575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

谷水や石も歌よむ山桜  上島鬼貫

2011年01月05日 | Weblog
鬼貫は、芭蕉より17歳年下。

 むかしから穴もあかずよ秋の空

 水よりも氷の月はうるみけり

など、私の好きな句です。
谷水の句は、歌の先生、有賀長伯から俳諧歌の伝授をうけた後に
先生から出されたテストの答案として詠んだものです。

古今集に、俳諧歌は58首あり、巻頭の歌は

 梅の花見にこそきつれうぐいすの
      ひとくひとくといとひしもをる

梅見にいくと、ウグイスのなかには
人が来た、人が来たと嫌がるものもいるという意味。

物いわないものも、物をいうように言いなし、
あるいは、カタチのない物をも、カタチのあるように
表現するのが俳諧である、としています。

 谷水や石も歌よむ山桜

この句は、古今集の仮名序の有名な一節。
花に鳴く鶯、水に棲む蛙の声を聞けば、生きとし生けるもの
いづれか、歌を詠まざりける、を踏まえたものです。

春になれば、山桜が咲き、谷の水も歌をうたう。
さらにココロなき石さえも、という意味です。

俳諧を石、桜を歌にたとえたとも解釈できます。
先生の有賀長伯からは、「無残処得心也」
つまり100点満天の合格と判定されたと記しています。
自慢の一句だったのでしょう。

                       遅足

(名古屋大学の国文科の研究発表にもぐりこんで聞いてきました。)
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朝日出て辛夷の莟そよぎたり

2011年01月05日 | Weblog

        一月五日水曜日快晴無風の日の出。
        二階から十米足らず先に辛夷の枝。
        銀色の莟が三百と見たはひが目か。
        彼ら一斉に喜々とそよぐと見たは。



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