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■『詭弁社会 日本を蝕む〝怪物〟の正体』山崎雅弘(祥伝社新書2024年3月10日初版第1刷、5月10日第3刷)を読んだ。
**何がこの国を腐らせた?**とはずいぶん激しい憤りを感じさせる言葉だ。帯に記されたこの言葉の左に小さい文字で**「安全・安心」「お答えを差し控えさせていただく」「丁寧に説明する」「〇〇の意図はなかった」**とある。これらはよく耳にする政治家の言葉。著者の山崎さんはこれらを詭弁だと指摘し、それを検証している。それで読んでみようと思った。
「誤解を与えたのならお詫びする」などという言葉を聞くたびに、なんだか変だなぁと違和感を感じていた。自分の意図が相手に伝わらなかった理由の半分は意図を伝えることに失敗した自分にあるが、残りの半分は意図をちゃんと理解しなかった相手にあると、言いたいのだと山崎さんは指摘する。そして、このことを**本質的な反省とはほど遠い、問題の責任を受け手側にも転嫁する姿勢です。**と断じている。
なんだか変だなぁと感じていた例示のような言葉に関する解説を読んでいて、なるほど、そういうことなのかと納得することしばしばだった。
実際にこのような詭弁に対し、それに気がついて指摘、批判できるかどうか・・・。この本を読んだからといって、直ちにそのようなことができるとは思えないが、関心を深めることにはなった。
山崎さんが異様だと感じているのは、政治家の詭弁に対する政治記者たちの無抵抗さだという。**国民の「知る権利」を代行するという責任感を胸に抱きながら、相手が政府トップや大臣であっても、臆せずに本質的な質問を繰り出します。**(190頁)ということがない、とこの国の現状を憂えている。