昼、トンボ池に行く途中に、日橋側の清らかな水の流れを見た。
夕方、真っ赤な夕焼けに誘われ庭に出た。
北の上空に、もくもく真っ白な積乱雲を見上げた。
ひとときの自然の織りなす季節の姿を心で受け止めていた。
生き方に思いを巡らせたいときに、日橋川の清らかな水の流れを見に訪れることがある。
そんなとき、川の流れを眺め方丈記の一節を思う。
「 ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。
世の中にある人とすみかと、またかくのごとし。」
特に あの巨大地震以降、無常観に沈み、ずいぶんうつろな日々を過ごした。
いくらか落ち着きを取り戻しつつあるが、依然として原発の不安は消えないし、気を紛らせる毎日のような気がしている。
縁あってお隣に住まれることになったMさん。その心をいつも気にかける日々だ。
ふるさとでの平和な日々が一瞬のうちに失われた。
一時帰宅では、すべて流されてしまった家の周りで、わずか3枚の写真を見つけてきたと聞いた。
鴨長明の方丈記には「三界ハ只心ヒトツナリ」ともある。
どんな状況にあろうが、心の持ちようによって充実した人生がある。
見つめざるをえない現実にも、前向きにと勇気づけたい気持ちを胸に、明るく挨拶を交わす毎日だ。
こんな世の移ろいをぼんやり思い、これからの日本社会、世界、人間、そして一人一人の人生を思っている。
また、良寛、道元,兼好、長明、賢治の世界に触れて、明日からの生き方を見つめてみたい。
Man is mortal. 明日は知れぬいのちであることを再確認しながら。