この本は、長野県在住の郷土史家や学校の先生らが、分担して執筆したものである。
幕末維新期の信州と聞いて何を連想するだろうか。佐久間象山、飯山戦争(戊辰戦争中、唯一信州で行われた戦闘)、赤報隊の処刑、それとも元治元年(1864)の天狗党の通過か。「おわりに」に発行者の方が書いているように、「信州の明治維新は、いくつもの政治的諸事件が起こるが、一つ一つが散発的」という指摘は的を射ている。
その信州において、明治初年、世直し騒動が連発しているのが特徴である。明治元年(1868)に五件、二年に十三件、三年に九件と三年間に二十七件が起きており、その合計数は全国の発生件数の約一割を占めているという。
騒動の原因や経緯は様々であるが、いずれも明治新政府への失望、圧政への反発が背後に存在している。新政府は、ある程度農民の主張に妥協する形で決着しているが、一方で首謀者は捕えられて斬刑に処されている。彼らは騒動を起こした時点で、成功しても死を覚悟していたのである。無名の士であるが、もっと着目されても良いように思う。
幕末維新期の信州と聞いて何を連想するだろうか。佐久間象山、飯山戦争(戊辰戦争中、唯一信州で行われた戦闘)、赤報隊の処刑、それとも元治元年(1864)の天狗党の通過か。「おわりに」に発行者の方が書いているように、「信州の明治維新は、いくつもの政治的諸事件が起こるが、一つ一つが散発的」という指摘は的を射ている。
その信州において、明治初年、世直し騒動が連発しているのが特徴である。明治元年(1868)に五件、二年に十三件、三年に九件と三年間に二十七件が起きており、その合計数は全国の発生件数の約一割を占めているという。
騒動の原因や経緯は様々であるが、いずれも明治新政府への失望、圧政への反発が背後に存在している。新政府は、ある程度農民の主張に妥協する形で決着しているが、一方で首謀者は捕えられて斬刑に処されている。彼らは騒動を起こした時点で、成功しても死を覚悟していたのである。無名の士であるが、もっと着目されても良いように思う。