中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

久婦須川 ’10 その2 ~前編

2010-07-17 12:30:46 | 渓流&管理釣り場での釣り
■梅雨の末期になる前に■

 梅雨末期には雨脚が強まる日々が増える傾向になるので、増水しすぎて釣りが出来ない日が当然多くなる。梅雨が明けたら明けたで富山県の山間部名物ではメジロアブ(オロロ)の大量発生が待っているから厄介だ。
「何としてもそれまでにもう一度攻めておきたい。」という熱い思いと「久婦須川には年券しかないので、元を取らねば。」というセコイ思いに駆られて前回釣行と同じ久婦須川へと向かった。

 渓流釣りでは、一旦増水して落ち着き始めた頃が、魚の食いが良くてベスト・タイミングであるが、サンデー・アングラーのボクの場合は、そんな日を選んでの釣行は到底出来ず、あるがままを受け入れなくてはならない。
 前回の釣行時にはそのベスト・タイミングにぴったりとハマり、この釣りを始めて以来の爆釣を経験したが、今回は釣行前の数日間が梅雨の中休み状態になり、それを受けて富山県でも川の水量は日に日に減り続けて、魚は食い渋る傾向が予想されていた。
 更には前日の土曜日は天気が良く、来訪者も多かったはず。その人達が一通り釣った翌日を釣るわけだから、当然魚はスレているだろう。だから、今回はその対策もバッチリと練っての釣行だ。さて、結果はどう出るのだろうか?。

■ゼロ釣法■

 渓流釣りのスタイルに「ゼロ釣法」というのがある。これは、使用する糸の細さを含め、仕掛やタックル(道具)全体をライトかつ繊細=ゼロに近付けてスレた魚を釣り上げる方法だ。何でもマスターすれば人が通常の仕掛で釣った後でも釣果を絞り出せるというのだ。今回はそのタックルを持ち込んでの挑戦と相成った。
 ゼロ釣法用竿は1本持っているものの、それは川幅がそんなに広くない久婦須川に導入するには長すぎて使い辛い。そこで今回は渓流部で使いやすい全長が5.5-6.0mの竿を新たに導入した次第である。

                
                     ●渓流ウルトラゲーム55-60(シマノ)●

 と言っても、久婦須川のヤマメはパワーがあるので、流れのキツイ瀬や、こちらが魚の動きについて走れないポイントではゼロ竿は心許ない。そこで、通常の仕掛対応の竿と堰堤用の8m竿の2本を「忍者スタイル」で背中に背負い、「三刀流」の備えで万全の体制をとった。


■前回と同じ場所へ■

 久分須川流域に到着して入渓場所の選択に迷ったが、ゼロ釣法の習熟のためには勝手知ったる場所でないと通常仕掛との比較も出来ないし、急流箇所の多い区間に当たってしまうと、使えずに終わる可能性もあるので、前回と全く同じ入渓点から降りることにした。

 河原に降りてから様子をうかがってみるが、やや水量が少な目で、水面のエサをライズして拾うヤマメの姿は見られない。前回の釣行から3週間も経っており、その間も攻められ続けているであろうから、予想通りだが、タフ・コンディションの気配が漂っていた。
 そこで、最初の区間からゼロ釣法の仕掛を使用することとした。ただし、扱いになれていないのとパワーのある久婦須川のヤマメが相手なので、ハリス(水中糸)が0.15号という、ゼロ釣法ではやや太目の物をセットした。

■最初のヤマメ■

 しばらく釣り上がってみたが、一向にアタリが出ない。ボクの場合、最初のポイントでは持ち込んだ市販エサ(ミミズやブドウ虫)を使用するが、一通り流してみたが全く反応がないので早速川虫取りを始めてクロカワムシを採取する。そして、それをハリに刺した途端に反応が出始めた。
 最初の一匹が出たのは河原のアシ際がエグれてポケットのようになっている部分からだった。

                
                     ●アシ際から出た22cmほどのヤマメ●


■細ハリスの威力■

 次は前回に大きめサイズのイワナをバラした、幅の広い瀬からの落ち込みを攻めた。

                
                  ●水量の違いからか、前回とは様子が違っていた。●

 ここは速い流れに乗って遁走されると厄介なので、ハリスを0.2号にアップする。
 その仕掛を石の裏にある淀みに打ち込んだ際に目印が「スッ」と沈み込み、それに応じて反射的に合わせる。掛けた瞬間に良型特有の「ズドンッ!」という衝撃が伴ったので少々ビビったが、魚の動きに合わせて、こちらが川を下ることで何とかゲットに成功。魚はイワナでサイズはギリギリ尺を越えているようだ。

                
                            ●31cmのイワナ●

 しかし、その後は見た目に良さそうなところを散々攻めてみるが、ヤマメやイワナの反応がない。そこで思い切ってハリスを元の0.15号に落としてみる。
 コレが功を奏したのか、瀬のアワが消えかかる、やや水深のある部分から待望のヤマメのアタリが出た。そう大きくはないサイズだが、先程来、散々攻めていたポイントだけに、やはり「細ハリス優位」の感がフツフツと沸いてくる。以後は、0.15号のみを使用し、様子をみてゆくことにした。

                
                      ●細ハリスの答えは20cmのヤマメ●

 そして、細仕掛の扱いにも慣れてきた頃にはゲットするヤマメの量も少しずつだが、増えていった。

                
                 ●釣果は伸びていったが、ある種のパターンがあった。●

■竿抜け狙い■

 ここまでの傾向から推測すると、やはり前日に散々叩かれているのか、当たり前のポイントからのアタリは少なく、いわゆる「竿抜けポイント」と呼ばれるところでの反応が多い。しかも、クロカワムシ以外でのアタリはゼロだ。更には、水深のない瀬の部分よりも水深のあるポイントの方が反応が良い。
 そこで、次の区間からは「0.15号のハリスで、クロカワムシを刺し、水深のある竿抜けのポイントを中心に狙う」という戦略を立てて釣り上がることにした。

                
                 ●この日のヤマメは、何故かクロカワムシしか食わない●

■ヤマメの隠れ家■

 ここから先は前回でも登場した、晴天時には日陰になるポイントが続く区間だ。しかし、当日は小雨が時折降ってくる状況だったので、日陰の要素よりも、「覆い被さる木の下に隠れてなかなか出てこない、スレたヤマメがストックされている。」といった要素の方が優先されそうだ。
                
               ●木や草の陰に流れ込むようにサイドスローで仕掛をブチ込む●

 予想通り、この区間はヤマメの隠れ家だったようで、ポツポツながらアタリは結構な数を拾えた。しかし、警戒心が強いせいか食い込みが浅く、ハリハズレも多い。


                
                    ●ゼロ釣法での最大は25cm止まりだった●

 結局この区間では7回アタって、獲れたのは4匹だった。

 今回初めて本格的に取り組んだゼロ釣法だったが、魚の出具合の違いから、その威力を充分に感じることが出来た。そして、そこそこサイズの魚が掛かってからの「ハラハラ感」は通常仕掛の比ではなく、こういった繊細な駆け引きは本来好きな方なので、ボク的にはかなり楽しめる釣りではあった。
 ただし、ここから先の区間は、段々瀬が続き、流れも速くて複雑になってくる。それに前回、尺オーバーのヤマメをバラした記憶も鮮明に残っている。従ってゼロ仕掛では通用しそうになさそうだ。ここでゼロ仕掛を諦めて竿を仕舞い込み、通常仕掛用の竿(翠隼60/シマノ)に交換することとした。結んだハリスは0.3号だ。大型のヤマメにはまだ出会ってはいないが、ここからが勝負なのだ。そして、ボクのチャレンジは、まだまだ続くのである。

                             ~後編に続く~
コメント
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