エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

同級会で浜松へ

2013-11-13 | Weblog

 

 2年ごとに開く大学の同級会、今回は4回目となった。還暦前にと企画され始まった第1回目は、退院後の病状思わしくなく欠席。2回目は思い出の上田での開催、体調も回復しつつあり、妻同伴で出席した。3回目が会津にもゆかりの蒲生氏郷公の故郷、喜んで参加予定でいたがアクシデントあり欠席、今回は健康もすっかり回復し、遠路一人で出席することが出来た。40数年ぶりの再会を楽しむ小旅行となった。

 早朝の高速バスでの上京はもう5、6年ぶり、大学病院に通っていたころを思い出した。退院後の数年は毎月~3ヶ月に一度のペースでの検診の一泊の旅が続いた。
  思えば、夜明け前の会津盆地に霧が立ちこめる凍てつく冬、桜咲き緑したたる候、そして朝日燦然と輝く紅葉の山肌が見事な秋・・・と、それぞれ季節を問わず素晴らしい車窓の眺めを楽しみながらの上京だった。でも、そのころはほとんど体調がすぐれず不安の上京で、診察の日にそのまま入院を告げられたことも何度かあった。
 新幹線はもう10年ぶり、各駅停車のガラガラの「こだま」で2時間、お昼はビール付きの駅弁をおいしくいただいた。

 

 3時に会場の弁天島温泉に到着した。寒気到来の予報に厚着をして行ったが、道中暑いくらいで汗をかいた。初めて見る広々とした浜名湖の風がとても気持ちよかった。翌朝は、漁を終えた漁船が行き交い、目の前の潮が引いた浅瀬には大鳥居が鮮やかに見えた。 

 
 
  懐かしい思い出話や近況に、時を忘れて呑んだ。出来ればもう一度学生時代に戻りたい思いを抱いた。すでに7名が他界、音信不通が4~5名、今回は残りの半分が集まった勘定だ。未だ現役で活躍している友も4,5人、皆それぞれに豊かな老後を送っているようだった。片田舎で、緑の自然に包まれ慎ましく穏やかに過ごしている自分を意識した。足を知る境地、健康以外に何も要らない・・・と。
 次回2年後同級会は伊那谷、元気で再会しようと約してお別れした。

 翌朝、浜松駅近くの楽器博物館を見学する友と別れ、高速バスで新宿へ向かった。
 かつての検診の旅は小田急線を利用していたが、新宿駅周辺はその頃とすっかり変わっていた。お上りさん、分かっていたはずのJRの乗り場を探して右往左往、久々に大都会の雑踏に揉まれた。若松までの高速バスは東京駅八重洲口の始発、ここもすっかり洗練された都会のスペースに変貌していた。ゆっくり八重洲地下街を歩いた(さまよった)。

    

きれいな浜松駅前                             東京駅八重洲口                   初めて眺めたスカイツリー

 帰路の一日、浜松から新宿、東京から会津若松まで、実に計10時間の高速バス乗車になった。でも、丁度「文藝春秋」発売の時期、長い時間も苦にならずゆっくり読了、いろいろな思いを巡らせながらの充実したひとときとなった。   (2013. 11/10~11)