中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

恐怖のオロロ

2009-08-08 11:33:57 | 渓流&管理釣り場での釣り
 コレまでに何度かこのブログでも触れてきた「オロロ」。コレは富山県周辺の地方名だ。他の地方では「ウルル」だとか「ウルリ」だとか言い、正式名は「イヨシロオビアブ」という。でも「オロロ」というのが一番恐ろしそうで何となくワタシのイメージにピッタリと合う。

          イヨシロオビアブ(通称オロロ)

多分、東北や北関東でいう「メジロアブ」も恐らく同じモノだと思うのだが…。

 このオロロは梅雨明けの時期に羽化し、盛夏に二度産卵する。一度目の産卵はそのまま行うが、二度目の産卵準備の際、メスは体力回復のために群れになって、ほ乳類を襲い、その血を吸う。吸血の方法は対象物の皮膚をかみ切って染み出る血をすするらしいが、噛まれると人によって程度は違いはあるが、腫れを伴った激しいかゆみに見舞われる。これはアブが出すタンパク質の一種が炎症を引き起こす原因ということらしい。
 普段は渓流域にあるる苔類の生えた石裏などに潜み、近くを通る動物を襲うが、その群れの数は50匹程度は当たり前で、多い場合は数百という単位になるというから驚きだ。
 ほ乳類の吐き出す二酸化炭素に反応して近付いてくるので、自動車の排ガスにも反応するらしい。エンジンを掛けたままで仮眠していると、後部バンパーのマフラー周辺にびっしりと集まり、朝起きてトランクを開けようとしたドライバーを卒倒させることもあるそうだ。また、スズメバチと同じように黒いモノにも反応するそうだ。

 コレについてホームページやブログ上に掲載されているモノを読むと、「身の毛がよだつ」ようなモノばかりだ。
例をあげると、
・黒に反応するするので、人の髪の毛の上部で旋回し「蚊柱」ならぬ「アブ柱」が立っていた。
・「ドライブ中に急な腹痛を催したので、車外に出て慌ててパンツを降ろしたが、その途端に襲われた。半ばパニックになりながらもオシリを振り回して防戦しつつ用を足したが間に合わず、露出部をボコボコにされた。」
・「川沿いの道を自転車で走行中、上り坂でスピードが落ちたところを襲われて、転倒後に負傷し、動けなくなったところを執拗に攻撃された。」
・「ルアー釣り中に上に羽織ったシャツがめくれ上がり、下に着ていた黒のTシャツ部分に集まったオロロが巣に集まる蜜蜂のようにうごめいていた。」
・「耳なし芳一」の中で、芳一が唯一お札を張り忘れた耳を持っていかれたように、虫除けスプレーを塗り忘れた所だけを集中攻撃された。
等があったが、まだこの辺は序の口で、あまりのオロロ被害に悩まされ続けた結果、廃村に追い込まれた村があるというから驚きだ。
 昔「鳥」というパニック映画があったが、もしその監督のアルフレッド・ヒッチコックがオロロの存在を知ったのなら、ヒッチコックの「アブ」が撮影されてもおかしくない状況なのだ。

 そんな「恐怖のオロロ」だから、実のところ真夏は渓流から遠ざかろうと心に決めていたのだが、雨にたたられて、釣行計画がたたず、フラストレーションが溜まったままでは中断することが出来ない。そこでワタシなりに研究し、対策を練ってみたのだ。
 まずは身につける服装から。

                     

 最近、釣具メーカーを中心に販売されている夏用ウエアの中に「防蚊ウエア」というのがある。コレは主に蚊に対して効果があるとうたわれているが、小さく注釈付きで「他の吸血害虫に対する効果があったとの報告がされています。」とも書いてある。コレはアブへの効果は実証されていないが全くないワケでもないということだが、全く無防備なモノよりはマシだということで、写真のモノを揃えてみた。モチロン下半身はウェーダーで防御されているから不要なので、上半身の防御を狙っている。
 左列はFREE KNOT=HASYABUSA製の防蚊クールシャツ、真ん中上はシマノ製防蚊メッシュ生地の帽子、右列上は防虫ネット(帽子の上から被る、顔面用の蚊帳=かや)、右列下はシマノ製防蚊メッシュ生地のベストだ。

 続いては防御グッズ、撃退グッズ、そして噛まれた後のケア・グッズだ。

                     
                     (ケミカル兵器?の数々で、左から順に
                    「寄せ付けず→撃退し→噛まれたら吸い出して治療」の意図だ。)

 写真内の左から個別に説明しよう。
 「虫除けは効かない」という説があるが、唯一効くのが「ディート」という成分が入ったモノらしい。虫除けといっても製品によって成分配合量がまちまちだが、ディートが一番濃いのは写真の「ムシペール(100ml中12g)」ということだ。(他に「サラテクト」の一部製品にも成分の濃いモノがある。)しかし、このディートは皮膚炎を起こしたり、ヒドイ場合は呼吸器障害を起こしたりする成分なので、アレルギー体質の人は避けた方がイイらしい。その隣の小瓶は「ハッカ油」というモノだが、アブが嫌うニオイらしく、効果は高いとされている。コレを帽子のつば等に塗布するのだが、顔面に直接使用すると目が開けられなくなるので注意が必要だ。そして次は室内に設置するタイプ虫除け剤の「虫よけゲル」だが、コレをメッシュ袋に入れて腰から吊り下げて携行する。ココまでが防御系で次は攻撃系の殺虫剤だ。コレは噴射距離の長い「アースジェット」を選んだ。その右となりからは事後の対策用グッズで、白い筒状のモノは「ポイズンリムーバー」というシロモノだ。原理は逆注射器というべき構造でアブが出す毒性液を吸い出すのに使用する。そして最後は噛まれた後に塗る「ムヒアルファEX」という、最強のかゆみ止めだ。
 他にも色々と調べてみたが、「蚊に効く」とうたわれているモノよりもアブはハエに近い仲間だから「ハエにも効く」とうたわれているものの方が概ね効果が高いようだ。そこで、もう一つ思いついたのがキンチョウから販売されている「ハエも落ちる蚊取り線香」というモノだったが、ある報告によると、線香が燃える時に出る二酸化炭素に反応して逆に寄ってきたという例があるので、コレは慌てて除外した。

 これだけ揃えると、準備は万端なハズで、あとは現地に向かうだけだ。
 釣りをしない人からは「そんな事までして行きたいのか?」といわれてしまいそうだが、そんな事をしてまで行きたいバカな人種が”釣り人”であり、「そんな対策をしてまで釣りたい」のが”大バカなワタシ”なのである。
 で、「オマエはコレを持って釣りに行ったのか?」と聞かれると、それはまだなのである。実は先週末に自宅を出発し、飛騨方面に向かったのだが、途中の大雨にハイドロ・プレーニングで何度もタイヤを浮かされつつ飛騨高山市まで到達したが、そこで見た川を流れる水量の異常さに引き返すことを決意するに至ったのだ。コレまた「そんな事までしてソコへ行ったのか?」とツッ込まれてしまいそうだが、こんなことをするのが大バカ釣り師のワタシなのである?!。
コメント
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