■またもや「ブンブン丸」へ■
近頃、釣り人に「何とか魚を」と、細かなアンカリングや調整を繰り返す姿勢が気に入って通い続けている「ブンブン丸」さん。ただし、予約を入れ続けるも、毎日曜ごとの荒天が災いして延期に次ぐ延期となり、ようやく乗船可能となるのに約1ヶ月を要した。
まさに「待ちに待った乗船」だったのだが、今回は兄と二人で乗合船への乗船だったので、釣りを開始する以前に、ボクには鬼門である釣り座決定のくじ引きが待ち構えている。そこで今回は作戦?をたててみた。とは言っても、今回は実質抽選には参加せず、最後に残ったもの=よく言う「残り福」狙いにしただけなのだが…。
その結果、「どうせだめだろう」との諦めの境地とは裏腹に、ボクの手元には3番くじが転がり込んできた。しかしながら、それでも下から2番目といったあたりは、いかにもボクらしい結末だった。
■白石グリへ■
前々日~前日までは冬型の気圧配置となり、荒れ模様だったのだが、当日は波も収まりつつある状態だった。しかし、風向きは北西ではないものの、真東から吹いており、寒いことこの上ない。舞鶴湾港を出た後、あたりの山々を見渡すと、4月の初旬を過ぎようとしているのに、冠雪している。道理で寒いハズだ。
■白石グリへ■
地上の狂った季節感とは違って、海中では季節が進んでいた。このところ凝っていたメダイは例年よりも数が少なかったうえに、深場に落ち始めているようで、望み薄との船長判断から、途中の魚礁での釣りはせずに直接経ヶ岬沖の白石グリへと向かうことが決定し、同船の釣り人と共に航行しながら準備を始める。
今回は始めから完全フカセとの指示が出ていたので、それに対応した仕掛けをセットし、「後は到着して、潮さえ動いていれば…。」と、期待に胸をふくらませながら船がポイントに到着するのを待った。
午前11時にブンブン丸はアンカリング開始。海域が混雑していたので、多少手間取ったが、なんとか実釣がスタートした。
■アンカー潮■
以前から何度も紹介しているが、「完全フカセ」とは、船尾方向からオキアミのマキエサを撒きながら、それが流れてゆく筋の中に、基本はハリとサシエサだけが着いた仕掛けを流し込む釣りだ。従って多少のズレがあっても、船尾方向に流してゆくのがこの釣りのスタイルなのだが、この日はそうはいかなかった。
当然ながら自然界は常に無情であり、その日その日で条件は変わる。潮流がかなり速い場合と海上が無風の場合であれば、船首にアンカーが入ると、そこを支点にアンカーロープを伝って船は潮流と同じ方向に、真っ直ぐ潮下側になびく。しかし、海上ではある程度の風がある日の方が多い。従って海上を渡る風に押されて、潮流の速さと風力のバランスがとれた位置に船が止まるから、潮流と全く同じ方向ではなく、少し角度がズレることの方が多い。
この日は潮流がそこそこの勢いで西から東へ、それとは逆に東から強風が吹きつけていた。こうなると、船は風に押されて西側に船尾を向け、それとは逆に潮が東へと向かう。これを釣り人の間では「アンカー潮」と呼ぶが、特に完全フカセの場合は流し込んだ仕掛けがアンカーロープに絡んで最悪の事態になる。
それでも、完全フカセスタイルのままで、仕掛けの回収タイミングを計ったりしながら、何とか2時間ほど続けていたのだが、ロープへの絡みつきが連続し始めたことをきっかけに、釣法を変更することになった。
■初アタリ■
船の位置が変更されて、船頭さんの指示で同船の全員が直下を釣る「天秤ズボ釣り」スタイルに改められた。
水深が94mということだったので、とりあえず最初に狙うタナは、先端の針先が海底から5m付近を流れるようにと考えた。実際にオモリが海底に着底するまで糸を出してみると、潮流その他の影響を受けて、ボクのリールのカウンター表示では98mを指していた。
全長が8mある仕掛けを使用していたので、海面からオモリまでの距離をを85mにして釣り始めた。
2投目、オキアミのマキエサが効き始めたのか、サシエサが取られたので、5mタナを上げて様子を伺う。するとまたサシエサが取られたので、更にもう5mタナを上げる。しかし、今度はサシエサが取られない。そこで、当初の狙いダナは中間の78m付近と予測をする。
何投かする内にエサが取られたり残ったりを繰り返していたが、投入、回収のインターバルを5分として続けてゆく内に、竿先がフワフワと震えた。
狙いは、メジロ(ブリの60cm以上、80cm未満のサイズ)もしくはマダイだったので、本命なら、ここから衝撃的にズドンと竿全体が曲がり込んでゆくのだが、それがない。
「さてはエサ取りの仕業か?」と思い、とりあえずアワセを入れてみる。しかし、これが予想に反して急に走り始めたのだ。
この日の初物なので、慎重にやりとりをする。何度かの締め込みをかわして無事に取り込んだのは、メジロだったが、もう一つのハリには小型マダイのオマケがついていた。
「アタリが小さかったのは、2匹掛かって相殺されたからか?」と、納得する。
ここまで釣り開始から3時間以上経っていたが、釣れるときはこんなもので、ダブル釣果に気を良くしつつも、次の魚を狙うべく、仕掛けの投入を続けてゆく。
■アタリは小さい■
マキエサの効きがさらに出たのか、先ほどと同じタナではサシエサが確実に残らなくなったので、さらにタナを上げて調節を繰り返す。何度かタナを上げ下げし、リールのカウンターは72mを指していたが、ここでまたもや、あのフワフワとしたアタリが竿先に現れた。
アワセるタイミングが掴めないので、今度は竿をロッド・キーパーからハズして、アタリについて行くような感覚で竿先を送り込んでみた。しかし、全く走らない。
ここでシビレを切らして無理にアワセると、竿が絞り込まれていった。そして65cmのメジロをゲットする。
■逆転の一発■
この魚を掛けてやりとりをしている最中に、船中の2カ所でも同時に竿が曲がっていた。一方はボクと同サイズのメジロだったが、もう一方は全くパワーが違う魚のようだった。そして、その大型魚を掛けているのが兄だった。
聞けば、アタリが竿先に出なかったので、巻き取り始めたところ、その瞬間にズドンッときたそうだ。その引きは強烈で、前回同船した時に掛けた88cmのメダイと同等か、それ以上だという。
ドラグが滑り、リールが逆転して一旦糸が引っ張り出されると、しばらくは止まらず、「巻いては引き出され」の、一進一退の攻防が続いていたが、何とか踏ん張って兄が魚に打ち勝った。
見れば、ボクが掛けた魚とは二回りも大きい、ぎりぎりブリと呼べるサイズが玉網に収まっていた。
■逆転ならず■
続いての釣果もボクだったが、兄のサイズには及ばず、またもやメジロサイズでがっかりする。
アタリの小ささは相変わらずで、魚の活性は低いが、小型のマダイを含めてポツン、ポツンとアタリを拾いながら、気付けば数の上では船中で一番になっていたが、夕暮れが近づいても大型魚はボクの手中にはなかった。
「日没間際に、せめて大型のマダイが来てくれれば…。」と思って諦めずに頑張っていたが、思いが通じたのか、相変わらずの小さく渋いアタリを掛けアワセると、それといった雰囲気でウマく竿が曲がり込んでくれた。
途中の引きも段をつけて叩くような引きでありながら、重量感もタップリであったから、大型マダイを期待して胸をふくらませる。
リールで糸を巻き取り終えると、ロッド・キーパーに竿をセットして、後はハリス分の8mを手でたぐり寄せるだけだ。
いざ魚が浮いてくると、ビックリ。上バリに65cmほどのメジロ、下バリには53cmのマダイという、ダブル釣果だったのだ。つまり、頭を振る仕草はマダイが担当し、途中の締め込みはメジロが担当するという、合わせ技だったということだ。
それでも嬉しいには違いなかったのだが、「釣り師たるもの大型を!」との思いが強く、素直には喜べなかった。
ダブル釣果の後は、終了までは残すところ1時間を切り、日没近辺になると、海の様子が変わり出す。そして、釣果がチカメキントキに代わり始めた。それから程なく、あれこれ努力の甲斐もないままに、終了の時間を迎えた。
■一日を終えて…■
食いが渋く、ハリの着いたエサをくわえ込むまでに時間は掛かるが、サシエサが残るか残らないかの、ぎりぎりのタナを探り当てさえすれば、ポツポツと答えが返ってくるから、その意味では釣り易い状況だった。まさに「基本には忠実に!」を思い知らされた釣行だった。
この日の釣果はメジロ4本+中小型のマダイが5枚という、船中では1番の結果を残したが、惜しまれるのは大型がゲットできなかったことだ。
それにしても昨秋以来、兄には大型魚を釣られっぱなしで、全くもって悔しい限りだ。
そう言えば、以前に所属していた釣りクラブの会長に、こういう時の言い訳を教えてもらったことがあるから、ここでその言葉の披露と負け惜しみを兼ねて、ほざいておこう。
「海中の一番大きな魚は、上から覗いて選ぶことはできないからな…。」と…。
近頃、釣り人に「何とか魚を」と、細かなアンカリングや調整を繰り返す姿勢が気に入って通い続けている「ブンブン丸」さん。ただし、予約を入れ続けるも、毎日曜ごとの荒天が災いして延期に次ぐ延期となり、ようやく乗船可能となるのに約1ヶ月を要した。
まさに「待ちに待った乗船」だったのだが、今回は兄と二人で乗合船への乗船だったので、釣りを開始する以前に、ボクには鬼門である釣り座決定のくじ引きが待ち構えている。そこで今回は作戦?をたててみた。とは言っても、今回は実質抽選には参加せず、最後に残ったもの=よく言う「残り福」狙いにしただけなのだが…。
その結果、「どうせだめだろう」との諦めの境地とは裏腹に、ボクの手元には3番くじが転がり込んできた。しかしながら、それでも下から2番目といったあたりは、いかにもボクらしい結末だった。
■白石グリへ■
前々日~前日までは冬型の気圧配置となり、荒れ模様だったのだが、当日は波も収まりつつある状態だった。しかし、風向きは北西ではないものの、真東から吹いており、寒いことこの上ない。舞鶴湾港を出た後、あたりの山々を見渡すと、4月の初旬を過ぎようとしているのに、冠雪している。道理で寒いハズだ。
●あまりにしつこい冬の名残●
■白石グリへ■
地上の狂った季節感とは違って、海中では季節が進んでいた。このところ凝っていたメダイは例年よりも数が少なかったうえに、深場に落ち始めているようで、望み薄との船長判断から、途中の魚礁での釣りはせずに直接経ヶ岬沖の白石グリへと向かうことが決定し、同船の釣り人と共に航行しながら準備を始める。
今回は始めから完全フカセとの指示が出ていたので、それに対応した仕掛けをセットし、「後は到着して、潮さえ動いていれば…。」と、期待に胸をふくらませながら船がポイントに到着するのを待った。
午前11時にブンブン丸はアンカリング開始。海域が混雑していたので、多少手間取ったが、なんとか実釣がスタートした。
■アンカー潮■
以前から何度も紹介しているが、「完全フカセ」とは、船尾方向からオキアミのマキエサを撒きながら、それが流れてゆく筋の中に、基本はハリとサシエサだけが着いた仕掛けを流し込む釣りだ。従って多少のズレがあっても、船尾方向に流してゆくのがこの釣りのスタイルなのだが、この日はそうはいかなかった。
当然ながら自然界は常に無情であり、その日その日で条件は変わる。潮流がかなり速い場合と海上が無風の場合であれば、船首にアンカーが入ると、そこを支点にアンカーロープを伝って船は潮流と同じ方向に、真っ直ぐ潮下側になびく。しかし、海上ではある程度の風がある日の方が多い。従って海上を渡る風に押されて、潮流の速さと風力のバランスがとれた位置に船が止まるから、潮流と全く同じ方向ではなく、少し角度がズレることの方が多い。
この日は潮流がそこそこの勢いで西から東へ、それとは逆に東から強風が吹きつけていた。こうなると、船は風に押されて西側に船尾を向け、それとは逆に潮が東へと向かう。これを釣り人の間では「アンカー潮」と呼ぶが、特に完全フカセの場合は流し込んだ仕掛けがアンカーロープに絡んで最悪の事態になる。
それでも、完全フカセスタイルのままで、仕掛けの回収タイミングを計ったりしながら、何とか2時間ほど続けていたのだが、ロープへの絡みつきが連続し始めたことをきっかけに、釣法を変更することになった。
■初アタリ■
船の位置が変更されて、船頭さんの指示で同船の全員が直下を釣る「天秤ズボ釣り」スタイルに改められた。
水深が94mということだったので、とりあえず最初に狙うタナは、先端の針先が海底から5m付近を流れるようにと考えた。実際にオモリが海底に着底するまで糸を出してみると、潮流その他の影響を受けて、ボクのリールのカウンター表示では98mを指していた。
全長が8mある仕掛けを使用していたので、海面からオモリまでの距離をを85mにして釣り始めた。
2投目、オキアミのマキエサが効き始めたのか、サシエサが取られたので、5mタナを上げて様子を伺う。するとまたサシエサが取られたので、更にもう5mタナを上げる。しかし、今度はサシエサが取られない。そこで、当初の狙いダナは中間の78m付近と予測をする。
何投かする内にエサが取られたり残ったりを繰り返していたが、投入、回収のインターバルを5分として続けてゆく内に、竿先がフワフワと震えた。
狙いは、メジロ(ブリの60cm以上、80cm未満のサイズ)もしくはマダイだったので、本命なら、ここから衝撃的にズドンと竿全体が曲がり込んでゆくのだが、それがない。
「さてはエサ取りの仕業か?」と思い、とりあえずアワセを入れてみる。しかし、これが予想に反して急に走り始めたのだ。
この日の初物なので、慎重にやりとりをする。何度かの締め込みをかわして無事に取り込んだのは、メジロだったが、もう一つのハリには小型マダイのオマケがついていた。
「アタリが小さかったのは、2匹掛かって相殺されたからか?」と、納得する。
ここまで釣り開始から3時間以上経っていたが、釣れるときはこんなもので、ダブル釣果に気を良くしつつも、次の魚を狙うべく、仕掛けの投入を続けてゆく。
●ボクにとっては、久しぶりのメジロ(68cm)●
■アタリは小さい■
マキエサの効きがさらに出たのか、先ほどと同じタナではサシエサが確実に残らなくなったので、さらにタナを上げて調節を繰り返す。何度かタナを上げ下げし、リールのカウンターは72mを指していたが、ここでまたもや、あのフワフワとしたアタリが竿先に現れた。
アワセるタイミングが掴めないので、今度は竿をロッド・キーパーからハズして、アタリについて行くような感覚で竿先を送り込んでみた。しかし、全く走らない。
ここでシビレを切らして無理にアワセると、竿が絞り込まれていった。そして65cmのメジロをゲットする。
■逆転の一発■
この魚を掛けてやりとりをしている最中に、船中の2カ所でも同時に竿が曲がっていた。一方はボクと同サイズのメジロだったが、もう一方は全くパワーが違う魚のようだった。そして、その大型魚を掛けているのが兄だった。
聞けば、アタリが竿先に出なかったので、巻き取り始めたところ、その瞬間にズドンッときたそうだ。その引きは強烈で、前回同船した時に掛けた88cmのメダイと同等か、それ以上だという。
●攻防中の兄●
ドラグが滑り、リールが逆転して一旦糸が引っ張り出されると、しばらくは止まらず、「巻いては引き出され」の、一進一退の攻防が続いていたが、何とか踏ん張って兄が魚に打ち勝った。
見れば、ボクが掛けた魚とは二回りも大きい、ぎりぎりブリと呼べるサイズが玉網に収まっていた。
●80cmジャスト●
■逆転ならず■
続いての釣果もボクだったが、兄のサイズには及ばず、またもやメジロサイズでがっかりする。
アタリの小ささは相変わらずで、魚の活性は低いが、小型のマダイを含めてポツン、ポツンとアタリを拾いながら、気付けば数の上では船中で一番になっていたが、夕暮れが近づいても大型魚はボクの手中にはなかった。
「日没間際に、せめて大型のマダイが来てくれれば…。」と思って諦めずに頑張っていたが、思いが通じたのか、相変わらずの小さく渋いアタリを掛けアワセると、それといった雰囲気でウマく竿が曲がり込んでくれた。
●大型マダイか?●
途中の引きも段をつけて叩くような引きでありながら、重量感もタップリであったから、大型マダイを期待して胸をふくらませる。
リールで糸を巻き取り終えると、ロッド・キーパーに竿をセットして、後はハリス分の8mを手でたぐり寄せるだけだ。
いざ魚が浮いてくると、ビックリ。上バリに65cmほどのメジロ、下バリには53cmのマダイという、ダブル釣果だったのだ。つまり、頭を振る仕草はマダイが担当し、途中の締め込みはメジロが担当するという、合わせ技だったということだ。
それでも嬉しいには違いなかったのだが、「釣り師たるもの大型を!」との思いが強く、素直には喜べなかった。
●何と、ダブル●
ダブル釣果の後は、終了までは残すところ1時間を切り、日没近辺になると、海の様子が変わり出す。そして、釣果がチカメキントキに代わり始めた。それから程なく、あれこれ努力の甲斐もないままに、終了の時間を迎えた。
■一日を終えて…■
食いが渋く、ハリの着いたエサをくわえ込むまでに時間は掛かるが、サシエサが残るか残らないかの、ぎりぎりのタナを探り当てさえすれば、ポツポツと答えが返ってくるから、その意味では釣り易い状況だった。まさに「基本には忠実に!」を思い知らされた釣行だった。
この日の釣果はメジロ4本+中小型のマダイが5枚という、船中では1番の結果を残したが、惜しまれるのは大型がゲットできなかったことだ。
それにしても昨秋以来、兄には大型魚を釣られっぱなしで、全くもって悔しい限りだ。
そう言えば、以前に所属していた釣りクラブの会長に、こういう時の言い訳を教えてもらったことがあるから、ここでその言葉の披露と負け惜しみを兼ねて、ほざいておこう。
「海中の一番大きな魚は、上から覗いて選ぶことはできないからな…。」と…。