春夏秋冬ライフ

四季の変化に向き合い、目の前に起きる様々な出来事を目の丈で追ってみた。

絶海の珍味 アンコウ

2007-04-16 09:36:00 | 美味い!!

小さい目に口が大きく、頭が平たく、体の表面はヌメヌメ、茶褐色の薄気味悪い出で立ちに、ひるまずにこんな化け物をよくぞ食べたなあ~よ思えるほど、不気味な姿である。
こんな姿もあってか、一昔前はまさしく"げとう"で見向きもされずに、漁師が食べてしまい、食卓にも乗らない、価値の低い魚であったようだ。
それが、とても美味い魚として評価され、「東のあんこうに西のふぐ」「関東の河豚」、特にあんこうの肝臓については「海のフォアグラ」と言われるぐらいにたちまち高級漁になってしまった。
上手い時期は冬の寒い時期にたっぷり栄養を蓄えた産卵を控え肝に油が乗り切った時期が最高と言われている。
そろそろ時期も終わり頃の時期であるが、月島で店を探したので一緒にお呼ばれされた。
月島と言えば表通り、裏通りよくぞこれ程までに軒を並べられた、もんじゃ焼きのメッカである。
鉄板の油と食材の匂いが立ち込め、気取らずに寄れる下町の代表的文化が色濃い食材の街である。
その横丁に入った一角に「ほてい」と言う店があんこうを食べさせてくれる。
確かな味に、口コミに評判を呼び、口慣れた食通にも人気を呼んでいるようであり、全席総て予約で満席である。
セットコースでマグロ、ウニ、ホタテ他刺身の盛り合わせは築地の市場に近いせいもあってか、新鮮で厳選された食材は逸品である。
留めを刺したのはメインのあんこうである。

鍋にたっぷり盛りつけされ、煮込み前の姿を見せてくれるが、野菜ほかの具沢山に、あのグロテスクなあんこうの姿はもうない。
どうやら、鍋が煮え立ってきた。白身は淡白、肝が融けて、独特の風味が具にしみ込み何とも言えない食感が口一杯に拡がる。
始めて口する、出会いに、世の中こんなに美味い物があるのかと、感激しながらも、忙しく胃袋に納める。
こんなこってりした味にも関わらず主な脂質は、コレステロール値を下げ、血液をサラサラにするIPA、脳の働きもよくするDHAと良い事ずくめの効能を思い浮かべる。
う~ん、もう動けなくなるほど、卑しく食べてしまう。
たちまち腹一杯に、ちょいと道のりはあるが、勝鬨橋を渡り、隅田川を行き来する屋形船の姿を眺め、人ごみで殺到する銀座を通り、有楽町まで歩いてしまった。
未だ贅沢が堪能出来る胃袋に感謝、この感動は暫く忘れられない。

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