■約20年越しの念願■
今から20年ほど前、妻とボクが結婚するよりも遙か前に2人で訪れたことがあった京都大原にある三千院。しかし訪問時間が遅れたために、その日は中に入れず仕舞いだった。仕方なしに門前での記念撮影をしたのみで、すごすごと引き上げた思い出が残っている。
それから月日は流れ、ボクが50歳に近付く頃になり、”中高年に定番”の寺院巡りにも興味がわき始めたことも手伝って、京都近郊の寺院では秋の「紅葉前線」の訪れが一番早いという、大原三千院を再び目指すことになった。
とは言うものの、訪問時点では誰しもが感ずるように秋の訪れは遅く、大原も例外ではないようだった。その事が気がかりと言えば気がかりだったのだが…。
■三千院の歴史■
三千院は、比叡山延暦寺を開いた伝教大師(最澄)が、大原の地に草庵を開いたのが始まりなのだが、元永元年(1118年)以降に皇族出身者が住持する宮門跡となって安定するまでは、京都市内で移転を繰り返してきたようだ。意外なことだが幾度も改称していて、三千院と公称するようになったのは、明治になってからのことなのだそうだ。
開基が最澄だから宗派は天台宗で、ご本尊は薬師如来様だが、境内の中央近くには阿弥陀如来様を始めとする阿弥陀三尊も収めているから、長い歴史の中で様々な出来事があり、影響を受けているようだ。
■聚碧園■
受付で拝観料を払うと、まず最初に客殿に入ることになる。そこから見えるのが聚碧園(しゅうへきえん)という庭園だ。
派手さはない「シック」な庭園だが、ボクが今までに見た範囲内の庭園に比べると、こぢんまりとして密な印象を受ける。ボク達夫婦が訪れたタイミングでは紅葉の気配はほとんど無かったが、惜しむらくはその紅葉が進んだ頃か、もしくは軽く冠雪した頃に見るともっと豪華?に、あるいはキレイに見えたのかも知れない。
しかし、コレはあくまでもボクの印象で、一緒に見た妻にすれば大層「お気に入り」の部類に入るそうだから、単に好みの問題なのかも知れない。
尚、別料金が必要になるが、この庭園を眺めながら「御抹茶」を戴くことも可能だ。
■有清園■
大正年間に建てられたという、比較的新しい宸殿(しんでん)を抜けると、そこで靴を履いて有清園(ゆうせいえん)という庭園に出る。
この庭の中心に阿弥陀三尊が収められている、往生極楽院(おうじょうごくらくいん)がある。
往生極楽院に収められている阿弥陀如来様は平安期の作というから、かなり歴史があるもので、阿弥陀如来様の左右の観音菩薩様と勢至菩薩様が「大和座り」という正座をしているのは非常に珍しい御姿なのだそうだ。
そして庭園内には「苦悩の人々を無限の大慈悲の心で包み込み、救う」といわれる、数々の「お地蔵様(地蔵菩薩様)」が点在している。
お地蔵様の中でも印象的なのは、子供をモチ-フとした「わらべ地蔵』というカワイイお地蔵様方だ。
今では苔むす土の中に埋もれて、全体像を見にくいお地蔵様方だが、後に読んだ解説によると、上写真の右手前は、寝ころんで頬杖を着いて脚をバタバタとさせているそうだ。
中央に極楽浄土の象徴である、阿弥陀如来様があり、その周りに展開する庭なので、ボクの勝手な解釈かも知れないが、「浄土世界を表している」と、想像する。その様子は禅宗などの「枯山水(かれさんすい)」様式に見られる、どことなく厳しさを感じるモノではなく、この「わらべ地蔵」に表されているように、柔らかでハッピーな印象があるから、見ているこちらの気分が楽しくなってくる。
ともあれ、「わらべ地蔵」の、あまりのカワイさに見とれつつ、更に奥へ進むと、そこには「御不動様」から「観音様」、「弁天様」までが祀られており、有り難いことこの上ない。しかし、これら奥にある施設は比較的新しい時代につくられたようだから、有清園とのイメージ差がかなりあることは否めない。
更に散策できそうな雰囲気もあったが、時間の関係でここで今回の訪問はオシマイ。次は土産物店が並ぶ門前の通りへと足を進めた。
■柴漬けの里■
三千院のある大原地区は「志ば漬(柴漬け)発祥の地」とも言われている。中でも有名なのは土井という漬け物店だ。
三千院の門前にも、その土井の店舗がある。勿論志ば漬もウマイが、オススメは「すぐき漬け」という、カブの一種を漬け物にしたモノだ。
ご存じの方も多いと思うが、すぐき漬けは乳酸発酵漬物なので、酸っぱいのが普通なのだが、土井のすぐき漬けはマイルドで味のキツさがない。それに今流行りの調味料がドバッと入ったタイプではないので、好印象を受ける。これにチョッと醤油を垂らして食うのがこれまた最高で、妻共々現在ではファンになっている。
■カウントしてみると…■
多くのおじ様、おば様方と同じように、このボクも京都の寺院への小旅行が楽しくなる年頃?になってきたようだ。しかしながら、月一に行ったとしても、この先あと何カ所訪問できることやら…。指折り数えてみると、到底全部は回れそうにない。その事に気付くと妙にヘコんでしまう今日この頃なのである。
今から20年ほど前、妻とボクが結婚するよりも遙か前に2人で訪れたことがあった京都大原にある三千院。しかし訪問時間が遅れたために、その日は中に入れず仕舞いだった。仕方なしに門前での記念撮影をしたのみで、すごすごと引き上げた思い出が残っている。
それから月日は流れ、ボクが50歳に近付く頃になり、”中高年に定番”の寺院巡りにも興味がわき始めたことも手伝って、京都近郊の寺院では秋の「紅葉前線」の訪れが一番早いという、大原三千院を再び目指すことになった。
とは言うものの、訪問時点では誰しもが感ずるように秋の訪れは遅く、大原も例外ではないようだった。その事が気がかりと言えば気がかりだったのだが…。
●柿は実っていたが…●
■三千院の歴史■
三千院は、比叡山延暦寺を開いた伝教大師(最澄)が、大原の地に草庵を開いたのが始まりなのだが、元永元年(1118年)以降に皇族出身者が住持する宮門跡となって安定するまでは、京都市内で移転を繰り返してきたようだ。意外なことだが幾度も改称していて、三千院と公称するようになったのは、明治になってからのことなのだそうだ。
開基が最澄だから宗派は天台宗で、ご本尊は薬師如来様だが、境内の中央近くには阿弥陀如来様を始めとする阿弥陀三尊も収めているから、長い歴史の中で様々な出来事があり、影響を受けているようだ。
●前回はここで引き返した三千院の門前●
●境内は広い●
■聚碧園■
受付で拝観料を払うと、まず最初に客殿に入ることになる。そこから見えるのが聚碧園(しゅうへきえん)という庭園だ。
●客殿前に広がる「聚碧園(しゅうへきえん)」●
派手さはない「シック」な庭園だが、ボクが今までに見た範囲内の庭園に比べると、こぢんまりとして密な印象を受ける。ボク達夫婦が訪れたタイミングでは紅葉の気配はほとんど無かったが、惜しむらくはその紅葉が進んだ頃か、もしくは軽く冠雪した頃に見るともっと豪華?に、あるいはキレイに見えたのかも知れない。
しかし、コレはあくまでもボクの印象で、一緒に見た妻にすれば大層「お気に入り」の部類に入るそうだから、単に好みの問題なのかも知れない。
尚、別料金が必要になるが、この庭園を眺めながら「御抹茶」を戴くことも可能だ。
■有清園■
大正年間に建てられたという、比較的新しい宸殿(しんでん)を抜けると、そこで靴を履いて有清園(ゆうせいえん)という庭園に出る。
この庭の中心に阿弥陀三尊が収められている、往生極楽院(おうじょうごくらくいん)がある。
●阿弥陀三尊が収められている「往生極楽院」●
往生極楽院に収められている阿弥陀如来様は平安期の作というから、かなり歴史があるもので、阿弥陀如来様の左右の観音菩薩様と勢至菩薩様が「大和座り」という正座をしているのは非常に珍しい御姿なのだそうだ。
そして庭園内には「苦悩の人々を無限の大慈悲の心で包み込み、救う」といわれる、数々の「お地蔵様(地蔵菩薩様)」が点在している。
●有清園に点在するお地蔵様●
お地蔵様の中でも印象的なのは、子供をモチ-フとした「わらべ地蔵』というカワイイお地蔵様方だ。
●有清園内の「わらべ地蔵」●
今では苔むす土の中に埋もれて、全体像を見にくいお地蔵様方だが、後に読んだ解説によると、上写真の右手前は、寝ころんで頬杖を着いて脚をバタバタとさせているそうだ。
中央に極楽浄土の象徴である、阿弥陀如来様があり、その周りに展開する庭なので、ボクの勝手な解釈かも知れないが、「浄土世界を表している」と、想像する。その様子は禅宗などの「枯山水(かれさんすい)」様式に見られる、どことなく厳しさを感じるモノではなく、この「わらべ地蔵」に表されているように、柔らかでハッピーな印象があるから、見ているこちらの気分が楽しくなってくる。
ともあれ、「わらべ地蔵」の、あまりのカワイさに見とれつつ、更に奥へ進むと、そこには「御不動様」から「観音様」、「弁天様」までが祀られており、有り難いことこの上ない。しかし、これら奥にある施設は比較的新しい時代につくられたようだから、有清園とのイメージ差がかなりあることは否めない。
更に散策できそうな雰囲気もあったが、時間の関係でここで今回の訪問はオシマイ。次は土産物店が並ぶ門前の通りへと足を進めた。
■柴漬けの里■
三千院のある大原地区は「志ば漬(柴漬け)発祥の地」とも言われている。中でも有名なのは土井という漬け物店だ。
三千院の門前にも、その土井の店舗がある。勿論志ば漬もウマイが、オススメは「すぐき漬け」という、カブの一種を漬け物にしたモノだ。
ご存じの方も多いと思うが、すぐき漬けは乳酸発酵漬物なので、酸っぱいのが普通なのだが、土井のすぐき漬けはマイルドで味のキツさがない。それに今流行りの調味料がドバッと入ったタイプではないので、好印象を受ける。これにチョッと醤油を垂らして食うのがこれまた最高で、妻共々現在ではファンになっている。
●三千院門前の土井(支店)●
■カウントしてみると…■
多くのおじ様、おば様方と同じように、このボクも京都の寺院への小旅行が楽しくなる年頃?になってきたようだ。しかしながら、月一に行ったとしても、この先あと何カ所訪問できることやら…。指折り数えてみると、到底全部は回れそうにない。その事に気付くと妙にヘコんでしまう今日この頃なのである。