当時、最新鋭と言われたデジカメもポケットに収納出来る驚異的な小型化が図られ、旅行・行事・散歩の必携品として持ち歩き、画像情報を捉え蓄えた。
電池と電子媒体さえあればさえあれば、何時でも撮れる気軽さから、世の中からフィルムカメラを駆逐してしまった。
そんな愛機も、購入以来最早、10年を越えてしまい、押しまくったシャッターも万の回数を越えていると思えるが、機械疲労から、不具合が生まれてきた。
カメラ頭部にスライドスイッチがあり、静止画と動画の選択モードがあるが切り換え操作により、モードの切り替えが、効かない場合がある。
例えば静止画を選んでも、動画で機能する場合がある。
恐らくスイッチ部分の接触不良と考えられる。
<全くのお上りさん、漸く見つけたサービス拠点の三井ビル>
さて、専門病院で診断、加療となろうが、近くにサービス拠点がなく、運送業者で引き取り、修理品の持ち運びも、手数料を払えば可能である。
しかし、現物を前に、その症状を伝えれば、より確実な修理に繋がると、敢えて新宿の拠点まで持参した。
複数の窓口が準備され、カウンター越しに、一件、一件詳しいやりとりが行われる。
これだけの多数の窓口に、市場に出回った同社の製品の数も多ければ、繊細なメカニズムだけに色々、トラブルや問い合わせも生まれるのであろう。
窓口に訪れた時に、外国人も来ていたが、流暢な英語でスタッフが応じていたのも、国際的な拠点と窓口の広さに関心する。
番号を呼ばれ出番が回ってきた。
運んだデジカメを前にその症状を説明すると、窓口嬢がやおら分厚い台帳を取り出し、機種確認する。
「お客様、既に同機の部品の供給は終わっておりまして、生憎、修理は受け付けられません」の優しい応対にも毅然とした宣告を言い渡された。
せめても分解清掃だけでもと思ったが、当該部品の交換しか、選択余地が無いのである。
因みに、代替部品があっても、修理代は10、000円そこそこ、かかる。
同機とほぼ同じ性能で、ネット通販で買えば、修理代相応でも、手に入るようであった。
カメラの類は買ったら、半永久品とも、思ったが、世の中使い捨ての時代、10年も経てば、どんなに丁寧に使っても、製品寿命が来てしまうのである。
目ざましい、電子部品の発達は身近な製品でも、使い捨ての、時代なのであろうか。
まあ、致命的なことでもないので、貧乏人は騙し、騙し使い続けることにしよう。
<寒々とした、気分で、帰る。見上げればあの都庁が、
見下ろしていた暫くは此処に来ることもあるまい>