「ありゃ此処は俺様の定席と思っていたら、とんでもない所に乗ってしまった」
都心に出かけ、アルコールも入り多少の酔いと久しぶりに出た人ごみに疲れもあり、始発の東京駅から、ゆったり座って帰ろうと、並んで待っていた。
もとより、電車待ちの行列に、目の前の順番待ちの行列するお客の背中しか見えないが、車両の到着に併せて、降車するお客さんが、出るや否や、一目散で席の陣取り合戦が始まる。
「やれやれ、席も取れ、これから1時間の長旅、じっくり座っていけるぞ」と思い、ホットし、正面を見ると、なんと女性専用車のピンクの張り紙がパタパタ貼り付けてあるではないか
「やばい、とんでもない車両に乗りあわせてしまった」とキョロキョロすると廻りを意図せず、堂々と乗る同姓も居るではないか
その姿に勇気を得て「えい、ままよ!このまま居すわってやるぞ」と目の前の紋所と周囲の目を気にしながらを居直って、居すわってしまった。
声を掛けられたら、どうしよう、その時に、とぼけて気づかなかったと、言い訳すればとも思っていた。
時間の経過と共に車内が空いてきた、席をたって、改めてこのピンクの看板を近寄って見ると、小さな文字で「・・・平日/より新宿駅で7:30~9:30に発車する東京行きの電車で、女性専用となる」旨の但し書きが読めた。
畜生、看板に偽りあり、大きな女性専用の看板に騙されたのだ
小心者を驚かす紛らわしい看板に、腹立たしさとそれを早呑み込みした己が情けないやら、ともかく犯罪者の嫌疑が解け、ホットした。
田舎もんの身分に乗り物ルールさえ変わってしまった現実の姿に戸惑い、都心が益々遠くなった。