その1から続く
■芋生茂(おいも)橋■
気付けば雨脚の強まる中、脱渓予定地の芋生茂(おいも)橋まで到達していた。この下流側も以前はもう少し水深があったのだが、やはり浅くなってポイントの規模は小さくなっていたが、この区間ではまだ広いポイントの一つだ。
しかし、また先ほどのルアーマン達が居座っていた。「一声掛けてやろうかな?」と思ったが、こちらの接近に気付いてそそくさと引き上げていった。よく考えてみると、先程来ずっと「二人に往復二度攻め」されたポイントを攻めていたのだ。
振り返れば、先ほどの流れの速いポイントからここまでの間はポイントらしい箇所はない。だからこそ、ここで例の二人は粘っていたのであり、ボクとしても「さすがにもう出る魚はないだろう」と思っていたが、浅い淵尻で、またもやこの日サイズのヤマメをゲットする。
しかし、さんざん攻められたせいか、もう一匹同寸を加えて以降、探る場所多い割にアタリの数は少なかった。更にはここまで頼りにしてきたミミズの数は減り、極細が数本しか残っておらず、ほとんど使い物にはならなかった。そこで、半ば仕方なしにブドウ虫を装餌して、投入してみる。
これまでの自分の経験を辿ってみると、ブドウ虫では小型のヤマメばかりを釣っていて、「目先を変える」効果以外は、そこそこの型以上の実績は少ない。しかし、この日はその目先の変化に効果があったのか、スパッと目印を引き込む一番ハッキリしたアタリをこのエサが届けてくれた。
高原川のヤマメらしい、シャープな引きに”良型”を感じたが、”大型”ではなさそうだ。それでもこの日一番の魚には違いはないので、慎重にいなして受け玉へと導いた。
これがこの区間最後の魚になったが、大型こそ出ないものの、ここまで”そこそこサイズ”が11匹と、「つ抜け(一つ、二つ、といった一桁を超えたという意味)」を達成したことに納得つつ、この区間を後にした。
■情報収集■
一旦、退渓した後、ガソリン・スタンドも経営している、宝フィッシングさんで、車の給油がてら情報収集をする。
聞けば、今年はヤマメの当たり年だったようで、春から良~大型が結構出ていたそうだ。そのことから昨年は絶不調だったヤマメは、居るには居たが、何らかの影響でハリに着いたエサを活発に食わずに、そのまま越冬したと思われるそうだ。だが、その勢いも鮎釣り用の稚鮎等を入れるまでのことであり、その放流後は食性が変わったのか、川虫等のエサへの反応はかなり鈍っているそうである。又、すでに稚魚の放流もあったので、逆に川虫への反応が早い小型が、うるさくつきまとう状況になっているそうだ。
そのことを考慮し、中上流部とは条件の違う下流部へと向かうことにした。
■割石以北■
神岡の町を挟んで上下流で高原川はかなり表情を変える。神岡町から上流では川底には主に人頭大程度の大きさの石が散らばっているのだが、下流側の、この地区では大石、それも読んで字の如く、巨岩を割ったような石がゴロゴロとしているので、表情がかなり違う。
入渓場所は少しズレるが、この区間では’10年に40cmのイワナを上げているだけに期待を持って望んだ。
ここ一帯には所々で大石が流れを狭め、そのすぐ下流の淵へと流れ込む流筋を形成している箇所が散在しているが、その一つ一つを丁寧に攻めてゆく腹づもりだ。単発だが、尺オーバーのヤマメも登場する区間と聞いているだけに、「一発勝負」に勝つため、硬度MHの8.5m竿に0.5号という太仕掛けで投入を開始した。
しかし、以前に訪れた際とは違って、ここまで雨が少なかったせいか、何となくよどんだ水色で、水質が悪いように感じる。そのためか、アタリがあるのは鯉科の魚=ウグイばかりで閉口する。そこで、ウグイが泳ぎ辛いであろう、なるべく流れの速いポイントを中心に攻めるようにする。
何度目かの淵に差し掛かり、速い流筋脇にある渦を巻くポイントで仕掛けを馴染ませていると、ようやくソレらしいアタリと同時に竿が大きく曲がり込んだ。
「やった~!、尺はあるかも?」と思い、慎重にやりとりを開始するが、引きに力はあるものの、ヤマメの引きほどのシャープさとスピ-ドがない。かといって、イワナのようなウネウネとしたトルク感もない。ソレよりも第一に、使用しているタックル敵ではなさそうだ。
「嫌な予感が…」と思いつつ、半ば強引に引き上げた瞬間に相手が姿を現した。得てして悪い方の予測は当たるモノで、ソレはニジマスだった。
■鳴り響くサイレン■
気を取り直して、更に各所を攻め続けていたが、好転することがないまま、臭いウグイまみれになり、閉口しながらも、脱渓地点まであと残り2淵になった時点で、河原全体に大きく響くサイレンと共に「こちらは北陸電力です…」という放送が流れ始めた。
その内容は…増水で上流の浅井田ダムが放水を始めたというモノだった。周囲を見回しても水位が上がっているようには思えなかったが、「流されては大変」と、脱渓を決意し、あっけなくこの日の釣りが強制終了となった。
■後悔先に立たず■
「食いが悪くなった」という中でもヤマメは”つ抜け”し、イワナ等を含めると総合釣果は結構な数になった。この点からも不調だった昨期が、一時的にどうかしていただけで、高原川の実力が落ちていたワケではないということを確認した。その点では安心できたのだが、こうなってくると十分に楽しめた一日ではあっても、「鮎が入る前の好調時に入っていれば更に良型が、数が…。」と、欲が沸いてくる。正に「後悔先に立たず」だ。
これから高原川は鮎釣りシーズンに入り、本流は鮎師たちに占領されてしまう。従って早朝や、支流といった具合に、限られた時間や限られたエリアしか竿出しができないから、遠征組のボクには制約が多くなることから、釣行は厳しくなるだろう。恐らく、次回の釣行は来シーズンになるだろうが、ソレが今から待ち遠しくなった釣行だった。
■芋生茂(おいも)橋■
気付けば雨脚の強まる中、脱渓予定地の芋生茂(おいも)橋まで到達していた。この下流側も以前はもう少し水深があったのだが、やはり浅くなってポイントの規模は小さくなっていたが、この区間ではまだ広いポイントの一つだ。
●芋生茂橋下流のポイント●
しかし、また先ほどのルアーマン達が居座っていた。「一声掛けてやろうかな?」と思ったが、こちらの接近に気付いてそそくさと引き上げていった。よく考えてみると、先程来ずっと「二人に往復二度攻め」されたポイントを攻めていたのだ。
振り返れば、先ほどの流れの速いポイントからここまでの間はポイントらしい箇所はない。だからこそ、ここで例の二人は粘っていたのであり、ボクとしても「さすがにもう出る魚はないだろう」と思っていたが、浅い淵尻で、またもやこの日サイズのヤマメをゲットする。
●23cmのヤマメ●
しかし、さんざん攻められたせいか、もう一匹同寸を加えて以降、探る場所多い割にアタリの数は少なかった。更にはここまで頼りにしてきたミミズの数は減り、極細が数本しか残っておらず、ほとんど使い物にはならなかった。そこで、半ば仕方なしにブドウ虫を装餌して、投入してみる。
これまでの自分の経験を辿ってみると、ブドウ虫では小型のヤマメばかりを釣っていて、「目先を変える」効果以外は、そこそこの型以上の実績は少ない。しかし、この日はその目先の変化に効果があったのか、スパッと目印を引き込む一番ハッキリしたアタリをこのエサが届けてくれた。
高原川のヤマメらしい、シャープな引きに”良型”を感じたが、”大型”ではなさそうだ。それでもこの日一番の魚には違いはないので、慎重にいなして受け玉へと導いた。
●28cmのヤマメ●
これがこの区間最後の魚になったが、大型こそ出ないものの、ここまで”そこそこサイズ”が11匹と、「つ抜け(一つ、二つ、といった一桁を超えたという意味)」を達成したことに納得つつ、この区間を後にした。
■情報収集■
一旦、退渓した後、ガソリン・スタンドも経営している、宝フィッシングさんで、車の給油がてら情報収集をする。
聞けば、今年はヤマメの当たり年だったようで、春から良~大型が結構出ていたそうだ。そのことから昨年は絶不調だったヤマメは、居るには居たが、何らかの影響でハリに着いたエサを活発に食わずに、そのまま越冬したと思われるそうだ。だが、その勢いも鮎釣り用の稚鮎等を入れるまでのことであり、その放流後は食性が変わったのか、川虫等のエサへの反応はかなり鈍っているそうである。又、すでに稚魚の放流もあったので、逆に川虫への反応が早い小型が、うるさくつきまとう状況になっているそうだ。
そのことを考慮し、中上流部とは条件の違う下流部へと向かうことにした。
■割石以北■
神岡の町を挟んで上下流で高原川はかなり表情を変える。神岡町から上流では川底には主に人頭大程度の大きさの石が散らばっているのだが、下流側の、この地区では大石、それも読んで字の如く、巨岩を割ったような石がゴロゴロとしているので、表情がかなり違う。
●割石以北の河原風景●
入渓場所は少しズレるが、この区間では’10年に40cmのイワナを上げているだけに期待を持って望んだ。
ここ一帯には所々で大石が流れを狭め、そのすぐ下流の淵へと流れ込む流筋を形成している箇所が散在しているが、その一つ一つを丁寧に攻めてゆく腹づもりだ。単発だが、尺オーバーのヤマメも登場する区間と聞いているだけに、「一発勝負」に勝つため、硬度MHの8.5m竿に0.5号という太仕掛けで投入を開始した。
しかし、以前に訪れた際とは違って、ここまで雨が少なかったせいか、何となくよどんだ水色で、水質が悪いように感じる。そのためか、アタリがあるのは鯉科の魚=ウグイばかりで閉口する。そこで、ウグイが泳ぎ辛いであろう、なるべく流れの速いポイントを中心に攻めるようにする。
何度目かの淵に差し掛かり、速い流筋脇にある渦を巻くポイントで仕掛けを馴染ませていると、ようやくソレらしいアタリと同時に竿が大きく曲がり込んだ。
「やった~!、尺はあるかも?」と思い、慎重にやりとりを開始するが、引きに力はあるものの、ヤマメの引きほどのシャープさとスピ-ドがない。かといって、イワナのようなウネウネとしたトルク感もない。ソレよりも第一に、使用しているタックル敵ではなさそうだ。
「嫌な予感が…」と思いつつ、半ば強引に引き上げた瞬間に相手が姿を現した。得てして悪い方の予測は当たるモノで、ソレはニジマスだった。
●トホホな35cm級のニジマス●
■鳴り響くサイレン■
気を取り直して、更に各所を攻め続けていたが、好転することがないまま、臭いウグイまみれになり、閉口しながらも、脱渓地点まであと残り2淵になった時点で、河原全体に大きく響くサイレンと共に「こちらは北陸電力です…」という放送が流れ始めた。
その内容は…増水で上流の浅井田ダムが放水を始めたというモノだった。周囲を見回しても水位が上がっているようには思えなかったが、「流されては大変」と、脱渓を決意し、あっけなくこの日の釣りが強制終了となった。
■後悔先に立たず■
「食いが悪くなった」という中でもヤマメは”つ抜け”し、イワナ等を含めると総合釣果は結構な数になった。この点からも不調だった昨期が、一時的にどうかしていただけで、高原川の実力が落ちていたワケではないということを確認した。その点では安心できたのだが、こうなってくると十分に楽しめた一日ではあっても、「鮎が入る前の好調時に入っていれば更に良型が、数が…。」と、欲が沸いてくる。正に「後悔先に立たず」だ。
これから高原川は鮎釣りシーズンに入り、本流は鮎師たちに占領されてしまう。従って早朝や、支流といった具合に、限られた時間や限られたエリアしか竿出しができないから、遠征組のボクには制約が多くなることから、釣行は厳しくなるだろう。恐らく、次回の釣行は来シーズンになるだろうが、ソレが今から待ち遠しくなった釣行だった。