中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

割り箸と郵政民営化

2009-10-10 12:32:49 | その他
 アチコチ色んな所へ釣りに行っていると、磯釣りの場合は現地に向かう峠道で、渓流釣りの場合は降り立ったその近辺で「こんなところにも頑張って暮らしている人が居るんだ。」と感心するくらい山深い「僻地」にある山村を見かけることがよくある。

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posted by (C)青空白帆

 そういう場所で暮らす人々の多くは「林業」や「農業」に従事して生計を立てているのだと思うが、当然、高齢者の割合が多く、タマに見かける人影はモンペ姿のオバァちゃんだったり、今は痩せているが、昔は筋骨隆々だったように思えるオジィさんだったりすることが多い。コレがいわゆる過疎の村というヤツだろう。

 そんな村々に今、郵政民営化によって起こった弊害が押し寄せているという。先日まで読んでいた「平成経済20年史(紺谷典子著)」

                  

の後半に、その件について書かれている部分がある。何しろ民営化スタートの段階で閉鎖された郵便局の数は148、一時閉鎖になっている局の数は417にものぼっているということだ。その他集配を止めた局が1048もあるというから、その影響はかなり大きい。そしてその波は今でも大きくなり続け、過疎地を中心に襲っているという。
 以前なら足の不自由なお年寄り宅や、バスの便すら無い村はずれの老人宅までは郵便局員が集配のついでに貯金や保険の業務を行っていたところが結構あったのだが、分社化された結果、たとえ局が残っていたり、郵便物の集配を続けているところがあったとしても郵便以外は「他社の業務」となり、それが出来なくなっているそうだ。だから、現実に、老人が山道を1時間近くかけてバス停までたどり着き、そこから更にバスに揺られて1時間かけてお金をおろしに行くということも起こっているという。そして更にどこかへ振込もうと思えば、手数料の値上げが待っているのだ。
 こんなことが起こるということを、あの郵政選挙の際に訴えている人も居たのに耳を傾ける人は少なかったようだ。田舎の事情がわからない、あるいは理解する気すらない、都市部に暮らす多くの人々が、解りやすいキャッチフレーズと何だかよく解らない「改革」という言葉に踊って大ナタを振るうことを許した結果が、今日の過疎の村の郵便局事情を招いたのだとしたら、その罪は小さくはないと思う。
 モチロン旧来からの郵便行政にも問題があって、そのままではダメだったことは理解できるが、前述した紺谷さんの著書でも触れているが「バッサリ切るのではなく、悪いところは改善し、公共サービスという部分は不採算でも生かす」という方法がどうしてとれなかったのかということを考えると、今更ながら悔やまれる。

 方や、先日関西ローカルのニュース番組では先日、割り箸について採り上げていた。
 内容はエコ!エコ!と叫ばれ、「マイ箸化」が進んで割り箸の需要が減っているが、実はこの割り箸、外国産の一部は木をモロに伐採して作られているので、使い捨てをする度に木の一部を切り倒すような行為になるが、国産の割り箸は間伐材を使っているので逆にエコだというものだった。
 もし間伐という名の「メインの木を育てるために不要な木を間引く」という管理を怠ると森は荒れ、痩せてしまうので、それはどうしても必要な行為なのだ。だから逆に間伐によって作られる国産の割り箸は廃物利用となり、エコに繋がるというワケだ。

 しかしながら、今増えているという「マイ箸」とか言いながら自前の箸を推奨し、割り箸を悪者視している環境活動家?の中には、キッチリと何が良くて何が悪いかを説明している人が少なく、十把一絡げの人がいるようだ。そして、それを受け止める側も当然、割り箸=悪と思う人が多いらしく、それが証拠に今、国産の割り箸の売上までが3割減に落ち込んでいるそうだ。勿論コレは「風評被害」というヤツだ。
 この間伐材を使った割り箸は実のところ山間部に暮らす人達の貴重な現金収入の一部であり、もしそれを奪ってしまうと更に生活が苦しくなるのは目に見えている。番組では「廃業」をほのめかす人達も居たくらいで事態は深刻だ。もし話通りに廃業すると間引きされずに放置された山は荒れ始めるだろう。そうなれば、熊やイノシシなどの野生動物が山から降りてくる確率が上がり、生態系が崩れてくるかも知れないし、洪水が増えるかも知れない。林業が荒れるとそれと兼業している農家、あるいはその周囲や山里にある農家が荒れる。そしてドンドン連鎖してゆく。

 郵政民営化の弊害と割り箸。この二つの行き着く先は田舎(地方、山村その他諸々)の荒廃だ。こんなことを放置したままで、近頃都会の人達?が最近声高に叫ぶ「地産地消」が成立し、「食糧自給率の更なる低下」を果たして防ぐことは可能なのだろうか?。
 社会の格差は広がり、特に地方の苦しみは大きいと言われている。単純なキャッチフレーズに踊って、その背景に起こることを真剣に考えようとしないのなら、その行く末には「ハーメルンの笛(吹き男)」http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%A1%E3%83%AB%E3%83%B3%E3%81%AE%E7%AC%9B%E5%90%B9%E3%81%8D%E7%94%B7
に連れて行かれた子供達のように、二度と元には戻れない恐怖が待っているのかも知れない。


 追伸

 日本郵政の西川社長が辞任し、後任の社長が大蔵官僚出身者に決まった。新聞などでは「逆戻り」を示唆しているようだが、果たしてそうなるのだろうか?。効率化しなくてはならない部分があるだろうから、郵政民営化自体には決して反対の立場ではないのだが「守るべき部分は守る」という部分で、どこかに良い落としどころはないものだろうか?。とにかく今後は民主党の手腕に期待するしかない。

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