映画「桜田門外ノ変」を観た。封切り二日目というのに、客席は三分くらいの入りで、しかも老人ばかり。いかに本格的時代劇は人気が無いかを物語っている。
本作品は原作である吉村昭「桜田門外ノ変」に比較的忠実に作られており、つまり史実に即した語り口となっている。私のようなマニアにはそれは好意的に受け止められるだろうが、果たして一般大衆にはどうだろう。
大老襲撃のシーンも、原作と同じく前半に置かれており、物語の後半はひたすら主人公関鉄之助の逃避行である。原作の大老襲撃シーンも大変熱いが、映画も迫力満点である。私はからだが鳴動するくらい感動して、涙を止めることができなかった。
史実に忠実という点では近頃の映像作品の中では珍しく良心的であるが、一点疑問に思ったのは、当時の水戸藩士たちが、小金宿に集結して憤激の余り自刃したり、命を賭して大老襲撃を決行したのは、本当に「日本のため」かという点である。当時の人々にとって「国」といえば、自分が所属している藩のことであり、日本という概念はあまり発達していなかったと言われる。
幕末の水戸の歴史を調べていると、当時の斉昭の存在の大きさを改めて思い知らされる。斉昭の藩主就任には、藩内の激しい政争があった。多くの犠牲の上にようやく誕生した藩主。その主君が辱められたことへの反発が桜田門外の変の遠因だろうと思う。
本作品は原作である吉村昭「桜田門外ノ変」に比較的忠実に作られており、つまり史実に即した語り口となっている。私のようなマニアにはそれは好意的に受け止められるだろうが、果たして一般大衆にはどうだろう。
大老襲撃のシーンも、原作と同じく前半に置かれており、物語の後半はひたすら主人公関鉄之助の逃避行である。原作の大老襲撃シーンも大変熱いが、映画も迫力満点である。私はからだが鳴動するくらい感動して、涙を止めることができなかった。
史実に忠実という点では近頃の映像作品の中では珍しく良心的であるが、一点疑問に思ったのは、当時の水戸藩士たちが、小金宿に集結して憤激の余り自刃したり、命を賭して大老襲撃を決行したのは、本当に「日本のため」かという点である。当時の人々にとって「国」といえば、自分が所属している藩のことであり、日本という概念はあまり発達していなかったと言われる。
幕末の水戸の歴史を調べていると、当時の斉昭の存在の大きさを改めて思い知らされる。斉昭の藩主就任には、藩内の激しい政争があった。多くの犠牲の上にようやく誕生した藩主。その主君が辱められたことへの反発が桜田門外の変の遠因だろうと思う。