■相変わらずの白石グリ通い■
今回も京都府舞鶴市から出港した。乗船したのは今年になって幾度もお世話になっている滝ヶ浦遊船所属の日本海41で、目指すポイントはいつもの白石グリだ。
当日の天候は曇りベースながら、波高は1mという予報だったので、まずまずのコンディションだった。
約1時間10分の航海で、丹後半島経ヶ岬沖の周辺海域に到達する。ここ白石グリでは入漁規制があって、エサ釣り船は午前11時にならないと、投錨することができない。したがって手前で各船が横一線に待機し、「用意ドン!」となる。白石グリは天然魚礁のため、地形が複雑かつ範囲が広く、その時期その時期で魚の付き場が変わるのは当然なので、各船が狙った位置を目指す。しかし、各船長の狙いが被ることもあるので、速度を上げての競争になる。
そして、船長が着けた位置は75mラインからの駆け上がり部分だった。
■同船者■
白石グリでの釣果は一時の”底状態”からは脱した、いわゆる「底を打った状態」へと移行しており、数を増した各船が競ってここを目指していることからもそれが裏付けられている。それ故ボクの期待も十分であった。
今回も乗合船だったので、同船者は二人組と+一人とボクの合計4人だった。釣り座はくじ引きとなったが、近年まれに見るラッキーさで、何とボクが一番クジを引き当ててしまった。そしてボクはトモ(船尾)の右舷側を選んで、そこから実釣がスタートした。
二番、三番クジは二人組だったので、彼らに左右から挟まれる状態だったのだが、その二人は完全フカセ釣りの経験が浅いようであった。それはそれで仕方がないことなのだが、問題なのはエサの量だ。ボクが一日普通にマキエサを撒く場合は、3kgのオキアミを5枚程度という計算になり、乗合料金に含まれるオキアミ2枚とは別にプラス3枚を用意する。しかし、この二人は追加をしていない様子だった。
完全フカセ釣りでは船上からオキアミのマキエサを撒き、その流れてゆく潮筋にハリの着いたエサを流し込んでゆく。当然磯のグレ釣りのようにマキエサの中に刺しエサが漂うのが理想だが、比重の軽いオキアミ単体のマキエサとは違って、ハリに刺したオキアミは重い上に仕掛が付いていて更には当然ながら道糸も繋がってその抵抗の影響を受けている。それを、時には300m近くも流すことがあるため、実のところ、船上から撒いたマキエサと一致させて流すことは難しい。したがってマキエサがスロープ状に流れる筋の中に刺しエサが流れてくることくらいしか釣り人は演出できないのだ。そのためには「マキエサを一定間隔で間断なく撒き続けること」で、スロープに仕掛が入る確率を上げることが必要になってくる。上述の”5枚”はここから導かれた量なのだ。
経験が少ないと、流れに乗せて送り込む道糸の出具合や、いつ来るか判らないアタリを表現するスプールの回転にばかり目が行ってマキエサを撒く方がおろそかになる。それが気がかりだったのだが、案の定、左右の二人は仕掛を入れる際に一掴みを一度しか撒いていないようだった。
これでは効果がないので、仕方なく声を掛けるのだが、それを言った時は慌てて少し撒くものの、すぐに注意が逸れてしまうようだった。まさか、人のマキエサに手を突っ込んで撒くわけにも行かないので、仕方なく、ボクは見て見ぬふりをしながら自分のペース撒き続けていた。
イヤな予感がずっとしていたのだが、それはボクの場合はそれがよく当たる。この時もファーストヒットは左側の釣り人で、50cm弱のマダイを釣って上機嫌になっている。続いて右側の人にアタリがあって、同寸のマダイと、ボクが待ち焦がれているメダイを続けてゲットした。
ヒットしているのは100m以上先なので、一掴みのオキアミが効いているようにも思えず、魚達はボクが撒き続けたエサに反応しているハズなのだが、そのことを左右の二人は気付いていないようだった。
それでもアタリがボクにもあれば気にならないが、割に合わない作業を2時間ほど続けている内に嫌気が差して来る。これ以上言ってもギスギスするだけなので、多少意地悪だが、二人が流すタイミングからズラして仕掛を投入し、その刺しエサの周囲のみに絞ってマキエサを撒くようにした。
「これで解ってもらえればいいのだが…。」との思いで、そのパターンで続けていたが、その甲斐もなく、また、そんな撒き方では釣れてくる魚もなかった。
■風向きが変わる■
そうこうしているうちに陽射しが途絶え、やや強い風が北から吹くようになった。こうなると、船の角度が変わってオマツリが多発するようになった。ここでボクの左にいた人が移動し、ボクの釣り座が一番左端になった。
「これ幸い」と、人より長い竿を使っていたことも利用して、他の人よりも、より左側流すように位置取りし、いつものペース=間断なく撒き続けるペースに戻して流し始めた。
これが当たったのか、しばらく経つと、ついにアタリを捉えることに成功した。
ただし、風向きが変わってからは二枚潮気味に変わってしまい、アタリとして伝わるスプールの逆転は明確ではなかった。しかも魚引きは大したことはなく、既に正体はやり取りの途中で気付いていたが…。
予想通り、まず最初はイサギをゲットする。
続いてまたもや明確でないアタリを捉えてイサギばかりを2匹追加する。
そしてその次もアタリは弱いが、少しは抵抗感のある引きが竿を絞る。
そして小型のマダイをゲットする。
■一番の引き■
これまでの流れがウソのような展開となり、ポツポツながらアタリが続くようになってきた。しかし、ずっとアタリは不明瞭な状態が続いていた。
近頃の電動リールの、”フカセ対応”を謳っているモデルは、リールが高速で逆転=アタリがあればアラームが鳴るように設定できるのだが、ここまでの魚達の活性とサイズではアラームが鳴るまでには至らず、目で変化を確認せざるを得なかった。しかし、次のアタリは、この日最初で最後のアラームを鳴らすアタリだった。
そしてアワセを入れると大きく竿を絞り込んでいった。
重量感を伴ってドラッグが滑り、シツコク繰り返す引きは、待望のメダイに違いない。メダイの口は柔らかめであり、時折口切れでハリが外れてしまうことがある。ましてや当日の状況下では、これを逃すと後はなさそうなので慎重にやりとりを繰り返す。
そうやって何とか無事に取り込みに成功したのは、紛れもないメダイであった。
■その後の展開■
その後は一旦アタリが途絶えたが、北風が強まり船の揺れが大きくなっていた。船酔いや仕掛のロストで周りの釣り人はリタイヤし、気付けばボク一人が竿を出していた。
こうなったら”独壇場”とばかりにマキエサを間断なく入れ、40cmほどのマダイを2匹追加することができた。
そして程なく北風は更に強まり、「これ以上は無理」との船長判断から、予定の時間より1時間早く撤収の時間がやってきた。この時、例の二人のエサ箱に目をやると、割り当てられたオキアミの内、1枚すら消費することもなく、まだ4分の1ほどが残されていた…。(因みに舳先方向にいたもう一人の釣り人は”自身がコンスタントに打ち続けたマキエサ”によって、マダイの釣果をそこそこ得ていた。)
当時前半はストレスがたまって「胃の痛くなるような」展開だったが、気付けばいつものペースを取り戻し、納得できる最低限の釣果を得ていた。そろそろ渓流釣りに取り組む時期にも差し掛かっていることもあり、今回を爆釣で締めくくって、すんなりと移行したかったのだが、この釣果では「…」だ。
実のところ、春シーズンの沖釣りには、あと1回行くかどうか迷っているが、休みがいくらあっても足りず、懐具合も厳しくなっている今日この頃なのだ。
今回も京都府舞鶴市から出港した。乗船したのは今年になって幾度もお世話になっている滝ヶ浦遊船所属の日本海41で、目指すポイントはいつもの白石グリだ。
●停泊中の日本海41●
当日の天候は曇りベースながら、波高は1mという予報だったので、まずまずのコンディションだった。
約1時間10分の航海で、丹後半島経ヶ岬沖の周辺海域に到達する。ここ白石グリでは入漁規制があって、エサ釣り船は午前11時にならないと、投錨することができない。したがって手前で各船が横一線に待機し、「用意ドン!」となる。白石グリは天然魚礁のため、地形が複雑かつ範囲が広く、その時期その時期で魚の付き場が変わるのは当然なので、各船が狙った位置を目指す。しかし、各船長の狙いが被ることもあるので、速度を上げての競争になる。
●各船が加速してポイントを目指す●
そして、船長が着けた位置は75mラインからの駆け上がり部分だった。
■同船者■
白石グリでの釣果は一時の”底状態”からは脱した、いわゆる「底を打った状態」へと移行しており、数を増した各船が競ってここを目指していることからもそれが裏付けられている。それ故ボクの期待も十分であった。
今回も乗合船だったので、同船者は二人組と+一人とボクの合計4人だった。釣り座はくじ引きとなったが、近年まれに見るラッキーさで、何とボクが一番クジを引き当ててしまった。そしてボクはトモ(船尾)の右舷側を選んで、そこから実釣がスタートした。
二番、三番クジは二人組だったので、彼らに左右から挟まれる状態だったのだが、その二人は完全フカセ釣りの経験が浅いようであった。それはそれで仕方がないことなのだが、問題なのはエサの量だ。ボクが一日普通にマキエサを撒く場合は、3kgのオキアミを5枚程度という計算になり、乗合料金に含まれるオキアミ2枚とは別にプラス3枚を用意する。しかし、この二人は追加をしていない様子だった。
完全フカセ釣りでは船上からオキアミのマキエサを撒き、その流れてゆく潮筋にハリの着いたエサを流し込んでゆく。当然磯のグレ釣りのようにマキエサの中に刺しエサが漂うのが理想だが、比重の軽いオキアミ単体のマキエサとは違って、ハリに刺したオキアミは重い上に仕掛が付いていて更には当然ながら道糸も繋がってその抵抗の影響を受けている。それを、時には300m近くも流すことがあるため、実のところ、船上から撒いたマキエサと一致させて流すことは難しい。したがってマキエサがスロープ状に流れる筋の中に刺しエサが流れてくることくらいしか釣り人は演出できないのだ。そのためには「マキエサを一定間隔で間断なく撒き続けること」で、スロープに仕掛が入る確率を上げることが必要になってくる。上述の”5枚”はここから導かれた量なのだ。
●マキエサは充分に用意しよう●
経験が少ないと、流れに乗せて送り込む道糸の出具合や、いつ来るか判らないアタリを表現するスプールの回転にばかり目が行ってマキエサを撒く方がおろそかになる。それが気がかりだったのだが、案の定、左右の二人は仕掛を入れる際に一掴みを一度しか撒いていないようだった。
これでは効果がないので、仕方なく声を掛けるのだが、それを言った時は慌てて少し撒くものの、すぐに注意が逸れてしまうようだった。まさか、人のマキエサに手を突っ込んで撒くわけにも行かないので、仕方なく、ボクは見て見ぬふりをしながら自分のペース撒き続けていた。
イヤな予感がずっとしていたのだが、それはボクの場合はそれがよく当たる。この時もファーストヒットは左側の釣り人で、50cm弱のマダイを釣って上機嫌になっている。続いて右側の人にアタリがあって、同寸のマダイと、ボクが待ち焦がれているメダイを続けてゲットした。
ヒットしているのは100m以上先なので、一掴みのオキアミが効いているようにも思えず、魚達はボクが撒き続けたエサに反応しているハズなのだが、そのことを左右の二人は気付いていないようだった。
それでもアタリがボクにもあれば気にならないが、割に合わない作業を2時間ほど続けている内に嫌気が差して来る。これ以上言ってもギスギスするだけなので、多少意地悪だが、二人が流すタイミングからズラして仕掛を投入し、その刺しエサの周囲のみに絞ってマキエサを撒くようにした。
「これで解ってもらえればいいのだが…。」との思いで、そのパターンで続けていたが、その甲斐もなく、また、そんな撒き方では釣れてくる魚もなかった。
■風向きが変わる■
そうこうしているうちに陽射しが途絶え、やや強い風が北から吹くようになった。こうなると、船の角度が変わってオマツリが多発するようになった。ここでボクの左にいた人が移動し、ボクの釣り座が一番左端になった。
「これ幸い」と、人より長い竿を使っていたことも利用して、他の人よりも、より左側流すように位置取りし、いつものペース=間断なく撒き続けるペースに戻して流し始めた。
これが当たったのか、しばらく経つと、ついにアタリを捉えることに成功した。
●嬉しい、この日の初アタリ●
ただし、風向きが変わってからは二枚潮気味に変わってしまい、アタリとして伝わるスプールの逆転は明確ではなかった。しかも魚引きは大したことはなく、既に正体はやり取りの途中で気付いていたが…。
●30cmチョイのイサギ●
予想通り、まず最初はイサギをゲットする。
続いてまたもや明確でないアタリを捉えてイサギばかりを2匹追加する。
そしてその次もアタリは弱いが、少しは抵抗感のある引きが竿を絞る。
●少しだけマシな引き●
そして小型のマダイをゲットする。
●40cmほどのマダイ●
■一番の引き■
これまでの流れがウソのような展開となり、ポツポツながらアタリが続くようになってきた。しかし、ずっとアタリは不明瞭な状態が続いていた。
近頃の電動リールの、”フカセ対応”を謳っているモデルは、リールが高速で逆転=アタリがあればアラームが鳴るように設定できるのだが、ここまでの魚達の活性とサイズではアラームが鳴るまでには至らず、目で変化を確認せざるを得なかった。しかし、次のアタリは、この日最初で最後のアラームを鳴らすアタリだった。
そしてアワセを入れると大きく竿を絞り込んでいった。
●この引きは…●
重量感を伴ってドラッグが滑り、シツコク繰り返す引きは、待望のメダイに違いない。メダイの口は柔らかめであり、時折口切れでハリが外れてしまうことがある。ましてや当日の状況下では、これを逃すと後はなさそうなので慎重にやりとりを繰り返す。
そうやって何とか無事に取り込みに成功したのは、紛れもないメダイであった。
●80cm弱のメダイ●
■その後の展開■
その後は一旦アタリが途絶えたが、北風が強まり船の揺れが大きくなっていた。船酔いや仕掛のロストで周りの釣り人はリタイヤし、気付けばボク一人が竿を出していた。
こうなったら”独壇場”とばかりにマキエサを間断なく入れ、40cmほどのマダイを2匹追加することができた。
そして程なく北風は更に強まり、「これ以上は無理」との船長判断から、予定の時間より1時間早く撤収の時間がやってきた。この時、例の二人のエサ箱に目をやると、割り当てられたオキアミの内、1枚すら消費することもなく、まだ4分の1ほどが残されていた…。(因みに舳先方向にいたもう一人の釣り人は”自身がコンスタントに打ち続けたマキエサ”によって、マダイの釣果をそこそこ得ていた。)
当時前半はストレスがたまって「胃の痛くなるような」展開だったが、気付けばいつものペースを取り戻し、納得できる最低限の釣果を得ていた。そろそろ渓流釣りに取り組む時期にも差し掛かっていることもあり、今回を爆釣で締めくくって、すんなりと移行したかったのだが、この釣果では「…」だ。
実のところ、春シーズンの沖釣りには、あと1回行くかどうか迷っているが、休みがいくらあっても足りず、懐具合も厳しくなっている今日この頃なのだ。