透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「大阪・関西万博「失敗」の本質」を読む

2024-11-07 | A 読書日記


ガラスの高層ビルを背にする東京駅 2024.11.03
ガラスは東京駅の外装の化粧煉瓦とは対照的で、時間の経過とともに表情が味わい深く変化していくということがない。 


 今月(11月)3日、友人と鎌倉に行く約束をして東京駅で待ち合わせしていた。待ち合せ場所は八重洲中央口改札。そのすぐ近くのカフェ(JAPAN RAIL CAFE)で『大阪・関西万博「失敗」の本質』松本 創  編著(ちくま新書2024年)を約束時刻の10分前まで読んでいた。読む時間があろうがなかろうが、本を常にリュックに入れて持ち歩いている。それは旅行の時も変わらない。

大阪・関西万博については、パビリオン建設が遅々として進んでいないことを時々メディアが報じている。それにしてもまだ開催前だというのに、本書ではなぜ「失敗」だと断じているのか。

私は万博には関心がなく(NHKの世論調査によると関心がない人は62%、読売新聞では69%に達したという。本書9頁)、会期中に出かけようとは思っていない。だが、本書が明らかにする万博の失敗の理由については知りたいと思った。

本書は次のように全5章から成り、各章異なる執筆者が担当している。

第1章 維新「政官一体」体制が覆い隠すリスク 万博と政治
第2章 都市の孤独「夢洲」という悪夢の選択 万博と建築
第3章 「電通・吉本」依存が招いた混乱と迷走 万博とメディア
第4章 検証「経済効果3兆円」の実態と問題点 万博と経済
第5章 大阪の「成功体験」と「失敗の記憶」 万博と都市

目次が示すように、政治、経済、メディア、都市、建築というテーマからこの万博を論じ、問題点を指摘している。万博の裏側の政治事情など、全く知らないし、その他のテーマについても知らないことばかりで、なるほど、そういうことなのかと、知ることも多く、勉強になった。

万博は2025年4月13日に開幕する予定だが、間に合うのだろうか。会期中に大きなトラブルは起こらないだろうか・・・。本書を読んで今まで以上に気がかりになった。

これからはメディアが報ずる万博に関する情報に注意するようになると思う。