中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

久婦須川 ’10 その1 ~後編

2010-07-03 12:30:39 | 渓流&管理釣り場での釣り
■雲の合間から■

 滝の落ち込むポイントを後にし、更に上流へと向かう。やがて雲の合間から太陽が見え始めると活性が明らかに落ち始め、水深の浅いポイントでは反応が激減する。コレは、晴れると見通しがきくために、ヤマメたちが上空からの外敵に狙われ易くなることを知っているからだと言われている。そこで、ここからは樹木が覆い被さる日陰を中心に狙っていく。

                  
                  ●木に掛からないよう、キャストに正確さが要求されるのだ●

 「キレイに仕掛が日陰に入った」と思った途端にアタリが出るが、かなり警戒しているのか、食い込みが浅くてハリが外れてしまう。構わずじっくりと攻め続けてゆくが、小アタリは出るものの、ハリに掛からず苦労する。
 数投目、何とか掛けアワせるのに成功する。ソコに居るのが判っていながら、なかなか食い込まない相手を駆け引きの末にゲットするような「神経戦」も、また楽しい。

                  
                            ●またまた25cm級●

■段々瀬■

 日陰ポイントでポツポツと拾った後は、タイミング良く太陽が雲間に隠れ始めた。そして川は段々瀬の区間へと変化する。段々瀬とは読んで字の如く、フロアとフロアが1ステップずつ、瀬によって区切られているような区間を指す。

                  
            ●中央にある大石を境に手前と段差がつく。この区間ではそれが何段もある。●

 この段々瀬では、勿論最下流から攻めていくのだが、始めの数段の区間こそ数匹ゲットしたのみだったが、何段目かでそれまでは少し雰囲気の漂うポイントに入った。

                   
                      ●この大石の周囲が今回の爆発スポットだ●

 このポイントでも、まずはセオリー通り手前の流れから少しずつ攻めていったが、攻める場所ごとにアタリがあって、ゲット数が増えてゆく。
 何投か繰り返す内、ふと本で読んだ「大型はウケの部分にいる」という言葉を思い出した。ウケとは石の上流側にある水流が盛り上がる部分だ。その言葉を信じて攻めを開始する。勿論、流れがブチ当たる部分なので、オモリはそれまでよりも重くしなければならない。何度かの調整の後、底の流れを捉えてゆっくりと流れるようになっていた仕掛の動きが、ウケの部分でピタリと止まった。そしてその瞬間、反射的にボクはアワセを入れていた。
 「デカイっ!」と思った瞬間に相手は水中で反転し、ひるがえるような動きをしたが、その姿は正しく30cmを軽くオーバーするヤマメであった。だが、その反転は反撃の狼煙だった。
 相手は石の向こう側に回り込んだ後、段を1段下りた先にある瀬の中へ突っ込んでいった。こちらも反撃のために、下流へ走ろうとするが、生い茂る雑草に足を取られて思うように足が運べない。そして次の瞬間竿と糸が一直線になった。
 「ヤバイっ!」と思った途端、フッとした感触と共に、手に伝わる生命感が消えてしまった。
 この釣りを始めて以来の目標であった30cmオーバーを取り逃がし、呆然とする中、諦めずに仕掛を作り直すボクがそこに居た。
 「まだまだチャンスはあるのだ。」

 結局このポイントでは大型は出なかったが、1ポイントから抜いた20cmオーバーの数としては最高記録である、9匹をゲットし、上流へと向かった。

                   
                         ●サイズは粒ぞろいの20~25cm●

■贅沢な気分■

 この時点でゲットした20cm以上のヤマメの数は30を軽く越え、合間にリリースはしていたものの、このままだと肩から掛けていたビクから後数匹で溢れてしまうほどの釣果になっていた。そこで、キープサイズは25cm以上に設定のハードルを上げ、3匹収めた時点でこの区間を終了することにした。こんな贅沢は気分はこの釣りを始めて以来初めてのことだ。

■竿の交換■

 段々瀬を抜けると、開けた区間になる。ここまでは全長6m竿で攻めてきたが、ここから先はポイントとの距離をとりたいことと、最後に控える堰堤下を攻め切るために、ここまでずっと背中に背負ってきた8mの本流竿へと交換をする。そして同時に仕掛を全て交換し、エサのクロカワムシも新たに採取して、ラストに向けての新たなスタートを切った。

■平瀬■

 ここからしばらくの間は平瀬の区間になる。「平瀬」とは平で、ゆったりとした流れという意味だが、こういう場所で攻めるポイントは障害物、すなわち水中に見え隠れする底石の周囲ということになる。じっくり攻めながら上流へと向かうが、そこで気になる石を発見する。


                   
                              ●泡立つ部分がその石●

 まず、下流から攻めて1匹。コイツは20cmあるが、キープの範囲外なので即リリースする。続いて投入して丹念に探るが、同じ20cmクラスしか反応がない。そこで、それまでのジンタン2号からオモリを2Bに変えて白泡のすぐ下に仕掛が入るようにする。コレにアタリが出て、25cm級をゲット。コレで残りのキープ可能数は2匹になる。

                   
                                ●あと、2匹●

■堰堤下■

 やがて大場所の堰堤エリアに入る。まずオモリをジンタン3号に交換して、下段にある瀬の、瀬尻の部分を「上流から流れてきたエサがフワッと浮き上がるような」イメージで流してみる。コレが効果あって目印に変化が出る。それを見極めてアワせてみると、ゴツンとした衝撃と共に一気に下流へ向けて走り始めた。こちらも今回は足場も良いのでそれに合わせてついて行き、ロッドを思いっきりタメて応戦する。タメを何度か繰り返していく内にやがて相手が反転する際に姿を確認したが、結構デカイ。
「尺あるかも?」と、こちらはハラハラとドキドキとウキウキが入り交じった気分でやり取りを繰り返す。そして慎重に頭を水面から出し、何とか空気を吸わせ、グロッキーさせてから玉網に誘導し、何とかネットインさせた。
「ヤッター!、初めての尺オーバーかも?。」と、喜び勇んで河原に上がり、計測をしてみる。
「サイズは30cmジャストだ!」「………?」
 尺貫法をメートル法に直すには1尺=30.3cmとある。ということは、尺と呼ぶにはあと3mm足りないのだ。しかもこのヤマメの尾ビレを確認すると以前のイワナと同様、目印のためにハサミでカットされた痕がある。そのせいで5mmほど損をしているのだ。
「何という余計なことを…。」と思いつつ、目標の30cmはクリアしているのだと、自分に言い聞かせ、堰堤下の淵を再び攻め始めるのであった。

   
                    ●3mm足りない、いわゆる「泣き尺」というサイズだ●

 続いて深みを流すために、オモリを重いもの=2Bに変えて、丹念に探っていると、白泡の立つ瀬の脇でまたもやゴツン!とアタってきたが、コレは先程よりも、や小さいサイズであった。

                   
                          ●最後の1匹は、またもや28.5cm●

 その後は予定数をヤマメに知られていたのか、3匹目以降はピタリとアタリが止まり、何も起こらないままでこの区間の釣りが終わった。

■早帰り■

 まだ残りの時間もあるし、他のポイントを攻めてみようかとも思ったが、もう充分過ぎるほどの釣果を得ていたこともあって、後は車で新たな入渓点を探すのみに費やして、この日の釣りを終えることとした。

 この日のトータル釣果は20cm以上だけで40匹以上と、ボクとしては超ハイレベルなものであった。こんなスコアが出た要因は恐らく増水した後の引き始めという、絶好のタイミングだったことが挙げられる。物の本によると、こういったタイミングに渓魚は大きく動き出すので、それまで釣り荒れ気味だった川でも、ある程度リセットされるということだ。だから皆さんも雨を嫌がらず、「こんなタイミングこそチャンス」と捉えて釣行して欲しい。
 しかし、これだけ釣りながら、ボクは満足はしていない。それはこの釣りを始めて以来の目標である、30cmはギリギリクリアしたものの、何となく中途半端な形でそれを迎えることとなり、釈然としていないからである。
 だから、その点をスッキリさせるために、この先のボクの目標は「尺」を優に越える「尺上(しゃくがみ)」を釣ることに変更だ。(わずか数mmの違いだけど…。)シーズンの残りは約3ヶ月。ハテさて、その間に、勝利の女神はボクにドラマを用意してくれているのだろうか?。
コメント
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