年寄りの漬物歴史散歩

 東京つけもの史 政治経済に翻弄される
漬物という食品につながるエピソ-ド

築地本 3 魚河岸のピンチ

2021年07月04日 | 築地市場にて


ザ・築地  -魚食文化の大ピンチを救え! ルポ-
 川本 大吾著[東京] 時事通信出版局 2010年

著者は時事通信の記者の築地担当で日々の取引デ―タを送信する仕事か始まった。水産部のアナログを嘆いているが心配はしている。世間とずれた生活で外部のライタ―の気に入る情報流しを世界の水産流通の地位の低下を警告しているがバブル崩壊で飲食店が高く売る工夫が消え、逆にイオンなどの大型量販店が産地直送で市場経由が減っていても何も対策のない築地に活を入れようとしている。
 築地が消えそうということを、農林水産省と東京都が移転計画を築地移転反対派がさわいでいる水産物の消費拡大にはつながっていないようで、いわばデパ-トの閉店セ-ルで客を集めているようだ。豊洲移転直前は築地市場内の観光客の飲食店バブルで混んでいた。
 2008年頃、築地市場のマグロのセリ場で観光客が素手でセリ前のマグロを触って、騒ぎとなった。当時は秘密裏に一般客が本場内の仲卸で買い物をしていた。減りすぎた魚屋のため廃棄するより、まとめ買いの素人に販売していた。今のコストコで購入する客が築地市場内の仲卸価格で購入していた。魚をさばける技術があれば激安ともいえる。今は減ってしまった魚屋は飲食店で魚も販売しているところが生き残っている。海には単一の魚が生きているのでなく多種多様な魚が生きていて,また大小があるのに量販店の規格の魚から外れたものは激安になるという。そのため産地では漁師の賄いで消費するしかないようだ。これは青果の取れすぎて、市場の価格暴落の補填の仕組みが水産にはないようだ。
 著者は円高とバブル崩壊で築地が低迷している。悪循環の様子が書かれている。
 また漁師の収入の魅力がなく新規の参入者も少ないという。そこで全国的に休漁を行ったが宣伝がうまくいって相場の変動が少なかったという。今は養殖や冷凍もあってかっての鮮魚の市場というのが薄れた。
 2021年の豊洲市場は人手不足ということから、ほぼ週2回の休日となっている。市場の休日は全国の農林水産関係の休日と連動していて、東京の休市が決まらないと他の休日が決まらないようだ。
 築地の時、水産部と青果部の休市が違っていた時があった。青果が休んで、水産が開市のという日は暇だった。その理由は水産部の日給月給の人のクレ-ムという。暇でもそのような仕事がないのに給与を支払うのが大手量販店の攻勢に市場が負けたのだろうか。それとも年中無休のス-パ-が休みの多い市場を避けたのだろうか。
 単価を上昇を見込めない市場は生産者にしわ寄せが行く。規格を厳密にし、量販店が楽になるようにしている。昔は規格外品を漬物業者に売りつけていた時代もあった。
 昭和の終わり頃、築地市場へ小学生の見学のバスが多数来ていた。いつの間に築地市場の設備の危険性なのだろうか、消えてしまった。最後の築地は大人の社会科見学の場だった。

 
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築地本1-3 築地市場年代史

2021年07月04日 | 築地市場にて
築地市場  -クロニクル1603-2016 
福地 享子著  築地魚市場銀鱗会著 東京 朝日新聞出版
第3章 関東大震災復興事業としての築地市場の鉄骨建築
 貨物列車を市場内に引き込むため、弓なりの曲がった建物は中に入った人か昭和の初めのレトロ感を味わった。特に2階は東京都の事務所や郵便局・銀行・理髪店などがあって、さらに築地市場を食の衛生を監督するところもあった。白長くつと白衣、白い帽子は彼女(まれに男性)らのユニフォ―ムだった。

 この弓なりの構造物は最初から物議があったことをこの本で知った。店舗の広さがまちまちで水産仲卸の店舗が広さと位置の公平感がなく、4年に一度の水産部仲卸の店舗移動で不満を解消した。これで4年間繁盛するか否かの分かれ目で、今はプロ野球のドラフト会議の様子と似ている。最も一時抽選後に相対で交換もあったようだ。築地の最後の方は不景気ということで多大な移転費用の事を考え、4年ごとの店舗移動が消えた。2009年(平成16年)に最後の店舗移動の状況は北田水産のHP詳しく記載されている。豊洲移転の方向見えてきて、もう9年も店舗移動していないので、豊洲まで待つのは不公平という声から多大な費用をかけ5月の連休の3日間で移動した。当日は都内の大工、電気工事・電話工事業者900の仲卸、1600コマの移動を行った。5月2日はその日の販売を終わらすとすぐに店舗の解体が始まる。ダンプカーが都内から集まり残材を積み込み、夕方には仲卸店舗の撤去が終わる。3日は店舗の造作でこれも1日で大方終わる。4日は細部の工事と電話、電気工事となり5日には通常営業となるが得意先が2日の位置と異なるので、配置図を見ながら歩く買い出し人で市場は混雑する。また買い回りの順序が変わり繁盛していたところも落ちぶれることもある。このことが経験則で築地市場再建工事の工程計画で難儀し、東京都が400億円捨てた。北田水産のHPには詳しく書かれている。最後の店舗移動時の水産仲卸が豊洲では500を割っている。食の経営情報誌によると適正規模は300という。まだまだ減りそうだ。この時にすんなりと築地をあきらめ豊洲へ水産仲卸の合意ができていたら、2020年東京オリンピック招致はなかったと思われる。築地の移転は魔物や地霊に阻止される運命がある気がする。コロナもその一例でまだまだ紆余曲折がありそうだ。

 築地市場の豊洲移転反対派の大部分は小規模な仲卸で売り上げの多い仲卸は場外のところで量販店等の対応していて、移転しようがしまいがどちらに転んでも関係ないと、相手に合わせて、移転の是非を答えていたようだ。このことは豊洲へ移転後、築地市場を担当とする営業に来ていた生命保険の女性から聞いた。玩具のオセロゲームのようなもので、自己の都合に合わせて、アンケ-トに移転の是非を回答していたようで、豊洲へ移転した後は誰も地下の汚染は語らない。今はコロナ感染が噂の中心となり、豊洲市場の会議室で8000人の集団接種が始まる。大田は市場内の医者でワクチンを接種していて、大田区民でない人はどうなるのだろうか知らない。
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