堂ヶ島からチョット戻って伊豆松崎へ
ご覧の通り、「なまこ壁」の土蔵と母屋が静かに佇む世界に入っていく。しとしと降る雨が、落ち着いた雰囲気を尚、引き立たせ、演出してくれる。
石やレンガを積む時のタイルを張る時に出来る継ぎ目を目地と言うが、この目地漆喰の形状が海にいる「なまこ」に似ていることから「なまこ壁」と言われている。
なまこは、水分の含有量が高く、手のひらにのせてもするりと抜けその硬さを大きく変化させ、天敵から守っている一見してグロテスクな生物である。
伊豆松崎には古き良き時代に建築された「なまこ壁」の住家や土蔵が多く残されている。
保温、防湿、防虫
火災、盗難防止
の目的で造られたもので、多額の経費と多くの労力を要している。
このなまこ壁は江戸末期に建築されたものである。
独特の模様が目に鮮やかに飛び込み、生きた歴史の素材がこの地方の象徴的な存在として守られ、観光資源の一つにもなっている。
写真は明治20年呉服商家として建てられ、わずか数代で財を成し、大地主となった明治の商家中瀬邸である。
母屋から土蔵などからなる邸宅をそのままそっくり、町が買い取り、公開されている。
明治の代表的な呉服商家の姿を残し、当時の商家の営みを現代に伝えている。
一時代をなした呉服問屋の活気に満ちた世界が、板の間を通じて番頭さんや小僧と呉服を求める客人のやりとりが今にも聞こえる様な感じがする。
「なまこ壁」とこの商家に留まらず、松崎文化を象徴するときわ大橋、時計塔、街のいたるところの漆喰芸術作品が独特の雰囲気を持ち、素敵な街の姿にたっぷり、くつろげる。