私は幕末の遣欧米使節団のことが大好きである。初めて目にする西欧の圧倒的近代文明に圧倒されながらも、表情一つ変えず堂々と欧米人と渡り会う使節団の姿に日本人としての誇りを感じる。
この本は、文久二年(1862)にヨーロッパに初めて派遣された使節団の正使竹内保徳を題材に、竹内保徳の子孫に当たる佐藤明子氏が著したものである。予て遣欧使節に興味のあった私は、書店でこの本を見つけて迷わず購入した。
結論からいえば、大いに失望することになった。竹内保徳や遣欧使節についての叙述は数章に過ぎず、あとは武士道とかイギリス流とか、キリスト教などに関する著者の見解が長々と述べられているばかりで、そんなこと知りたいとも思っていない歴史フアンにとっては、退屈極まりない。遣欧使節団に関する記述は、宮永孝氏の論説やオールコックの「大君の都」あるいは萩原延壽氏が訳したアーネスト・サトウの「遠い崖」などに拠っており、目新しいものは無い。
巻末の著者紹介によれば、著者は「出版社勤務を経て情報誌などに執筆」とあるので、相当筆の立つ方なのであろう。返ってそのことが仇となって、歴史ものとしては面白みが削がれてしまった感が強い。
この本は、文久二年(1862)にヨーロッパに初めて派遣された使節団の正使竹内保徳を題材に、竹内保徳の子孫に当たる佐藤明子氏が著したものである。予て遣欧使節に興味のあった私は、書店でこの本を見つけて迷わず購入した。
結論からいえば、大いに失望することになった。竹内保徳や遣欧使節についての叙述は数章に過ぎず、あとは武士道とかイギリス流とか、キリスト教などに関する著者の見解が長々と述べられているばかりで、そんなこと知りたいとも思っていない歴史フアンにとっては、退屈極まりない。遣欧使節団に関する記述は、宮永孝氏の論説やオールコックの「大君の都」あるいは萩原延壽氏が訳したアーネスト・サトウの「遠い崖」などに拠っており、目新しいものは無い。
巻末の著者紹介によれば、著者は「出版社勤務を経て情報誌などに執筆」とあるので、相当筆の立つ方なのであろう。返ってそのことが仇となって、歴史ものとしては面白みが削がれてしまった感が強い。