『やんちゃジジイ・ゆうちゃん』のイカすセカンドライフ

我儘で『やんちゃ』な爺さんの目標は、楽しく生きる事
周りにも笑顔を振りまいて、楽しくセカンドライフを生きる事。

大先輩に教わった事・・・

2009年10月12日 | Weblog
今日は、世間は休日。
なのに我社は、休みの先取りで出勤。
なんだか、「なんで、オレだけ?」って言う感じでやる気ゼロ。
だけど、電車は空いてる上に、外部から電話は無いから、仕事が捗る。
月末にある幹部合宿(一応、幹部社員なのであります)に発表する
「高電圧技術の技術力強化計画」と、「小型軽量化新型電源の開発日程計画」の
プレゼンテーション用資料を作成するには丁度良かった。

そんな折、昼休み直前に本社から電話が入った。
何でも、かつて居た表面分析装置の開発部署で色々と世話になり、
サッカー部の大先輩でもあるN沢氏が、今日限りで退職ということで
その当時開発した装置の前で、N沢氏を囲んで記念写真を撮ると言う話。
その部署でN沢氏と共に、仕事をしてきた関係者が、急遽集まった。

N沢氏は、応用研究室という、顧客の依頼試料の分析をしながら、
装置の顧客開拓と、顧客のトレーニングを行ったりする、いわば営業の一翼を担う
会社の顔と言える部署で、室長をしながら多くの若手技術者を育ててきた。
僕が仕事で教わった事は
「壊してやると言うつもりで、扱っても壊れない装置でなければ、良い設計とは言えない」
と言うこと。
確かにその通りだと思ったから、それ以来自分がやる実験と言うのは
他の人間から見たら、かなり過激で荒っぽい実験をやるようになっていた。
そのお陰で、少しずつだが壊れることの少ない装置を作れるようになった。

でも、N沢氏に一番教わった事は、仕事よりもサッカーを通じて教わった事の方が多かった。
申し訳ないが、技術的にはN沢氏は決して上手くなかった。
むしろ下手糞と言ったほうが正しいし、N沢氏に対して失礼な言い方ではない気がする。
それくらい、自分のレベルを知り、少しでも上手くなって皆の足を引っ張らないように
努力していた姿の方が、僕には教えられるものが多かった。

殆どの試合で出番が無く、自ら「オレのポジションはセンターベンチ」と言い
外から試合を見ていることが定位置だった。
そんなN沢氏が、僕等の試合を観てベンチの控えにいた若手にこう言ったそうだ。

その試合は、東京リーグの2部にいる頃、今から25年前の事。今でも良く覚えている。
試合は殆ど実力が同じの日本電気(NEC)三田。
一点を先制し、我々が先手を取った試合。ところが、ディフェンスの安易なバックパスが
自陣のゴールに突き刺さってしまうオウンゴールで同点になってしまった。
その後、相手が一気に活気づき、我々が点を入れてリードしてもすぐに返される。
3-3で、精神的に根負けしそうな本当にキツイ試合だった。
そんな折、我チームの要である選手のS氏が敵陣でファールを受けて転ばされた。
うずくまるS氏に向かって、相手がボールを蹴って背中に当てた。

それをディフェンスの位置で見ていた僕が、切れて相手に向かって走り寄り
胸で突き飛ばした。その後、小さな乱闘になってしまい、試合が一気に荒れた。
僕をはじめとする我々のタックルは相手の膝から下へ、強く深いものに変り、
反則こそ取られないが、相手がそのたびに転倒するほど激しいものになった。

それを外で見ていたN沢氏が、「実力が同じなら、精神力が強いチームが勝つ」
と若手に言ったそうだ。そしてさらに「この試合、負けるなぁ」と、ぼやいたそうだ。
実際、その直後に相手にタックルをかわされて失点し、そのまま試合終了。
勝てる相手に自滅・・・・・そんな感じの試合だった。
その上、試合終了の挨拶と共に、一番若い部員が相手に殴りかかってしまった。
そして一気に乱闘。今だから笑えるが、その時は後味の悪い試合だった。
N沢氏の言った通り、精神力で相手に負けていた。
それ以来、僕はいつも冷静さを保つように変り、そのために技術的にももっとうまくならなくちゃいけないと考えるようになった。

いつも冷静に物事を見る。そして的確なアドバイスをくれた大先輩。
最近、病気で呂律が回らなくなり、手の先も動きが鈍くなったことがきっかけで
定年延長も断り、退職をする決心したそうだ。
記念撮影の場では、仲間内のお約束事のように僕が
「葬式に使えるように」とか
「手八丁、口八丁の人から口と手を取ったら、お茶飲んでるしかねえな」とか、おちゃらけて皆を笑わせて、笑顔で写真を撮った。
N沢氏は、大笑いしながら上手く喋れないので親指を立てて、
僕に「サンキュー」の合図。
冗談を、きちんと判ってくれる先輩にまた、脱帽!
多くのことを教えていただいた大先輩N沢氏。

長い間、本当にありがとうございました。
コメント (2)
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