透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「海辺の光景」安岡章太郎

2016-09-21 | A 読書日記



 『虹の岬』辻井 喬/中公文庫は10年ぶりの再読だったが、『海辺の光景』安岡章太郎/新潮文庫は40年ぶりの再読。ちなみにこの本の定価は200円。

本はいい。手元にありさえすればたとえ何十年ぶりであろうと、手にして読み始めることができるから。「海辺」はうみべではなく、かいへんと読むことは覚えていた。

昨日(20日)この本を書店の新潮文庫のコーナーに見つけることができた。やはり名作は残る。カバーのデザインは変わり、タイトルの「海辺」をかいへんとは読んでもらえないらしく、ルビがふってあった。

今週後半の休日に読もうと思う。

カバー裏面のこの小説の紹介文を載せておく。**海辺の精神病院に信太郎は父とともに入院中の母を見舞う。彼は西日のあたる病室に泊まりこんで、母が死ぬまで九日間看病する・・・。戦後の一家の窮乏した生活を回想風に語り、単調な時の動きの繰返しと、その果てにある母の死を虚無的な心象風景の中に捉えて、戦後最高の文学的達成の一つといわれる表題作。**

実に暗いトーンの小説だったことは今でも覚えている。私は暗くなんとも切ない小説に惹かれる・・・。

「忘却の河」然り。過去ログ


 


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