昨日書いた、今の仕事の話。
とにかく全体の意識や、作業の質といったレベルを上げないといけない。
今日は皆、気を遣って手袋をして作業をしていたので、一つクリア。
しかし、僕のように皆から『いい加減な男』と思われている人間が、
お客様の顔を思い浮かべながら仕事をしている・・・・
なんて、誰一人として思わないでしょうね。
実は僕がそうなったのは、若い頃に世話になった叔父の影響。
珈琲問屋を営み、行く末は僕を跡取りに…と考えていた叔父。
最初は直営の喫茶店で、接客の仕事をさせられた。
最初の1週間、叔父は僕の仕事ぶりをじっと見ていた。
そして叔父から言われた言葉が
『お前、珈琲1杯250円を馬鹿にしているだろう?』だった。
確かに、その前にやっていた仕事は日銭で2万円貰っていたから
250円なんて金額は、大した金額とは思っていなかった。
そんな気持ちで居るから、そういう事が態度に出る。
お客様が来ても『いらっしゃいませ』と言わない。
お代を頂く時も『ありがとうございました』の一言も言わない。
言ったとしても、小声でボソボソ・・・・
叔父に『お客様からお金を頂く』と言う事をじっくり話された。
決して説教じゃない、叔父は『1円稼ぐのだって簡単じゃない』
と、若い頃に苦労して築き上げた会社の事を話してくれた。
その後、改心して僕は大声で
『いらっしゃいませ』『ありがとうございました』と言うようになった。
すると、お客様の反応も変わって、お金を頂く時に笑顔が見えるようになった。
僕の我儘で、叔父の家を飛び出したけれど、
その後の仕事で、大声で挨拶するようなことは無くても
自分が作った製品を使うお客様の顔を、いつも考えるようになった。
だから設計者にありがちな『こんな良い物を作っている』
なんていう、供給する側の思い上がりが凄く嫌だった。
特に汎用の量産機を作っていた子会社は、その意識が強かった。
『自分の作った装置を、一回自分で納入してきたら・・・・』
って、部下に言っていたのも、お客様の反応を見て欲しかったから・・・・
本社に居る頃は、いわゆるカスタムメイドの装置ばかり作っていた。
その関係で、納入に帯同することが多かった。
性能が出なければ、お客様はいい顔をしない。
逆に、期待された性能を出した時の、お客様の顔は今でも忘れない。
北大の教授、オックスフォードの教授、東北大の教授・・・・
お客様から、笑顔で肩を叩かれた事は一生忘れないでしょう。
『お客様からお金を頂く』と言う事を考えるとき、顧客満足度なんていう前に、
仕事をする時にお客様の顔を思い浮かべて、仕事に臨む事を教えた方が良いんじゃないかな?