透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

火の見櫓の形の分類(修正)

2023-01-04 | A 火の見櫓っておもしろい

 火の見櫓の分類について考える。

火の見梯子か火の見櫓か、判断に迷うものがある。「櫓」に必要な条件は柱が3本以上あること。櫓は立体構造であって、柱2本では立体構造を構成し得ないから。だが、柱が3本でも櫓ではないなぁと考えざるを得ないものもある。そう、柱3本は火の見櫓の必要条件ではあるが、十分条件ではない。梯子か櫓か、それが問題。


   
火の見柱梯子掛け(左:松本市梓川)と火の見梯子(右:長野県富士見町境)

火の見櫓の形を網羅的、体系的に分類する。大分類の観点は柱の本数。柱が1本なら火の見柱だが、柱が2本でもすべて火の見梯子とはならないことに注意を要す。2本の柱と横架材(柱を繋ぐ部材)で梯子としての用をなさないフレームを構成し、そこに梯子を掛ける2本柱梯子掛けという形もある。また火の見柱にも梯子を掛けた、火の見柱梯子掛けもある(①左)。

以下柱の本数を観点にした火の見櫓の分類


柱1本

 
火の見柱(長野県高山村)           火の見柱梯子掛け(長野県中野市)


柱2本
    
両基とも全く迷うことなく、火の見梯子として分類することができる

   
2本柱梯子掛け  (左:山梨県甲州市大和町   右:山梨県早川町)

2本の柱と横架材によってフレームを構成して、そこに梯子を掛けている。


柱3本
 
左:山梨県北杜市 右:山梨県北杜市

柱3本だから火の見櫓、だと単純に分類しても論理的整合性は取れると思う。だが、それではどうもしっくりしない。梯子の支柱と後ろの柱が構造上等価な役割を果たしていない。梯子の後ろの柱が無くても構造的には成立する。後ろの柱は梯子が傾かないように支えるための補助、控え柱だ。この形を火の見梯子控え柱付きとして、③の火の見梯子とは区別する。


柱3本
 
左:長野県茅野市 右:長野県塩尻市

分類上、悩ましい形だ。⑤とは違って、梯子と後ろの柱が横架材で繋げられ、更にブレースまで設置されている。櫓の構成上、3本の柱が等価、同じ役目を負っている。だから論理的にも構造的にも火の見櫓だと判断して問題はなく、⑦の火の見櫓と分類上同じだと見做しても良いと思う。だが、区別したい。論理的な整合性が取れないことは承知の上で⑥を3柱火の見梯子としたい。


柱3本
 
左:長野県塩尻市 右:長野県朝日村

これは、火の見櫓。ただし3つの構面の内、1構面が梯子になっていて、3つの構面にブレースが設置されている⑧とは櫓の構造が違う。この形を示す名称・・・。1構面が梯子の火の見櫓ということで1構面梯子火の見櫓

追記:細かく分類する場合、柱3本の櫓で1構面が梯子の場合は1構面梯子3柱櫓としたい。柱4本で2構面が梯子の場合があるなら、2構面梯子4柱櫓。ただし名称は再考の余地あり。


 
左:長野県上田市 右:長野県茅野市

各垂直構面が同じ基本的に構成。これは火の見櫓、全く迷うことはない。名称はコードナンバー的に左が4柱4〇型(長野県の場合、東信地域ではこの型が最も多く、7割近くを占める)、右は4柱44型(南信地域ではこの型が最も多く、全体の7割近くを占める。)


 


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