『いかめしの丸かじり』東海林さだお/文春文庫
■ 東海林さだおさんの「丸かじり」シリーズを全巻通読するほど熱心な読者ではないが、既に何巻か読んだ。
書店でこの文庫を買い求め、一気読みした。観察力に優れた人だと読むたびに思う。料理そのものを鋭く観察し、一般人がおよそ気がつかないこと、いや気にもしないことを指摘したりする。それを読んで、へ~、そんなこと知らなかった、となる。最近では、なるとの周囲のミゾの数が16だということをこのシリーズを読んで知った。
東海林さんは人間観察も鋭い。
**居酒屋に二人で入ってきて、とりあえずビールということになり、ビールが来ると片っぽうが、
「まあまあ、ひとつ」
と言いつついち速くビンを取りあげ、もう片っぽうが、
「いやいや、これは」
とコップを差し出す。**(「まあまあ、ひとつ」52頁)
確かに、よく見かける光景だ(といっても頻繁に居酒屋で飲んでいるわけではないので、一般的なイメージとしての同感というか、同意)。
東海林さんはここで考える、「まあまあ、ひとつ」の「まあまあ」とは何か、「ひとつ」とは何かと。その答えを示した後、「「いやいや、これは」についても考える。
「ビール、つぎます」
「ハイ、受けます」では確かに変だな・・・。
東海林さんならダムカレーについてどんな考察をするだろう、食べている人をどのように見るだろう。読んでいてふと気になった。
「パンの耳の丸かじり」も以前読んだ。