毎年、なんとか生息を確認している黒い赤トンボ、マダラナニワトンボに今年も再会できた。
環境省や県のレッドデータブックで絶滅危惧第1類に指定され、今最も絶滅が心配されているトンボである。
池の畔に繁茂するカンガレイなど抽出植物の間を縫うように飛び、湿地上に空中から卵をばらまく打空産卵を繰り返していた。
後ろのメスの腹部から落下する淡黄色の卵が写っていた。
昨年は、十数年観察し続けたE地点では見ることが出来なかった。その原因は、池や沼の水質の悪化や、このトンボの特異な産卵習性に適する自然環境の減少にある。
たとえば最近も、林間を流れる小川がU字溝の敷設により、貴重なトンボたちが消えてしまった。
少なくとも、今ある最低限の自然環境の保全が必要で、それは自然を破壊し続けてきた人間の義務であり責任である。
今年もマダラナニワトンボの元気な姿を確認できて嬉しい。
細々と命をつないでいるトンボを見つめながら、愛おしさが込み上げてきた。
別のポイントでは、アオイトトンボが産卵のピークを迎えていた。その集団産卵は圧巻だった。
池の周囲のササには、ゴイシシジミが葉裏を確認しながら飛んでいた。
このゴイシシジミ、幼虫は純粋な肉食性で、ササコナフキツノアブラムシなどタケやササ類に付くアブラムシを食べて育つ。
ここにも、食物連鎖による豊かな共生、生物多様性の意義を思う。