■ スケッチ展のことを書き続けてきたが、本稿を以って一区切りとしたい。
風景スケッチでは3次元の空間(風景)を2次元の平面に落とし込む作業がまずある。この作業が楽しいから、私は写真を見て描くことはしない。写真は既に3次元が2次元に落とし込まれてしまっているから。
今後の課題などと大層なタイトルをつけたが、要は今後どのようなスケッチを描こうか、ということ。このことについて現時点で考えていることをまとめておきたい。
1 火の見櫓のある風景 四季を描く
3年前(2020年)のスケッチ展では全て季節が夏、今回も展示したスケッチは下掲の1枚を除き、やはり全て夏だった。このことについて特に理由はない。ただし冬は寒くてなかなか外に出て描こうという気持ちにはならない。TMさんから3年前のスケッチ展の時も今回も冬景色を描いてくださいと言われている。この冬は描こうと思う(ちょっと弱めの決心)。
雪に覆われた風景では特に屋根は形がはっきりしない。曖昧な形、ふわっと降り積もった雪の輪郭をどう線描するか・・・。着色はどうすればよいか。雪の影を薄い青や紫で着色した水彩画を見ることがあるが、他に表現する方法はないものだろうか。課題(そうやはり課題だ)は多い。
春、花のシーズンを今まで描かなかった理由が分からない。色鮮やかな風景が描けそう。 秋景色も描こう。
長野県朝日村にて 2022.11
2 火の見櫓のある風景 点景として人を描く
スケッチ展の会場に偶々来られた写真家に人物を入れたらどうか、と言われた。確かに人物を描き入れたことはなく、もっぱら静的な風景を描いて来た。人物を描き込むことは、時間軸を追加することだから(この理路は分かりにくいかもしれないが)、確かに魅力的だ。
火の見櫓の横の道を小学生が登校して行く・・・、おばさんふたりが火の見櫓の脇で立ち話をしている・・・。静的なスケッチに時間軸が加わることでそこに物語が生まれる。上掲したスケッチに赤いランドセルを背負って下校していく小学生をふたり描き込んだらどうだろう・・・。静的なスケッチに動きが出る。動的なスケッチ、物語のあるスケッチはなんとも魅力的ではある。だが、いきなり油性ペンで本チャンの線を引くというこだわりを捨てずに描けるだろうか・・・。
描いてみよう(かな)。
スケッチ展関係の最後の記事です。
10月4日から29日までの会期中(休日を除けば20日間)に多くの方々に会場にお越しいただきました。芳名帳には141名ものお名前が記されていました。中には2度、3度とお越しいただいた方も居られます。でも皆さん記入は1回のみでした。また記入されなかった方も居られたようです。延べ人数は優に150名を超えていたものと思われます。私が不在の時にお越しいただいた方も少なくありません。会場でお礼を申し上げることもできず、申し訳ありませんでした。
わざわざ会場にお越しいただいた皆さんに感謝申し上げます。それから都合がつかないからと連絡していただいた皆さん、SNSにコメントしていただいた皆さんにも感謝申し上げます。
専用のギャラリーにも劣らない展示空間でもあるカフェでスケッチ展を開催できたこと、大変うれしく思います。カフェ・BELL WOOD COFFEE LAB(安曇野市豊科 0263-75-3319)のオーナーの鈴木さんにも深く感謝申し上げます。
皆さんありがとうございました。