■韓流ドラマ「推奴」■
その昔、レンタルDVDではなくて、レンタルビデオ、それも1本の貸出価格が1000円もした頃からホームシアターで映画やドラマを見初め、勿論それ以前から映画館にも行って映画を見ていたが、マニアと呼ぶほどではないにしろ、かなりな数の映画を見てきた。それらには感動の名作があり、箸にも棒にもかからぬ駄作ありでそれぞれに思い出深いが、見る作品のほとんどが洋画であって邦画の割合は少なかった。それに加えて近年では、いわゆる韓流ドラマや映画も見るようになっている。
韓流ブーム初期の「冬のソナタ」の頃は、「なんだコレは?山口百恵さんの『赤いシリーズ』を今頃になって見せるなよ!」との思いから真剣に見る気が全く沸いてこなかったが、それでも他の作品を何作か掻い摘んで見ていく内に面白いモノに当たり始め、近年ではその確立がかなり上昇しているように思える。
今までで見た映画の中でボク的に一番面白かったのは「殺人の追憶」だったが、先日女房&子供が見始めたドラマをチョッと横目で見ている内に見事にハマってしまったのが、「推奴(チュノ)http://chuno-t.jp/」という作品だった。(全24話)
このドラマのストーリーは見てもらうしかないと思うが、韓国の史実をベースにしたオリジナルストーリーということだ。その展開は、黒澤明監督の「隠し砦の三悪人」とリドリー・スコット監督の「グラディエーター」をパクリではなく、言わば要素を「えーとこ取り」をしたようなスピード感があるうえに、愛と友情、憎悪と嫉妬にまつわる人間模様が随所に散りばめられており、見る者を飽きさせない。やや強引な展開や、辻褄が合わず、まとまりのない部分があったり、劇画チックな「キメ・ポーズ」とBGMの使い方に日本人のボクとしては少し臭さ?を垣間見てしまうのだが、それは見終わった後に冷静になって判断した結果であり、ストーリーに惹き付けられている最中であればそれほど気にはならない。
●ツタヤのみの貸し出しだそうです。●
■役者根性の違い■
最近の韓国の映画やドラマを見ていると、ストーリーの好き嫌いや出来不出来がはっきりと分かれるものの、そこに出演する役者の演技力の高さにはいつも驚かされる。彼(彼女)らが、役作りから喜怒哀楽の表情や所作を含む全てにおいて端役の人までがプロ意識の固まりで演技をしていることを感じるのだ。ソレもそのハズで、各役者のプロフィールを調べてみるとうかがい知ることが出来るが、多くの役者が大学の演劇科を卒業しているのだ。日本とは学歴意識が違うし、大学を出たからと言って演技がウマくなるとは限らないだろうけど、少なくとも下積み時代から正規の演劇教育を受けた卵から役者が生まれていることが多いようだ。
また、韓国ではドラマや映画を見る側の評価がかなり厳しいと聞くし、アイドルや俳優などの芸能全般を「輸出品目」として捉えている国家の後押しがあるという。それら様々な要素が一体となることによって役者達がウマくなってゆくのではないだろうか。
モチロン、ウマい役者さんも日本には数多く存在すると思うのだが、何故か一度注目を浴びると同じ人ばかりの言わば「使い回し」が始まることが多い。コレでは、いくらその人が役作りに徹して頑張っていても、見る側が食傷気味になってしまうだろう。
しかしソレよりもガッカリなのは、商業主義に走るあまり「演技力」よりも「集客力」を優先するのか、主役級にチョッと他方面で話題になった人や、つい先日までモデルさんをやってた人、そしてアイドル等をその人の能力に関係なくキャスティングしがちなことだ。モチロン、血筋だけが「売り」の二世俳優も、この範疇になるだろう。
そんな促成栽培俳優の中でもそれなりにウマい人も「当たり」として居るだろうけど、ちゃんと役作りと演技が出来ていない(出来ない?)「ハズレ」の人が出演する映画やドラマを見てしまった場合は、ストーリーへの感情移入ができず、感動は減るばかりだ。だから、役者の平均レベルが高く、プロの演技が安心して見られる韓国の状況に、ボク的には羨ましさを感じてしまうのだ。
映画の原作や脚本といった部分は「アカデミー賞でのノミネート実績」や、リメイク版の製作実績が物語るように、日本の作品の方が国際的評価は高いようであるし、海外では「クールジャパン」の一角として評価の高いアニメ作品も数多く存在するが、それは数ある中の一部の話。それとは違って、普通に劇場公開されているモノの中では、「愛する人が、はかない命を散らす」パターンや「動物モノ」がまるで定期刊行物のように繰り返されるし、「アニメや漫画を実写化したモノ」も多く、日本の映画&ドラマ界はワンパターンとアイディア不足の感は拭えない。
蛇足だがワンパターンと言えば、よくTVで流されていた、一見シロート風の人達が上映を終わった映画館を出てきた風に装って「涙が止まりませんでした~!」と言わせる映画のCMはアイデアのカケラも無い「アホの一つ覚え」のようであり、「なんとかならないのか?」と、いつも感じていたのだが…。(皆さんそう思いませんか?)
そしてそうやって、テレビCMなど大作だの何だのと煽るモノに限ってツマラナイ作品が多く、逆にレンタルビデオ店で「こんなのやってたの?」と感じるモノほど面白い作品が多いように思えるのはボクだけなのだろうか?。
■ホンモノを育てよう■
韓国の芸能界は国家のサポートを得て「諸外国に追いつけ追い越せ」の努力を続けているが、何もコレは芸能界に限ったことではなく、例えば液晶TVを含む家電メーカー等も同様のサポートを得ており、その結果今やヨーロッパや中東あたりではサムスン、LGといった韓国メーカーに我が日本メーカーは押されっぱなしだとの報道もされている。
自国の製品や作品を輸出することを国策でサポートするには政治判断が必要だと思うが、我が国の国会は政局争いばかりを繰り返し、景気回復の手は決め手に欠け、打ったところで効果は見えてこない。それどころか、近頃では景気回復による税収増を諦めたのか、増税路線に切り替えつつあるようだ。そして、国債の格付けが下がったことに対しては、「そんな話に疎い」と、国の代表たる首相自らがコメントする始末である。
また、留学者の激減が表すように、我々国民、特に若い世代の目は内へ内へと向かいつつあるようだ。まだ余力があった時代であれば日本国内だけに向いていても、それなりの需要が見込めたのかも知れないが、デフレと共にしぼむ一方の日本であれば、そうはいかず、目は外に向けるしかないハズだ。
そのためには日本中のみんなが芸能から政治、そして工業製品に至るまで「ホンモノを見抜き、それを鍛える目」を常に持つことでそれらを鍛え直し、更には「外に打って出る気構え」を持っていないとドエライ未来が待っているように思えてならないのだ。
先日GDPが中国に追い抜かれてしまったという報道があったばかりだが、「まだ一人あたりでは負けていない!」という言い訳が通じている内になんとかせねば…。
その昔、レンタルDVDではなくて、レンタルビデオ、それも1本の貸出価格が1000円もした頃からホームシアターで映画やドラマを見初め、勿論それ以前から映画館にも行って映画を見ていたが、マニアと呼ぶほどではないにしろ、かなりな数の映画を見てきた。それらには感動の名作があり、箸にも棒にもかからぬ駄作ありでそれぞれに思い出深いが、見る作品のほとんどが洋画であって邦画の割合は少なかった。それに加えて近年では、いわゆる韓流ドラマや映画も見るようになっている。
韓流ブーム初期の「冬のソナタ」の頃は、「なんだコレは?山口百恵さんの『赤いシリーズ』を今頃になって見せるなよ!」との思いから真剣に見る気が全く沸いてこなかったが、それでも他の作品を何作か掻い摘んで見ていく内に面白いモノに当たり始め、近年ではその確立がかなり上昇しているように思える。
今までで見た映画の中でボク的に一番面白かったのは「殺人の追憶」だったが、先日女房&子供が見始めたドラマをチョッと横目で見ている内に見事にハマってしまったのが、「推奴(チュノ)http://chuno-t.jp/」という作品だった。(全24話)
このドラマのストーリーは見てもらうしかないと思うが、韓国の史実をベースにしたオリジナルストーリーということだ。その展開は、黒澤明監督の「隠し砦の三悪人」とリドリー・スコット監督の「グラディエーター」をパクリではなく、言わば要素を「えーとこ取り」をしたようなスピード感があるうえに、愛と友情、憎悪と嫉妬にまつわる人間模様が随所に散りばめられており、見る者を飽きさせない。やや強引な展開や、辻褄が合わず、まとまりのない部分があったり、劇画チックな「キメ・ポーズ」とBGMの使い方に日本人のボクとしては少し臭さ?を垣間見てしまうのだが、それは見終わった後に冷静になって判断した結果であり、ストーリーに惹き付けられている最中であればそれほど気にはならない。
●ツタヤのみの貸し出しだそうです。●
■役者根性の違い■
最近の韓国の映画やドラマを見ていると、ストーリーの好き嫌いや出来不出来がはっきりと分かれるものの、そこに出演する役者の演技力の高さにはいつも驚かされる。彼(彼女)らが、役作りから喜怒哀楽の表情や所作を含む全てにおいて端役の人までがプロ意識の固まりで演技をしていることを感じるのだ。ソレもそのハズで、各役者のプロフィールを調べてみるとうかがい知ることが出来るが、多くの役者が大学の演劇科を卒業しているのだ。日本とは学歴意識が違うし、大学を出たからと言って演技がウマくなるとは限らないだろうけど、少なくとも下積み時代から正規の演劇教育を受けた卵から役者が生まれていることが多いようだ。
また、韓国ではドラマや映画を見る側の評価がかなり厳しいと聞くし、アイドルや俳優などの芸能全般を「輸出品目」として捉えている国家の後押しがあるという。それら様々な要素が一体となることによって役者達がウマくなってゆくのではないだろうか。
モチロン、ウマい役者さんも日本には数多く存在すると思うのだが、何故か一度注目を浴びると同じ人ばかりの言わば「使い回し」が始まることが多い。コレでは、いくらその人が役作りに徹して頑張っていても、見る側が食傷気味になってしまうだろう。
しかしソレよりもガッカリなのは、商業主義に走るあまり「演技力」よりも「集客力」を優先するのか、主役級にチョッと他方面で話題になった人や、つい先日までモデルさんをやってた人、そしてアイドル等をその人の能力に関係なくキャスティングしがちなことだ。モチロン、血筋だけが「売り」の二世俳優も、この範疇になるだろう。
そんな促成栽培俳優の中でもそれなりにウマい人も「当たり」として居るだろうけど、ちゃんと役作りと演技が出来ていない(出来ない?)「ハズレ」の人が出演する映画やドラマを見てしまった場合は、ストーリーへの感情移入ができず、感動は減るばかりだ。だから、役者の平均レベルが高く、プロの演技が安心して見られる韓国の状況に、ボク的には羨ましさを感じてしまうのだ。
映画の原作や脚本といった部分は「アカデミー賞でのノミネート実績」や、リメイク版の製作実績が物語るように、日本の作品の方が国際的評価は高いようであるし、海外では「クールジャパン」の一角として評価の高いアニメ作品も数多く存在するが、それは数ある中の一部の話。それとは違って、普通に劇場公開されているモノの中では、「愛する人が、はかない命を散らす」パターンや「動物モノ」がまるで定期刊行物のように繰り返されるし、「アニメや漫画を実写化したモノ」も多く、日本の映画&ドラマ界はワンパターンとアイディア不足の感は拭えない。
蛇足だがワンパターンと言えば、よくTVで流されていた、一見シロート風の人達が上映を終わった映画館を出てきた風に装って「涙が止まりませんでした~!」と言わせる映画のCMはアイデアのカケラも無い「アホの一つ覚え」のようであり、「なんとかならないのか?」と、いつも感じていたのだが…。(皆さんそう思いませんか?)
そしてそうやって、テレビCMなど大作だの何だのと煽るモノに限ってツマラナイ作品が多く、逆にレンタルビデオ店で「こんなのやってたの?」と感じるモノほど面白い作品が多いように思えるのはボクだけなのだろうか?。
■ホンモノを育てよう■
韓国の芸能界は国家のサポートを得て「諸外国に追いつけ追い越せ」の努力を続けているが、何もコレは芸能界に限ったことではなく、例えば液晶TVを含む家電メーカー等も同様のサポートを得ており、その結果今やヨーロッパや中東あたりではサムスン、LGといった韓国メーカーに我が日本メーカーは押されっぱなしだとの報道もされている。
自国の製品や作品を輸出することを国策でサポートするには政治判断が必要だと思うが、我が国の国会は政局争いばかりを繰り返し、景気回復の手は決め手に欠け、打ったところで効果は見えてこない。それどころか、近頃では景気回復による税収増を諦めたのか、増税路線に切り替えつつあるようだ。そして、国債の格付けが下がったことに対しては、「そんな話に疎い」と、国の代表たる首相自らがコメントする始末である。
また、留学者の激減が表すように、我々国民、特に若い世代の目は内へ内へと向かいつつあるようだ。まだ余力があった時代であれば日本国内だけに向いていても、それなりの需要が見込めたのかも知れないが、デフレと共にしぼむ一方の日本であれば、そうはいかず、目は外に向けるしかないハズだ。
そのためには日本中のみんなが芸能から政治、そして工業製品に至るまで「ホンモノを見抜き、それを鍛える目」を常に持つことでそれらを鍛え直し、更には「外に打って出る気構え」を持っていないとドエライ未来が待っているように思えてならないのだ。
先日GDPが中国に追い抜かれてしまったという報道があったばかりだが、「まだ一人あたりでは負けていない!」という言い訳が通じている内になんとかせねば…。