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透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

信州岩波講座 高村 薫 講演会

2013-05-26 | C あれこれ学ぶ



 まつもと市民・芸術館で高村 薫の講演「私たちはどういう時代に生きているのだろうか」を聴いた。作家の講演を聴くのは大江健三郎以来。今、社会問題や政治問題に積極的に発言している作家を私はこの二人くらいしか知らない。聴講者約1000人。

繁栄の終わりの時代をどう生きるかという問い。対する答えがきちんと時代を見つめ、未来への意思を固めてそれを言葉にすること。多数の意思が未来の社会をつくる。

以下にメモを基にした再構成(私の理解不足で講演の内容と異なっているところがあるかもしれない。文責はもちろん筆者にある。といっても匿名で書いているのだが・・・)を載せる。

繁栄の終わりを迎える時代、何かがおかしいと感じる。政治も経済も社会も。山一証券の破たん、バブル経済、リーマンショック、東日本大震災、福島原発の事故・・・。よりどころだった優れた科学技術や経済が崩れた。80年代にはまだ国民が自分の未来を見ていた。

政治家の思想も哲学もない発言はあまりにも軽く、薄い。人口が減りつつ得る現在、右肩上がりの経済、産業構造は無理だ。年金制度は破たんするかもしれない。

だが、文化生活をするためのインフラ、教育、医療などは維持するために低成長社会を築く必要がある。のほほんとしてはいられない状況だ。気合いを入れて生きなくてはならない。「釣りバカ日誌」の鈴木建設のハマちゃんも営業三課もいらない。

今は未知の視点に立っている。未来が見えない。だがまだ絶望的な状況ではない。現代の状況を見つめ直し、未来社会をどうしたいのか意思を固めなくてはならない。そして言葉にしなくてはならない。未来への意思を言葉にすることで多数の意思が形成されていく。それが社会を変え、未来の社会をつくる。


 

高村 薫の初期の作品は好んで読んだが、作風を変えた『晴子情歌』以降の作品は未読。『新リア王』か最新刊の『冷血』を読むか・・・。