今日はいつものように所長の車に便乗しての帰宅。
彼に送られて帰宅するのは週末が多いのだけれど、
最近、車の中での会話は半分がタメ息。
所長は、定年退職後に再就職した山梨の会社から、子会社の運営と、
八王子に事業所を作り東京での拠点作りを任された。
しかし、彼は山梨で仕事をすることが多くて、八王子の事務所には
週明けの朝と週末の夕方に顔を出す程度。
そんな訳で、八王子の運営を僕に見てくれと頼んできた。
僕は所長代理とか、肩書を貰うと拘束されるので断ったら
所長の決めた運営方針に沿って、僕がアドバイスする程度で良いと言うので
それならば・・・・と言う事で引き受けた。
僕は定年退職した時点で会社と言う組織が面倒くさくなっし、
他人の決めた時間に拘束される生活は御免だと思っていた。
でも、引き受けた以上は何とか事業所を軌道に乗せたい。
そう思って、所長や社長、さらには山梨の本社に意見を言って来た。
有難いことに、僕の意見はきちんと聞いてくれて来た。
でも、そんな環境づくりをいくらやっても、肝心の社員の方が変わらない。
正直な話、正社員が4人居てそのうち一人は山梨に出向。
もう一人は、別の場所である仕事を任されて準備中。
残りの二人は八王子で、今の仕事をやっている。
正社員なので、時間単価はパート社員の2倍以上支払っている。
単純にパート社員の倍働かなくちゃいけないのに、そうじゃない。
むしろぱっと社員の方が信頼出来て、仕事も丁寧なのだ。
単価が決まっている仕事なので、出来るだけ安い工賃で作りたい。
ギリギリの所で運営しているのに、当の正社員たちは緊張感が無く
製品に傷をつけたり、物を落として変形させたり・・・・
その場合、費用はこちらが負担するのだから、彼らに仕事をさせると
させただけ赤字が出ると言うことになる。
その癖、居れば残業代が貰えると思って、ダラダラと仕事する。
『こいつら、全員いらねぇよ。パートさんを雇った方が良い』
と、僕が言うと所長も同じ考えだと言う。
でも子供が居て、生活が懸かっているのだろうから…どうしたものか。
珍しく今日は、所長の機嫌が悪かった。
それもそのはず、今の仕事も他の業者に出す予定だったものを
業者に出す値段で良いからやらせてくれと言って、頭を下げて貰ってきた仕事。
それなのに、『仕事を頂いている』
と言う感覚を持ち合わせていないから、仕事が雑。
そのたびに所長が謝りに行き、苦言を言われて帰ってくる。
『もう、この仕事断ろうか?』なんて事を言い始めている。
この仕事を止めると言う事は、八王子の事業所も畳むことになる。
結果的に社員の生活は、今のままではなくなる。
そんな事を、本人たちは全く分かっていない。
出るのはため息ばかりなのは、当たり前です。