透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「オリエント急行殺人事件」

2017-11-21 | E 週末には映画を観よう

 アガサ・クリスティ原作の映画「オリエント急行殺人事件」のリメイク版が12月8日に公開される。この映画を観る前に、1974年に制作された同作品を観ておこうと、DVDを借りた。で、昨晩(20日)観た。

舞台の大半が雪崩で線路が埋まっていて立ち往生したオリエント急行の車内、豪華な出演者の演技そのものだけを楽しむという舞台劇のような映画だった。このような動きのない、静的な表現は現在制作される映画では皆無、ではないかと思う。

オリエント急行の一等寝台車に乗り込むために次々登場する個性的な乗客たち。イスタンブールの駅を出発して快走するオリエント急行、流れるワルツ。

ミステリーだから敢えてストーリーは書かない(よく知られたストーリーではあるが)。エンディングではカーテンコールに応えるかのように登場人物たちが次々登場して、事件の首謀者と乾杯していく。

やはり場面展開の激しい映画に慣れてしまっているから、なんとなく物足りなく感じてしまった。映画の観賞眼をもった、映画好きには魅力的な作品だろう。

ひとつ気になったのはポアロの早口で怒鳴りたてるような話し方、特に最後の謎解きの場面ではもっと静かに説いて欲しかった・・・。原作は昔読んでいるが、ポアロの語り口について記述があったかどうか、記憶にない。再読するか、いやもうその気力はないなぁ。