画廊バナナムーン外観 2024.04.27
安曇野市穂高にある画廊バナナムーンで5月5日までの会期で開催されている企画展
西倉るり子 展 ― 螺旋をのぼるように ―
元木音羽 展― みんなが心を許せますように ―
■ 高い天井のギャラリーの白い壁面に作品が何点も展示されていた。
「私ってどんな人?」
絵は自分を理解したいという自己理解欲求を満たす手立てとして有効だ。文は人なりという言葉があるけれど、絵にはそれ以上にストレートにその人の内面が反映されるものだ。ただし上手く描こうなどというような邪念が介在しなければ、という条件がつくけれど。小さい子どもの絵が実にいいのはこのような邪念がなく、描きたいように描いているから。ふたりの絵も同様だと感じた。人の内面、心は鏡には映らないけれど、絵には映る。だから、描き上げた絵を観れば、自分が確認できる、自分が分かる。
「私のことを分かって欲しい」
絵は自分を知って欲しい、分かって欲しいという承認欲求を満たす手立てとしても有効だ。インスタグラムやフェイスブックなどSNSが大流行りなのは、簡単に自分のことを発信でき、自分のことを知って欲しいという欲求を満たすことができるから(関連記事)。人が受信する情報の8割以上が視覚的な情報だという。絵は情報発信して、自分のことを理解してもらうのに有効な手立てでもある。
絵はいいなぁ、と私が思う理由はこの二点。程度の差こそあれ、誰もが持っているであろうこのふたつの欲求を満たすことができるから。
西倉さんは今から30年前、1994年に油絵を習うために絵画教室に通い始めたとのこと。教室で「うまい絵を描こうと思うな、いい絵を描け」と言われたそうだ。この言葉が印象に残った。