透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

魔女の一撃

2009-02-07 | A あれこれ

 言葉、というか表現について。

「後期高齢者医療制度」。後期高齢者などというストレートな表現、評判が良くなかったですね。今は「長寿医療制度」、というんだそうですが。




『メス化する自然 環境ホルモン汚染の恐怖』集英社 という本が10年ほど前に出版されました。帯には評論家 立花隆さんの**本書を読めば、この問題がいまや環境問題最大の問題となっており、すでに各国で次々と対策が講じられはじめているということがわかり、日本はいったいどうなっているのだと叫びたくなるだろう。**という書評からの引用文が載っています。

「環境ホルモン」汚染と聞いても深刻な事態だとは認識できません。「内分泌攪乱化学物質」というのが正式な名称だそうですが、これに汚染されていると知ると心配だな~、という気持ちになります。

「地球温暖化」も同様で、地球環境が今や深刻な事態だということが伝わりにくいように思います。もっとも、これに替わる表現も直ちには浮かびませんが。

先の大戦で日本は負けたのに「敗戦記念日」としないで「終戦記念日」としたのは、厳しい現実をまともに受け止めたくない、という国民の意識の表れだったのかもしれません。

「寝たきり老人」の介護などという表現で、老人介護の現実を突きつけられるのもつらいです。福祉先進国で知られる北欧の国、スウェーデンではどうやらこの「寝たきり」を「水平」と表現するらしいです。そう、「寝たきりの人」ではなくて「水平の人」(随分前の記憶ですから定かではないです、と断っておきます)。

実はこの2日間、わたしはぎっくり腰で「水平の人」をしていました。検索して知りましたが、ヨーロッパではこの「ぎっくり腰」を「魔女の一撃」って言うんですね。

ものは言いよう、表現によって印象が随分かわりますね。

この2日間、わたしは魔女の一撃で水平の人をしていました。直立歩行まであと1日、かな・・・。