市街地土壌汚染問題の政治経済学 佐藤 克春著
第7章 築地市場移転予定地の東京都豊洲における土壌汚染
求められるリスクコミュニケ-ション
図書館で築地市場と検索したところ、この本が出てきた。豊洲の地下汚染問題で、土壌汚染専門家が考えるリスクコミュニケ-ションの考え方を打ち出している。著者の言うには東京都が移転のための情報隠し、データ取りの不自然さは全て築地の人(食品知識はプロだが)たちの土壌汚染という基礎知識がないため、不適切な土壌汚染調査という。そこから始まるリスクコミュニケ-ションの解釈で豊洲の地下空洞問題が大きくなり、再工事のあと、豊洲移転がオリンピック開催の圧力によって、小池知事が決断した。小池知事も石原元知事によって騙された。豊洲移転の強引さに、疑念を持つ人の頑張りで、築地以外の人の広範囲の知識を持つ別の世界の人が解明した。築地の利権と週刊誌が書いていたが、確かに公平に取引すると、法律の建前があるが人情もある。天候の加減で不足した商材をどこに回すかは営業の腕前で、過去の困ったときに助けてもらったところに他言無用とそっと回すとかの技もある。要は公平感を保ちつつ、義理人情を利用する。当然商材が余ったときに、前回の不足していた時のことを口に出さずでも目で言う。これはセリでないので起こる。夜中の処理は転送に近く、短時間の築地滞在で汚染の入る隙間がない。今は卸売市場法が実情に合わせて改正されて、話すことも出来るが半年前は法令違反で始末書の世界である。その理由は他の市場から天下意識のある築地は横暴という声が出る。豊洲市場の石原計画では首都圏3300万人の中核市場を作ると書いてあった。隣接している他県の市場はそれでなくとも不振で、築地や大田に商売をとられるという意識があった。
下記の2冊は同じく図書館検索で出てきた築地市場移転の時の豊洲地下汚染の情報隠しを詳細に検証している。この2冊だけを読んでいると、今でも地下汚染が在って豊洲移転の疑問視した移転反対派の人が静かなのが解からない。
1 築地移転の闇をひらく 中澤 誠著 水谷 和子著 宇都宮 健児著
2 検証・築地移転 -汚染地でいいのか 日本の食文化を守れ!-築地移転を検証する会編
豊洲へ移転後、東京都は中央区住民に対して、築地市場で使用していたアスベスト除去工事の説明会を行った。説明会場は満員だった。広さと量は過去最大級といわれ、築地市場付近の住民の心配を増した。もし築地で再建工事があったら、まだアスベストは撤去されずにいたと思うと豊洲の地下から微量の汚染が漏れてがんになる確率は築地市場の中皮腫ガンの確率の方が高いと思われる。豊洲の地下汚染の漏れの懸念は震災があったら床の隙間から漏れるという前提であって、築地市場のアスベストは覆われいない状態のところもあった。
当時築地市場のむき出しのアスベストから中皮腫という特殊な肺がんが多発したら築地市場で働く人は消える。アスベストの潜伏期間は長いという。青果部は一番危険なレベル1で水産部は鉄骨の部分がレベル3で面積が一番広い。
築地市場閉場後すぐに解体工事を始め2020年2月末までに、築地市場の計155棟すべてを解体した。問題はその約3分の1の55棟で石綿・アスベストが使われていた。除去が必要な建物の壁や柱などの面積は計8万3500平方メートルを超える。そのうち飛散しやすく危険性が高い「レベル1・主に青果部」や「レベル2」が、約6万平方メートル(東京ドーム1.3個分)もある。水産部の仲卸の鉄骨部分はレベル3だった。青果はレベル1で移転を焦り、水産仲卸はレベル3でのんびりしていたのだろうか。地震でアスベストが剥がれ飛散することは地下汚染より怖い。地下汚染は長時間滞在しないといけないがアスベストは運の世界で肺に入ったら、50年間中皮腫ガンの心配がある。
アスベストの悲惨とネズミの問題で築地市場周辺の人は東京都が隠していた(あまり話したくない事実)で築地市場を是が非でも移転させたいのはアスベストの使用面積の巨大さを 隠したかったと見える。豊洲の汚染の危険性(震災後)と築地のアスベストの危険性を考えると築地の方が怖い。築地市場は毎日5万人が出入りし、さらに全国から配送等で来る人もアスベスト汚染地域を知らないで通る。
最近の週刊誌の見出しでは築地の利権とは商材でなく、旧築地市場の土地再開発だと思うが、東京都幹部の自由にならない選挙結果となった。もしかすると、再開発は消え跡地は公園になることもある。大田市場の隣に移転予定だった水産市場が遅れ野鳥公園になった例もあるし、旧築地市場の地下には江戸時代の松平定信の隠居後の大名庭園も眠っている。大江戸線築地市場駅出口に説明板がある。浴恩園という。