岸辺の緑 夏木立
榎葉蔭(えのきはかげ)の まどろみに
夕暮さそう 蜩の
果敢(はか)なき運命(さだめ) 呪いては
命の流れ 影あせて
あわれ淋し 水の面(も)に
黄昏(たそがれ)そむる 雲の色
大好きな寮歌の一節だ。
【春寂寥 旧制松本高等学校寮歌】
http://www.youtube.com/watch?v=ryeAgRe8-RM&feature=related
ときとして、自然は思いがけない美しさを表現してくれる。
その一つが黄昏の空の色、いつも巡る季節の夕空をながめる楽しみがある。
夕食中に、真っ赤な空が見えた。
余りの美しさに、カメラを手に庭に出た。しかし、空を撮るには、鬱蒼と茂る庭の木々が邪魔をした。
すぐに2階へ上り空の雲を写した。こんなに美しい雲をながめたことはなかった。
食事中の家族を全員呼んで、2階から西の空を仰いだ。
台風の影響か、いつになく真っ赤に染まる夕日に、しばしみとれて佇んだ。
雲の合間からの輝きは、かつて見たことのない希望溢るる輝きのような気がした。
飯豊にかかる雲の色、これまた、初めて見る地球の美しさだった。
折しも、蜩が鳴いた。
自然と、寮歌の一節をつぶやいた。
”あわれ淋し 水の面に
黄昏そむる 雲の色”
台風の成せる大気の織りなす技か、芸術的な黄昏に感動した。
そsて、とうに過ぎ去りし青春が蘇ってきた。