サカナとヤクザ -暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う- 鈴木 智彦著
築地市場も有楽町から朝日新聞が1980年(昭和55年)4月23日 築地5丁目の市場の正門前に引っ越してきたから雰囲気が変わる。それまでのブラックで世間と別世界と感じる話を聞いいた。暇なときは現れないが、連休前後とか、年末の業務多忙なときは本性が出てくる。築地が繁盛していた時の話と人手不足で人材を選べないところで、他のところで失敗しても築地では受け入れてくれる。学校のブラック規則などは築地にはない。注意されるのは一度だけ。特に衛生面で茶髪金髪赤髪は普通の世界で体力があって、欠勤しなければ年齢制限がない。80でも十分働いている人を見かけた。築地で一番嫌われるのは無断欠勤で酒酔い勤務は黙認の世界。
市場というところは表向き明朗公平という印象があるが、時間が短い・現金商売など規格化されていない商材は個人の目利きの職人の世界でもある。そこには常時不正を行う誘惑がある。在庫をしっかり記帳していても、破損、商材の賞味期限の日切れ等で廃棄するのも多い。市場は昼に終わる。すると昼から酒を飲める人は近所に住まいの人で事故さえ起こさないと見つからない。それで娯楽がギャンブルしかない。店の金を一時的流用として、ノミ行為の人に依頼する。大方損をして、店の商品を埋め合せる。従って親族でない人は信用が置けない。すると親族の羽振りの良さに比較し、バイトは賃金の安さからお客からの金を懐に入れることをするようになる。
農産物でも水産物でも他人の商品となる物を無断で収穫し、東京等の市場に流す人がいる。多くは東京行きでこの本は事情が書かれている。築地のDXの遅れが産地の盗難品の販売先にもなっている盗難品の激安価格の下に生産者が泣いている。盗まれた農水産商品が値決めの参考価格となり生産意欲を減らす。
市場で激安商材をあさるのは犯罪者の助けかもしれない。発展途上国で児童労働などで激安商品を日本に持ってきて販売することは、安さの正義より、搾取の共同犯罪者でもある。ウィグルを気にするのは世界は新しい段階に来た気がする。
根拠のない激安は犯罪があるという疑念を持つ時代になった。安さを追求していた日本はもしかすると犯罪者的生産物を売っていたかもしれない。途上国労働者の搾取、再生産不能な無差別、無区分の乱暴な漁獲もあり、日本の100円すし屋を繁盛させる。心が痛まないのだろうか。金子みすゞが生きていたら、どのような詩を書くのだろうか。