エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

湯呑の絵付け

2010-07-08 | 文芸
  
 湯のみの絵付けを頼まれた。
眼をつぶっても描けるいつもの絵、猪苗代湖に浮かぶ秀峰磐梯だ。
ふるさと会津を離れた方の会社での、記念品にするという。

下書きもせずに、なれない筆で呉須で描く。
山肌は少し薄く雪をイメージするいつものパターンだ。

 懐かしい伝統工芸に接した若かりし頃が浮かんできた。
 昔、陶芸に没頭した一時期も、陶板に描く絵は磐梯山ばかりだった。
ほとんどが学校祭で販売され、手元に残ったのはわずか数枚だ。
 そのひとつ、大皿一枚が床の間に置いてある。
 他に、いくつか気に入った小さい絵皿は、板につけて飾ってある。

磐梯大皿 

 久々に、食器棚の奥から作品を出してみた。
 大きいお気に入りは、たまの特別な来客のときに刺身皿に使うくらい。
 猪苗代湖のヘリに磐梯が聳えているオリジナルデザインだ。
 ときどき自作の器で、一段とおいしい食卓になっている。
 


七夕 忙しい一日 (アキアカネが羽化、ミヤマクワガタを放す、夏のチョウやトンボ) 

2010-07-07 | Weblog
    

 夕方、孫たちの帰りを待って、みんなで七夕飾りをした。
 庭先の邪魔なところに生えてきたクロチクが、おあつらえ向きに伸びて葉を広げた。
 切らないで、そのままの竹を利用した。
雨が心配だが、風もないようだし葉が乾燥するよりいい。ササの葉さらさら、ちょうど軒端に揺れる。

今朝、飼っていたヤゴが羽化した。
 木の棒によじ登って翅が輝いていた。やはりアキアカネだった。
 孫たちは歓声を上げたが、一匹は不完全で、まだお腹の部分が抜けきらず、また翅が伸び切らず小さいままだった。
 萌ちゃんが幼稚園の帰りに小川で採ってきたのが6/19(拙ブログ2010.6.20)、約3週間飼っていたことになる。
冷蔵庫に入れて保管した餌のアカムシを毎日補充しながら観察した。
 数日前に羽化に備えて木の棒を入れた。昨日はかなり大きくなったと思いながらも、まだ先かと思っていた。
水の中のヤゴが脱皮していた。多分最後の脱皮だろう。

羽化したアキアカネ


 
 ヤゴと同じころ飼い始めたミヤマクワガタを、孫たちが学校に行っている間に山へ返しにい行った。
武琉くんも十分遊んでやったり、観察もできた。話し合って山に放すことにした。
 このミヤマクワガタは、里山の夜の明かりに飛んできていたのを拾ってきたものだ。
狭い入れ物では運動不足だしかわいそうだ。
 武琉君と登校前に記念撮影をした。



 梅雨のさ中だが、このところ毎日午前中はいい天気だ。
 クワガタを近くのさ富山のクヌギの木に放した。付近のトンボの写真を撮っていたら、いつの間にか飛んで行ったようだ。
ゼリーで飼っていたからか、驚くほど力強く元気だった。



 里山で、ヒメシロチョウとトラフシジミの夏型を見た。また、オオウラギンスジヒョウモンらしき個体に出会った。
残念なことに、ヒメシロチョウの食草のツルフジバカマが、花をつけることなく刈られていた。
ほとんど移動せず、わずかに棲息しているか弱いヒメシロチョウを心配している。

 ヒメシロチョウ夏型

 トラフシジミ夏型

 オオウラギンスジヒョウモン

 オオチャバネセセリに交じってイチモンジセセリも散見できた。

 オオチャバネセセリ

 イチモンジセセリ

ノシメトンボとキイトトンボ、ハグロトンボも今季初めてだった。

 ノシメトンボ

 キイトトンボ

ハグロトンボ

 今日、庭のナツツバキが一輪開いた。また、墨田の花火も上がり始めた。
 ナツツバキ

 墨田の花火

 昨日はやはり午後から雲がわき、夕方は数時間、ゲリラ豪雨に見舞われた。
 今日もまた、夕方から強い雨と雷がなった。
 あすは、ひさしぶりに梅雨の晴れ間が広がる予報だ。
今日出会った虫ったちも、じっと木陰で雨の上がるのを待っていることだる。
 


日記@BlogRanking





美しいアザミ

2010-07-06 | 自然観察
 
< あざみの歌

作詞:横井 弘
作曲:八洲秀章
唄:伊藤久男

1 山には山の愁いあり
  海には海のかなしみや
  ましてこころの花園に
  咲きしあざみの花ならば

2 高嶺(たかね)の百合のそれよりも
  秘めたる夢をひとすじに
  くれない燃ゆるその姿
  あざみに深きわが想い

3 いとしき花よ汝(な)はあざみ
  こころの花よ汝はあざみ
  さだめの径(みち)は果てなくも
  香れよせめてわが胸に

<
【 オンマウスで止まる】  
≪ノアザミの向こうのシルエットは磐梯山≫


 いま草原にノアザミが美しい。
 次々につぼみが膨らみ、赤紫の花にヒョウモンチョウが訪れる。
 花が終わり、実を風に任せる。
 すべてが、神の造りし美しさ。

咲き始めたノアザミにヒメシジミ♀




 クロマルハナバチ?

 休憩 コオニヤンマ 

  



伊藤久男の「あざみの花」が大好きだ。 


かわいいハラビロトンボ

2010-07-05 | 自然観察
ハラビロトンボは、成熟の度合いにより体色が変化する。
未熟なうちは雌雄とも全身が黄色を基調とした体色をしている。
オスは成熟するにつれて全体が黒化してほとんど斑紋がなくなり、老熟すると腹節背面の第2~6節は白色を生じ、蒼灰色を帯びる。
メスは黄色の地に黒の模様で、羽化直後は鮮やかだが成熟してくると薄れてくる。
魅力的なのは、成熟し始めた雄の色彩だ。また、特に顔面の額上部の金属光沢を放つ青色が何とも言えない。
 息を殺して近づいてファインダーに映るその青色の美しさはたとえようもなく美しい。
 雌は単独で打水産卵をするが、雄がその上空をホバリングしながら雌を見守っている。
 初夏一番に出はじめるが、これから9月頃まで出現期間が長く、成長段階の違う個体を見ることができる。


  羽化間もない未成熟

  初めてみる腹裏側

輝く額の青

  黒ずんできた



 斑紋のない黒化体♂

 白粉を生じた成熟♂

成熟した♀



 

貝の化石

2010-07-04 | 自然観察

近くの里山に、山を削り、かなりの林を切り開き灌漑用水路ができた。
 昨年秋からの工事で、おそらく全長は1キロを超えるだろう。
 山際の林の中の小さな流れが、幅10メートルを超える水路と道路に変わった。
 クワガタやチョウが集まるクヌギの大木も、カワトンボの舞う木漏れ日もなくなった。

 先日訪ねたその道で、切り崩された斜面に貝を見つけた。おそらく化石だろう。
 昨日、孫たちを連れてその貝の化石を拾いに行った。昔ここも海だったことを教えたかった。

 

 梅雨の晴れ間に、気温は31度を超えた。そんな中、孫たちは興味を持って貝を見つけて拾い集めた。
小さなシジミのような楕円形の褐色の二枚貝を沢山採集してきた。
 博物館で、化石かどうか、この貝の名前や、いつごろのものかなどを聞いてみようと思っている。

 広い道を大きなクスサンの幼虫が這っていた。久しぶりに見る大きな毛虫は真っ白な細かな毛、お腹のさわやかな空色の斑紋がきれいだった。

 

上空をオニヤンマの雄姿を見た。ミヤマアカネも今年初めてだ。また、蝉の声も初めて聞いた。いよいよ暑い夏到来だ。




あらゆる季節を愛す

2010-07-03 | Weblog


 シモツケの葉にホシミスジ

 白々と夜が明けてきた。
何とか文字が読める明るさの中、読みかけの「阿部次郎」を読む。
ひととき、生きること、人生に思いを巡らせた。

「北郊雑記」の一節、〈早春の賦〉に
「余は一年のうちのあらゆる季節を愛する。 (中略)
 盛んなるにつけ、寂しきにつけ、静かなるにつけ、悲しきにつけ、快活なるにつけ、
みなぎりあふるるにつけて、余は一年のうちのあらゆる季節を愛す。
そうして乱れたる心を理(おさ)めて自然に対するごとに、余は
”Die Erde ist noch schon, und ein Mensch zu sein doch eine Freude”
というシラーの言葉をしみじみと想起する。(後略)」
 この後には、春を愛でる心や幼年を回想する思いが綴られてあった。
注)(独)『地上はなお美しい、人間であるということは何と言っても喜びであるし。』

 ときどき乱れる心はあるが、人間の壊しようのない偉大な、でもささやかな自然が目の前にある。
 庭に下りると小さな虫たちが元気に生きている。
 この虫たちの美しさを感じる心と、ささやかな健康がありがたい。
 こんな心境で、梅雨の夏の一日を過ごしてみたい。ささやかな幸せを感じながら。

 
 セロリの花にアカスジカメムシ


石の上にクロナガキマワリ

 
 アジサイの葉にジガバチ?の仲間


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 今朝も、キアゲハが巣立つ

2010-07-02 | 自然観察
 今朝も、羽化したキアゲハが旅立った。
 朝方、見に行くと、一昨日羽化した兄弟に遅れて、今日も新しいいのちがきれいな翅を広げていた。

道端のフランネルに卵が産み付けられ、順調に育ち蛹化したキアゲハたちだ。
 昨日、ひどい落雨の中に羽化したのだ。何と愛おしいことか。
何枚も誕生記念写真を取った。

 夜来の雨も上がり、輝く夏の日に、キアゲハが生まれ育った故郷を4回、5回と旋回して空高く飛んで行った。
生まれたばかりなのに、あんなに強く羽ばたいて。
 なんだか切ない思いになった。

 今年は雨が多かったのだろう、背の高く伸びたフランネルが頭の黄色い花を咲かせ始めた。
 ほどなく、また多くのキアゲハが産卵に来るだろう。そして、その成長を毎日見ることになる。
 繰り返される自然の営みが実に尊い。羽ばたき巣立ったキアゲハに幸多かれと祈った。


  

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ゴイシシジミの産卵

2010-07-01 | 自然観察

梅雨の晴れ間が広がった午後、ゴイシシジミの棲息するポイントへ産卵の様子を撮りに行った。
我が家から2,3キロの里山で、山際にクマザサが生えている。
ゴイシシジミが何匹もササの周りを飛び、葉の裏に止まって産卵していた。

葉の裏を見ると、アブラムシの集団の中に生みつけられた卵を確認することができた。


 また、葉の裏を調べたら、アブラムシの中に幼虫を何匹もみつけた。
幼虫

終齢?

ゴイシシジミは、日本の全種の蝶の中で、唯一、幼虫が完全な肉食性である。
ササに付くササコナフキツノアブラムシなどのアブラムシをのみ捕食するチョウだ。
成虫もまたアブラムシの分泌液に依存している変わったチョウである。

 シジミチョウ科の幼虫の多くはアリと共生していることが知られているが、
それは、幼虫が蜜をアリに提供して,アリはその見返りに天敵から守ってやるという説明がされている。
 アリとの関わりもいろいろだ。
●クロシジミは、孵化した幼虫はアブラムシの蜜をなめて育ち、暫くするとクロオオアリにくわえられて巣の中に入り、
幼虫期間のほとんどを同アリから口移しで餌をもらい成長する。
●キマダラルリツバメもハリブトシリアゲアリから口移しで餌を貰い成長する。
●ゴマシジミは、幼虫の中期までワレモコウの花やつぼみを食べて育ち、その後はシワクシケアリにくわえられ巣の中に運ばれ、その幼虫を食べて育つ。
●ムモンアカシジミは最初はカシワの葉や、アブラムシの蜜をなめて育ち、後にクロクサアリの巣穴に入り、その幼虫を食べるようになる。

 限られたわずかな空間でゴイシシジミが細々と棲息している。
でも、近くで灌漑用水の改修工事が行われ、この環境がいつ壊れてもおかしくない状況にある。とても心配している。
 なんとか、いつまでもゴイシシジミが棲息できる自然環境が保全されることを願っている。


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