタやコクワガタもいた。
オオムラサキは環境省のレッドデータブックで「準絶滅危惧種」に指定され、
都市化が進む昨今、雑木林も減り生息地も局地的で少なくなってきている。
市内の我が家の近くで、まだオオムラサキの雄姿を見ることが出来るのは嬉しい。
なんとか今の里山の環境が続いて欲しいものだ。
オオムラサキは全国各地で保護活動が盛んである。
観察会や植樹などは結構だが、放蝶は少し問題があるようだ。
蝶を保護することは、その生息環境を保護することである。
蝶を飼育して野外に放す放蝶について、専門家は
「たとえ同一地域の同一個体群のチョウであっても、飼育・放蝶することにより、
自然状態では淘汰されるべき弱い遺伝子を持った個体を野に放つことになり、
かえって個体群の存続を危うくしてしまうので、よほどのことがない限り放蝶はよろしくない」などと述べている。
1日100種もの生き物が絶滅し続けているという。
細々と生き延びている身近なチョウやトンボがいつまでも生息して欲しいと思う。
オオムラサキをながめながら、愛おしさがこみ上げてきた。