春のフォトアルバム 松本市内から望む常念岳 (左側の稜線の端部に槍ヶ岳の先端が見えている)
■ 『見えがくれする都市』 槇 文彦他/鹿島出版会SD選書に収録されている論考「微地形と場所性」で若月幸敏氏は**日本には古くから周囲の山を生けどって借景とする造園手法があった。この場合遠景の山は単なる背景ではなく、より積極的に庭園内部の構成と関係付けられている。**(118頁)と日本の伝統的な造園手法を紹介し、この手法が江戸市街地の町割りにも活かされたのではないかと述べている。
通りの軸線方向に富士山を仰ぐような計画が江戸のまちづくりにみられる。
私が昔住んでいた東京都国立市には富士見通りと名づけられた通りがあるが、アイストップ(eye-stop)として通りの正面に富士山があった。計画的につくられた町にこの手法が使われたのだろう。
同様のことが地方都市でも行われていたのではないか。「常念通り」の正面に座る常念岳を見るとこの思いを強くする。だが、そのような計画性は認められないという調査結果(どのような分析手法でなされたのか分からないが)を以前新聞で読んだ。
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北アルプスの残雪と地肌が形づくる雪形の季節になった。松本市内からは見ることができないが、常念岳に出現する常念坊という雪形はよく知られている。他にもいくつもの雪形が北アルプスのあちこちに出現する。
この地方の人々は北アルプスの秀峰を朝晩仰ぎ見て暮らしている。恵まれた環境だと思う・・・。