あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
昨年の末に、京都の東福寺に行ってきました。
底冷えの寒い一日でした。
方丈の前を通って山の方へ。
屋根のある橋を見つけて・・・
近づいて見ると、古そうな木橋です。
紅葉も散ってしまった小川を渡り終わると、龍吟庵です。
一人の初老の女性が落葉掃きを・・・
「寒いですね」と、挨拶をすると、
「龍吟庵は国宝です。今は非公開ですが、来年には公開されます。
柿葺きの屋根は大変めずらしく、雨に強いそうです」と。
今、渡ってきた橋は偃月(えんげつ)橋といい、
秀吉の妻・ねねの方が寄進したもの、とも。
ここまでは、まるで夢幻能と呼ばれる能のようです。
前半は、ワキの旅人の僧が土地の人(前シテ)と出会う。
シテは、その土地の由緒を語って消える。
ここで中入り。後半へ。
ワキが読経をしてと、夜になって亡霊が現れる。
これが後シテ。この場合はねねの方の亡霊。
橋の由緒を語って、弔いを頼んで夜明けとともに消える。
もちろん亡霊は現れませんでした。
旅には、非日常の世界を発見したい。
自己をリセットしたいという気持ちが潜んでいるようです。
私の場合、異界に遭遇して、後シテが現れることはありません。
しかし、そこに佇み、詩の世界へ入ることは出来るかも知れません。
詩には、非日常の世界へ我々を連れて行ってくれる力があります。
夏目漱石は、その場で575の句をつくれ、と言っているそうです。
家に帰って苦吟の結果です。
掃き寄せてあの世この世の落葉かな 遅足