■状況の変化■
ここから先は段々瀬の区間に入る。
この日は前回よりも10cmほど減水していたのだが、何故か各区間で流速が早い気がしていた。素人考えであるかも知れないが、水が減れば勢いも落ちそうに思うのだが、区間によっては更に早く感じることもあって一概にそうとは言えないようだ。更には前回から3週の間に大水が出たことでもあったのか、川筋も微妙に変わり、前回のパターンが全くハマらなくて苦労をしていた。(まぁ、ソコが釣りの楽しみでもあるんだけど…。)
食いの差が顕著に表れたのが、前回では良型を9匹もゲットした段々瀬だ。今回は攻めても攻めてもピクリとした反応すら無いのだ。
「魚は前日に抜かれたのか、それとも大きく移動して『もぬけの殻』になっているのだろうか?…。」と頭に???が浮かんでくる。
■複雑に流れるポイント■
期待していた段々瀬では何も得られないまま、開けた区間にやってきた。ここでも前回調子の良かったゆったりと流れる場所の底石周りにある変化を狙ってみるが、アタリは皆無だった。次なる区間は早い流れが複雑に入り交じる、やや水深のあるポイントだ。
●複数の流れがぶつかり合うところを狙う●
こういったポイントは、流れ、構造共に複雑だ。従って何人かの釣り人が狙っても、それぞれの攻め方に個性があるので、「攻め残す部分」がどこかに必ずあるはずなのだ。ただし、答えを出すまでには時間が掛かりそうだ。そこで、じっくりと腰を据えて一つ一つの変化を丹念に探ってゆくことにした。
一回目の攻めは、流れの最後端にある、駆け上がり部分。ここは比較的攻めやすいので、誰もが狙って答えを出しやすい所なので、やはり居着く魚は残っていなかった。
次に白泡の立つ流れの筋の手前と奥の両サイドを狙う。これも攻めやすいポイントなので、アタリはゼロ。続いて見え隠れする石の周り、流れと流れがぶつかり合うところを攻めてみたが答えが出なかった。
残るは流芯部の底だ。流れの筋が始まる部分は、掘れて擂り鉢状になっていることが多く、その部分はやや流れが緩やかになっていて、大型魚が付いていることがあるるそうだ。問題はそこにどうやって入れ込むかだ。
まず始めはオモリを重くして落とし込んでみる。しかし、軽すぎると弾き飛ばされ、逆にオモリが大きくなりすぎると、不自然な動きになって全く反応がない。そこで、オモリを2Bにして、流れの始まる部分の奥側に投入して仕掛を馴染ませてタイミングを計り、強制的にゆっくりと引き入れてやると、ウマく仕掛が入ってゆくようになった。
その方法で探り始めた3箇所目で、目印の動きがピタッと止まったかと思った瞬間にズンッと沈み込んだ。
合わせた瞬間に相手は下流に向かって矢のような走りを開始した。ボクもそれについて太もも辺りまで水に浸かりつつも走る走る!。
それこそ「どこにそんなパワーがあるのか?」と思われるほどの見事な走りでボクがついて行くこと数回。ようやく衰え始めた相手を竿で誘導し、空気を吸わせて更に弱らせる。水面に現した姿はギリギリ尺はありそうなヤマメで、ボクの興奮は抑えられない。そしてネット・イン!。
●31cm、完全尺越えヤマメ第1号!●
前回の「泣き尺」とは違う、完全尺越えに気を良くするが、それと共に「良いのが出そうな」いわゆる大場所では、粘ることも大切だと痛感した瞬間でもあった。
■最後の大場所■
やがて、最終到達点である大堰堤に差し掛かる。そして、ここでこれまでの6m竿から8m竿にチェンジすることで大場所への備えとした。
●これが脱渓点の大堰堤だ●
手前側にもポイントはあるのだが、どこも不発のままジリジリと釣り上がり、最終エリアへと突入する。
最終エリアには堰堤から落ち込む流れがまとまって、数本の筋となっている。
●一番強い流筋●
まずはセオリー通りに、エリアの最下流に位置する、カケ上がり部分の手前側から攻めてゆき、徐々に本命部へと迫ったが、やはり誰もが攻めるポイントであるせいか、全く反応がない。
そこで先程尺ヤマメを釣った際の戦法=重めの仕掛を流れの際で馴染ませた後にゆっくりと強制的に流芯へ引っ張り込む方法で一番強い流筋の底を探ってみた。
海でも同じだが、水の流れは表層ほど速くなる。従ってウマく仕掛が底層の流れに乗れば表層の流れよりもゆっくりと移動してゆく。
「イイ感じで流れて行くな。」と思った瞬間に目印がピタッと止まり、同時に竿先を引ったくっていった。
「ギューン」と長竿を大きく絞り込む様子から、すぐに「型が良い」と判断し、応戦の体勢をとる。
当初、相手はカケ上がりの下流にある瀬の方向へと疾走したが、ボクの足場は走ってついて行くには無理がある。そこで竿を上流側に倒して水面と平行させ、思い切り絞り込んでやった。すると、行き場を失った相手は横方向へと向きを変えた途端に水面からジャンプをしてハリを外そうとする。
危ない場面だったが、それを何とか凌ぐと、徐々に相手のパワーが落ち始めた。それを感じた瞬間、慌てず横からのプレッシャーを加えることで8の字状に泳がせて更に弱らせてゆく。
何度かそれを繰り返し、完全に相手がグロッキーしたのを見計らって、玉網へと誘導し、無事に取り込んだ。
「ヤッター!」サイズは尺を余裕で越えている。
、
●尺越え2本目は33cm!●
苦節?2年でようやく尺を越えたと思ったら連続2本ゲットで、更にはサイズアップまで成し遂げたのだ。当然、出来過ぎの結果に大満足で、この区間での釣りを終了したのであった。
■新たなポイントへ■
気をよくしたついでに「どこまで魚が居るのか?」を調査してみようと、この川の渓流と呼べる区間では、ほとんど最下流部へと向かって竿を出してみることにした。
釣り上がって程なくすると、流れ込みのある淵を発見する。
●諸条件が揃い、見るからに良さそうなポイントだ。●
このポイントは久婦須川ではメジャーな区間ではないせいか、魚もストック量も結構あり、3匹のヤマメをゲットできた。
更に釣り上がることも考えたが、調査としては充分で、次回の楽しみとして取っておくこととし、この日の釣りが終わった。
●最終局面でも好釣果に恵まれた。●
■適竿適所■
シマノの渓流カタログには「適竿適所」というのが記されているが、正にその通りで、タックルは場所に応じて使い分ける方が、その場その場で最大限のパフォーマンスを発揮してくれる。そのことが確認できた今回の釣行だった。
通常、渓流釣りの釣行では「折れた際の予備竿」として、別の竿を持ち込むことはあっても、タイプの違う竿を持ち込むことは少ないようだ。しかし、そういったタイプの違う竿を持ち込めば、スレた魚が狙えたり、届かないポイントが減ったりするのも事実なので、もし、機会があれば試してみることをお薦めする。
たかだか荷物が増えたとしても1本あたり100~200g程度のことだ。そうすれば実際に、一日の釣りを終えた際に手にする魚の数は変わっていることだろう。
ここから先は段々瀬の区間に入る。
この日は前回よりも10cmほど減水していたのだが、何故か各区間で流速が早い気がしていた。素人考えであるかも知れないが、水が減れば勢いも落ちそうに思うのだが、区間によっては更に早く感じることもあって一概にそうとは言えないようだ。更には前回から3週の間に大水が出たことでもあったのか、川筋も微妙に変わり、前回のパターンが全くハマらなくて苦労をしていた。(まぁ、ソコが釣りの楽しみでもあるんだけど…。)
食いの差が顕著に表れたのが、前回では良型を9匹もゲットした段々瀬だ。今回は攻めても攻めてもピクリとした反応すら無いのだ。
「魚は前日に抜かれたのか、それとも大きく移動して『もぬけの殻』になっているのだろうか?…。」と頭に???が浮かんでくる。
■複雑に流れるポイント■
期待していた段々瀬では何も得られないまま、開けた区間にやってきた。ここでも前回調子の良かったゆったりと流れる場所の底石周りにある変化を狙ってみるが、アタリは皆無だった。次なる区間は早い流れが複雑に入り交じる、やや水深のあるポイントだ。
●複数の流れがぶつかり合うところを狙う●
こういったポイントは、流れ、構造共に複雑だ。従って何人かの釣り人が狙っても、それぞれの攻め方に個性があるので、「攻め残す部分」がどこかに必ずあるはずなのだ。ただし、答えを出すまでには時間が掛かりそうだ。そこで、じっくりと腰を据えて一つ一つの変化を丹念に探ってゆくことにした。
一回目の攻めは、流れの最後端にある、駆け上がり部分。ここは比較的攻めやすいので、誰もが狙って答えを出しやすい所なので、やはり居着く魚は残っていなかった。
次に白泡の立つ流れの筋の手前と奥の両サイドを狙う。これも攻めやすいポイントなので、アタリはゼロ。続いて見え隠れする石の周り、流れと流れがぶつかり合うところを攻めてみたが答えが出なかった。
残るは流芯部の底だ。流れの筋が始まる部分は、掘れて擂り鉢状になっていることが多く、その部分はやや流れが緩やかになっていて、大型魚が付いていることがあるるそうだ。問題はそこにどうやって入れ込むかだ。
まず始めはオモリを重くして落とし込んでみる。しかし、軽すぎると弾き飛ばされ、逆にオモリが大きくなりすぎると、不自然な動きになって全く反応がない。そこで、オモリを2Bにして、流れの始まる部分の奥側に投入して仕掛を馴染ませてタイミングを計り、強制的にゆっくりと引き入れてやると、ウマく仕掛が入ってゆくようになった。
その方法で探り始めた3箇所目で、目印の動きがピタッと止まったかと思った瞬間にズンッと沈み込んだ。
合わせた瞬間に相手は下流に向かって矢のような走りを開始した。ボクもそれについて太もも辺りまで水に浸かりつつも走る走る!。
それこそ「どこにそんなパワーがあるのか?」と思われるほどの見事な走りでボクがついて行くこと数回。ようやく衰え始めた相手を竿で誘導し、空気を吸わせて更に弱らせる。水面に現した姿はギリギリ尺はありそうなヤマメで、ボクの興奮は抑えられない。そしてネット・イン!。
●31cm、完全尺越えヤマメ第1号!●
前回の「泣き尺」とは違う、完全尺越えに気を良くするが、それと共に「良いのが出そうな」いわゆる大場所では、粘ることも大切だと痛感した瞬間でもあった。
■最後の大場所■
やがて、最終到達点である大堰堤に差し掛かる。そして、ここでこれまでの6m竿から8m竿にチェンジすることで大場所への備えとした。
●これが脱渓点の大堰堤だ●
手前側にもポイントはあるのだが、どこも不発のままジリジリと釣り上がり、最終エリアへと突入する。
最終エリアには堰堤から落ち込む流れがまとまって、数本の筋となっている。
●一番強い流筋●
まずはセオリー通りに、エリアの最下流に位置する、カケ上がり部分の手前側から攻めてゆき、徐々に本命部へと迫ったが、やはり誰もが攻めるポイントであるせいか、全く反応がない。
そこで先程尺ヤマメを釣った際の戦法=重めの仕掛を流れの際で馴染ませた後にゆっくりと強制的に流芯へ引っ張り込む方法で一番強い流筋の底を探ってみた。
海でも同じだが、水の流れは表層ほど速くなる。従ってウマく仕掛が底層の流れに乗れば表層の流れよりもゆっくりと移動してゆく。
「イイ感じで流れて行くな。」と思った瞬間に目印がピタッと止まり、同時に竿先を引ったくっていった。
「ギューン」と長竿を大きく絞り込む様子から、すぐに「型が良い」と判断し、応戦の体勢をとる。
当初、相手はカケ上がりの下流にある瀬の方向へと疾走したが、ボクの足場は走ってついて行くには無理がある。そこで竿を上流側に倒して水面と平行させ、思い切り絞り込んでやった。すると、行き場を失った相手は横方向へと向きを変えた途端に水面からジャンプをしてハリを外そうとする。
危ない場面だったが、それを何とか凌ぐと、徐々に相手のパワーが落ち始めた。それを感じた瞬間、慌てず横からのプレッシャーを加えることで8の字状に泳がせて更に弱らせてゆく。
何度かそれを繰り返し、完全に相手がグロッキーしたのを見計らって、玉網へと誘導し、無事に取り込んだ。
「ヤッター!」サイズは尺を余裕で越えている。
、
●尺越え2本目は33cm!●
苦節?2年でようやく尺を越えたと思ったら連続2本ゲットで、更にはサイズアップまで成し遂げたのだ。当然、出来過ぎの結果に大満足で、この区間での釣りを終了したのであった。
■新たなポイントへ■
気をよくしたついでに「どこまで魚が居るのか?」を調査してみようと、この川の渓流と呼べる区間では、ほとんど最下流部へと向かって竿を出してみることにした。
釣り上がって程なくすると、流れ込みのある淵を発見する。
●諸条件が揃い、見るからに良さそうなポイントだ。●
このポイントは久婦須川ではメジャーな区間ではないせいか、魚もストック量も結構あり、3匹のヤマメをゲットできた。
更に釣り上がることも考えたが、調査としては充分で、次回の楽しみとして取っておくこととし、この日の釣りが終わった。
●最終局面でも好釣果に恵まれた。●
■適竿適所■
シマノの渓流カタログには「適竿適所」というのが記されているが、正にその通りで、タックルは場所に応じて使い分ける方が、その場その場で最大限のパフォーマンスを発揮してくれる。そのことが確認できた今回の釣行だった。
通常、渓流釣りの釣行では「折れた際の予備竿」として、別の竿を持ち込むことはあっても、タイプの違う竿を持ち込むことは少ないようだ。しかし、そういったタイプの違う竿を持ち込めば、スレた魚が狙えたり、届かないポイントが減ったりするのも事実なので、もし、機会があれば試してみることをお薦めする。
たかだか荷物が増えたとしても1本あたり100~200g程度のことだ。そうすれば実際に、一日の釣りを終えた際に手にする魚の数は変わっていることだろう。