マグロ大王木村清-ダメだと思った時が夜明け前-木村 清著
この本の出版は2016年春でまだ小池知事による豊洲移転ドタキャン騒動の前で、木村社長が 2015年4月29日豊洲市場の先客万来施設の涙ながらの断念の後だった。2021年秋には断念の原因となったお台場の温泉施設が契約切れということで、お台場から温泉施設が消える。豊洲の観光施設は木村社長の後を万葉の湯が候補になったがそこでも揉めた。東京都がお台場の温泉施設の契約延長しなかったのは豊洲観光施設へ集客懸念の密約の配慮だろう。今から思うと木村社長は運のよい判断だった。大和ハウスと取り組んだ先客万来施設は青果部の抵抗で大和ハウスの方が先に撤退した。その理由の噂では、土日の予備の観光客用駐車場として午後から使用車が減る青果部の買い出し人駐車場を予定していたようだ。他の暇な市場なら多分認められるが、青果連合は断ったようだ。コバンザメ商法は豊洲市場の自治意識に反する。これは明石市の花火事故の後遺症で、市場祭りで多人数の集まることの責任問題から来ている。築地以外の市場は毎年市場祭りがあって、それなりの集客力がある。しかし築地は別格で15万人ほど集まったときもあり、少ないときも10万人集まる。デズニ―ランドよりはるかに狭い所に集まる。明石の判決の後、築地市場祭りは運営者責任問題で開催を避けている。もし開催したら20万人が来るだろう。 さてマグロ大王の本だが確認はしていないがかなり出版社の意向に合わせて書かれている気がする。しっかりと読めば築地市場流通の欠点があって、さらに築地周辺の飲食店が外部から見た築地場外市場の有用価値を知らないで、朝早くから営業しているので夕方には店を閉めて人気のない街になってもなんとも思っていなかった。そこに築地本願寺の隣の場所で24時間営業の弁当屋をやっていて、需要があるとみていたようだ。さらに築地場外市場の中心部に空いた店舗に店を出す。外れならいくらでも貸し店舗あるが中心部の空き店舗は当時でも中々でなかった。 木村社長の喜代村の経営記録で漬物がある。詳しく知っていた人から聞いたが当時として目立つ人だった様だ。場外市場の中心地から発展し、社用の顧客の多い場外すし屋は衰退してゆき、今はかろうじて生き残っている。 彼の経歴から、千葉県野田市関宿生まれで、自衛隊に行き、ケガをして、築地に縁のある会社に勤め、隙間を狙って調査し、繁盛したが、結構失敗し、その経験の上に今がある。今はコロナでピンチのようだが決算を見ると、利益が減っているが赤字ではない。すし屋で元気のない声を聴くと寿司がおいしくない。 でもこの本を読んで面白くない。安く水産物を明朗会計で提供するのは良いが魚の日本の生産者は希望をもって漁に行っているのだろうか。買い叩いているように思える。多くの地魚が流通に乗らず捨てられている。サイズの規格外もある。漁師が生活できてすし屋がある。 2016年は築地関連の本が多数出版する計画があった。 |